総務省は、本日、船舶が任意に設置する安価な国際VHF機器の導入に伴う電波法施行規則、無線設備規則及び特定無線設備の技術基準適合証明等に関する規則の各一部を改正する省令案(以下「諮問省令案」といいます。)について、電波監理審議会(会長:濱田 純一 東京大学総長)から、原案を適当とする旨の答申を受けました。
また、諮問省令案及びそれに関係する省令案について、平成21年5月13日から同年6月12日までの間、意見募集を行ったところ、御意見を3件いただきました。
総務省は、答申の内容及び意見募集の結果を踏まえ、関係省令等を改正する予定です。
1 改正の背景等
現在、船舶に搭載された無線通信システムは、船舶の規模・用途ごとに使用される無線機器が異なるため、洋上で異なった規模・用途の船舶が出会った場合、危険回避行動等の連絡を相互に取り合うことが困難な状況となっています。
このような中、平成20年2月の護衛艦「あたご」と漁船「清徳丸」の衝突事故で、船舶間で共通に利用できる無線通信システムが無いことが海難防止の妨げの一つとして指摘され、総務省としては、船舶間で共通に使用することができる通信システム(以下「船舶共通通信システム」といいます。)を早急に普及させることを目的として、平成20年4月に「海上における船舶のための共通通信システムの在り方及び普及促進に関する検討会」(座長・三木哲也 電気通信大学理事)を設置し、船舶共通通信システムとして、国際VHF機器(注)を基本とすること、北米等で普及している安価な国際VHF機器を我が国でも導入することができるよう関係規定の見直しが必要であること等を内容とした報告書が平成21年1月に取りまとめられました。
今般、総務省では、この報告書の提言を踏まえ、小型船舶が任意に設置する安価な国際VHF機器の早期導入を実現するため、関係規定を整備するものです。
(注)F3E156MHz〜157.45MHzの周波数を使用する国際的に共通した無線機器。条約船や100トン以上の国内船などの大型船舶には型式検定を取得した国際VHF機器の搭載が義務付けられています。諸外国では、条約船以外の船舶には、型式検定を取得した国際VHF機器とは別に安価で簡易な機能を有した小型船舶用国際VHF機器が普及しています。
2 改正の概要
(1)任意に設置する簡易な国際VHF機器等を搭載した船舶局の定期検査実施時期を3年から5年に変更し、このうち携帯型については定期検査を要しない無線局に追加すること。(電波法施行規則第41条の2の6及び別表第5号関係)
(2) 任意に設置する国際VHF機器の技術的条件を定めること。(無線設備規則第24条、第40条の5、第40条の7、第45条の12の4及び第58条の2関係)
(3) 任意に設置する国際VHF機器に関する技術基準適合証明のための測定項目を定めること。(特定無線設備の技術基準適合証明等に関する規則第2条関係)
(4) 特定船舶局の無線局事項書及び工事設計書の様式を改めること。(無線局免許手続規則別表第2号の3第3関係)
(5) その他所要の規定を整備すること。
3 改正する省令
(1) 電波法施行規則(昭和25年電波監理委員会規則第14号)
(2) 無線設備規則(昭和25年電波監理委員会規則第18号)
(3) 特定無線設備の技術基準適合証明等に関する規則(昭和56年郵政省令第37号)
(4) 無線局免許手続規則(昭和25年電波監理委員会規則第15号)
4 意見募集の結果
提出された御意見及び総務省の考え方は
別紙のとおりです。
5 今後の予定
答申の内容及び意見募集の結果を踏まえ、関係省令等の改正を速やかに行う予定です。