第1部 令和6年度の地方財政の状況

5 地方経費の構造

普通会計の歳出決算額について、経済的性質に従って、義務的経費、投資的経費、その他の経費に分けてその状況をみると、以下のとおりである。

(1)義務的経費

ア 人件費

人件費は、職員給、地方公務員共済組合等負担金、退職金、委員等報酬等からなっている。

人件費の決算額は24兆3,676億円で、地方公務員の給与改定や定年引上げに伴う退職手当の増加等により、前年度と比べると8.5%増となっている。

人件費の費目別内訳の状況は、第44図のとおりである。また、主な費目の決算額を前年度と比べると、職員給が4.0%増、退職金が98.5%増となっている。

地方公共団体の職員数(普通会計分)は、平成28年に増加に転じ、令和6年4月1日現在の職員数は246万9,654人で、前年同期と比べると0.4%増となっている。

人件費のうち職員給の推移は、第45図のとおりであり、職員数が平成28年から増加に転じる中でもほぼ横ばいであったものの、近年の給与改定の影響により、令和5年度、6年度において大きく増加している。

職員給の部門別構成比の状況は、第46図のとおりである。

職員給の部門別構成比を団体区分別にみると、都道府県においては、教育関係が最も大きな割合を占め、警察関係と合わせて全体の82.9%を占めている。市町村においては、教育関係が最も大きな割合を占めている。

人件費に充当された財源の内訳をみると、一般財源等(*)が21兆7,409億円(人件費総額の89.2%)で最も大きな割合を占め、次いで国庫支出金が1兆8,790億円(同7.7%)となっている。

イ 扶助費

扶助費は、社会保障制度の一環として、生活困窮者、児童、障害者等を援助するために要する経費である。

扶助費の決算額は19兆2,622億円で、認定こども園等を対象とした財政支援(施設型給付)における人件費の単価改定や児童手当制度の拡充等により、前年度と比べると4.8%増となっている。

なお、扶助費に充当された財源の内訳をみると、一般財源等が9兆6,547億円(扶助費総額の50.1%)で最も大きな割合を占め、次いで生活保護費負担金、児童手当等交付金等の国庫支出金が9兆1,571億円(同47.5%)となっている。

ウ 公債費

公債費は、地方債元利償還金及び一時借入金利子の支払いに要する経費である。

公債費の決算額は12兆1,594億円で、元利償還金の減少等により、前年度と比べると0.7%減となっている。

公債費の内訳をみると、地方債元金償還金が11兆3,895億円(公債費総額の93.7%)で最も大きな割合を占めており、前年度と比べると0.8%減となっている。また、地方債利子は7,666億円(同6.3%)となっており、前年度と比べると0.7%増となっている。

なお、公債費に充当された財源の内訳をみると、一般財源等が11兆7,357億円(公債費総額の96.5%)となっており、使用料・手数料等の特定財源が4,237億円(同3.5%)となっている。

地方債現在高と地方債利子の推移は、第47図のとおりである。近年は地方債現在高が逓減しており、低金利の影響により、地方債利子も大きく減少している。

一方で、足下の金利上昇に伴い、令和6年度は地方債利子が増加に転じた。

(2)投資的経費

ア 普通建設事業費

普通建設事業費は、公共又は公用施設の新増設・更新等に要する経費である。

普通建設事業費の決算額は15兆8,231億円で、単独事業費の増加等により、前年度と比べると4.9%増となっている。

なお、普通建設事業費のうち更新整備*10に要した経費は、都道府県においては3兆4,507億円、市町村においては5兆1,854億円となっている。一方、新規整備*11に要した経費は、都道府県においては2兆5,009億円、市町村においては1兆9,688億円となっている。普通建設事業費に占める更新整備に要する経費の割合は、都道府県では43.6%、市町村では61.1%となっている。

普通建設事業費の推移は、第19表のとおりである。

また、公共施設等適正管理推進事業債等の発行額の推移は、第48図のとおりであり、緊急防災・減災事業債や公共施設等適正管理推進事業債等の活用が増加しており、各地方公共団体は防災・減災対策や老朽化対策等の取組を進めている。

津波避難タワー(緊急防災・減災事業債)
山腹斜面の法面対策(緊急自然災害防止対策事業債)

(ア)普通建設事業費の目的別内訳

普通建設事業費の目的別内訳の状況は、第49図のとおりである。また、主な費目の決算額を前年度と比べると、土木費が1.9%増、小中学校や学校給食センターの改修等に係る費用の増加等により教育費が16.5%増となっている。

(イ)補助事業費

補助事業費の決算額は7兆4,796億円で、前年度と比べると1.2%増となっている。

補助事業費の目的別内訳の状況は、第50図のとおりである。また、主な費目の決算額を前年度と比べると、教育費が13.6%増、衛生費が19.1%増となっている。

(ウ)単独事業費

の決算額は7兆5,522億円で、前年度と比べると9.2%増となっている。

単独事業費の目的別内訳の状況は、第51図のとおりである。また、主な費目の決算額を前年度と比べると、土木費が7.0%増、教育費が17.8%増となっている。

(エ)国直轄事業負担金

国直轄事業負担金の決算額は7,914億円で、前年度と比べると2.0%増となっている。

国直轄事業負担金の目的別内訳をみると、土木費が最も大きな割合を占めており、前年度と比べると1.5%増となっている。

イ 災害復旧事業費

災害復旧事業費は、地震、豪雨、台風等の災害によって被災した施設を原形に復旧するために要する経費である。

災害復旧事業費の決算額は6,583億円で、前年度と比べると18.5%増となっている。

災害復旧事業費の状況は、第52図のとおりである。また、主な費目の決算額を前年度と比べると、補助事業費が11.4%増、単独事業費が0.2%減となっている。

(3)その他の経費

その他の経費には、物件費、維持補修費、補助費等、繰出金、積立金、投資及び出資金、貸付金並びに前年度繰上充用金がある。

その他の経費の状況は、第20表のとおりである。

ア 物件費

旅費、備品購入費、需用費、役務費、委託料等の経費である物件費の決算額は12兆6,011億円で、情報システム整備関連に係る委託費の増加等により、前年度と比べると5.2%増となっている。

物件費の推移は、第53図のとおりであり、物価高の影響等により、物件費は増加傾向にある。令和3年度、4年度は新型コロナウイルス感染症対策に係る事業や全国旅行支援等の観光支援事業、消費喚起事業の委託料の増加等により増加したが、新型コロナウイルス感染症対策に係る事業費が減少した令和5年度、6年度にあっても、コロナ禍以前よりも高い水準になっている。

イ 維持補修費

地方公共団体が管理する施設等の維持に要する経費である維持補修費の決算額は1兆5,697億円で、前年度と比べると9.0%増となっている。

ウ 補助費等

公営企業会計(*)(うち法適用企業(「地方公営企業法」(昭和27年法律第292号)の規定の全部又は一部を適用している事業をいう。以下同じ。))に対する負担金、市町村の公営事業会計に対する都道府県の負担金、様々な団体等への補助金、報償費、寄附金等の補助費等の決算額は12兆2,661億円で、制度融資における利子補給の減少等により、前年度と比べると5.5%減となっている。

補助費等のうち、経費負担区分の原則により、普通会計が負担する法適用企業に対する負担金及び補助金は2兆2,440億円で、前年度と比べると2.4%増となっている。事業別にみると、下水道事業に対するものが1兆3,675億円で最も大きな割合を占め、次いで病院事業に対するものが6,327億円となっている。

エ 繰出金

普通会計から公営事業会計や基金に支出する経費である繰出金の決算額は5兆8,896億円で、公営企業会計(うち法非適用企業(地方公営企業法の規定を適用していない事業をいう。以下同じ。))への繰出金の減少等により、前年度と比べると0.8%減となっている。

また、各会計別の決算額を前年度と比べると、国民健康保険事業会計に対するものが1.8%減、介護保険事業会計に対するものが1.1%増、後期高齢者医療事業会計に対するものが5.2%増となっている。

公営企業会計(うち法非適用企業)に対する繰出金は、経費負担区分の原則により、普通会計が負担するものであり、決算額は1,385億円で、下水道事業における公営企業会計の適用の進展により前年度と比べると48.0%減となっている。事業別にみると、宅地造成事業に対するものが376億円で最も大きな割合を占めており、次いで介護サービス事業に対するものが289億円となっている。

オ 積立金

特定の目的のための財産を維持し、又は資金を積み立てるための経費である積立金の決算額は4兆8,356億円である。これに歳計剰余金処分による積立金を含めた決算額は5兆1,489億円であり、前年度と比べると4.8%増となっている。

一方、積立金取崩し額の決算額は4兆5,357億円で、前年度と比べると23.3%増となっている。

積立金及び積立金取崩し額の状況は、第54図のとおりである。



*10 既存の公共施設等の建替え等(移転、集約化、複合化を含む。)の更新や機能強化等(長寿命化改修、耐震改修、バリアフリー改修、太陽光パネルの設置等)をいう。建替え等に伴い行われる既存の公共施設等の除却も含まれる。

*11 新たな公共施設等の建設、既存の公共施設等の別棟の増築、道路や下水管の新規区間開設等の新規公共施設等の整備をいう。

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