第3部 最近の地方財政をめぐる諸課題への対応
3 防災・減災、国土強靱化及び公共施設等の適正管理の推進等
近年、気候変動の影響により気象災害は激甚化・頻発化し、南海トラフ地震などの大規模地震の発生も切迫している。引き続き、国民の生命・財産を守るため、地方公共団体が国と連携しつつ、防災・減災、国土強靱化対策に取り組む必要がある。
また、高度経済成長期に大量に建設された公共施設等が一斉に更新時期を迎える中、各地方公共団体においては、人口減少や少子高齢化等による公共施設等の利用需要の変化や地方財政の厳しい状況等を踏まえ、公共施設等の適正管理に向けた取組を着実に推進する必要がある。
(1)防災・減災、国土強靱化の推進等
ア 防災・減災、国土強靱化の推進
「第1次国土強靱化実施中期計画」(令和7年6月6日閣議決定。以下「実施中期計画」という。)に基づき推進が特に必要となる施策に係る直轄事業及び補助事業について、その地方負担を防災・減災・国土強靱化緊急対策事業債又は補正予算債により措置することとしている。実施中期計画の1年目である令和8年度分については、令和7年度補正予算(第1号)(国費1兆9,159億円)を活用することとされており、その地方負担については、補正予算債(本省繰越された場合には防災・減災・国土強靱化緊急対策事業債)により措置することとしている。
地方公共団体が、喫緊の課題である防災・減災対策のための施設整備等に取り組んでいけるよう、「緊急防災・減災事業費」について、指定避難所における厨房設備、入浴設備、洗濯設備、災害対応車等の整備等を対象事業に追加した上で、令和12年度まで延長することとし、令和8年度の地方財政計画に前年度同額の5,000億円を計上している。

また、地方公共団体が、実施中期計画と連携しつつ、地方単独事業として緊急に自然災害を防止するための社会基盤の整備に取り組んでいけるよう、「緊急自然災害防止対策事業費」について、老朽化した橋りょうへの対策を強化するため、これまで対象としてきた農道・林道橋りょうの改修に加え、新たに、定期点検の結果、早期又は緊急に措置を講ずべきと診断された橋りょう(道路、農道及び林道)について、災害の発生を予防し、又は災害の拡大を防止するために実施する除却を対象事業に追加した上で、事業期間を令和12年度まで延長することとし、令和8年度の地方財政計画に前年度同額の4,000億円を計上している。
イ 上下水道の老朽化対策の推進
埼玉県八潮市で発生した道路陥没事故等を踏まえ、上下水道インフラの老朽化対策を推進するため、地方財政措置を拡充することとしている。具体的には、令和7年度中に実施されている大規模下水道管路に係る「全国特別重点調査」の結果、対策が必要とされた下水道管路に係る修繕経費について、令和12年度までの間、下水道事業債の対象経費に追加する等の措置を講じることとしている。また、水道管路耐震化事業について、緊急性や社会的影響等を勘案した重点的な耐震化を推進するため、大規模管路等の耐震化事業に対する地方財政措置を拡充するとともに、令和12年度まで延長することとしている。さらに、DX技術を活用した上下水道管路の点検・調査に係る委託経費について、令和9年度まで特別交付税措置を講じることとしている。
(2)公共施設等の適正管理の推進
公共施設等の適正管理については、公共施設等の老朽化や人口減少等の進行を踏まえ、長期的な視点をもって、更新・統廃合・長寿命化などを計画的に実施し、財政負担の軽減・平準化を図りつつ、公共施設等の最適な配置を実現することが必要であり、平成26年4月の総務省の要請を踏まえ、各地方公共団体において、公共施設等の総合的かつ計画的な管理に関する計画(以下「総合管理計画」という。)を策定している。
そのような中、総合管理計画の策定から一定の期間が経過していることも踏まえ、地方公共団体に対して、個別施設ごとの長寿命化計画(個別施設計画)の内容を反映しつつ、中長期のインフラ維持管理・更新費の見通しや適正管理に取り組むことによる効果額を盛り込んだ総合管理計画の見直しを要請してきたところであり、ほぼ全ての団体で完了している。今後も、人口減少等を踏まえた不断の見直しを行い、更なる内容充実を図り、総合管理計画の具体性・実効性を高める取組を進めていくことが重要である。
令和8年度においては、「公共施設等適正管理推進事業費」について、地方公共団体が公共施設等の適正管理に積極的に取り組んでいけるよう、地方財政計画に5,000億円(前年度同額)を計上した上で、集約化・複合化等に伴う除却事業の対象に公営住宅等を追加することとしている。
また、広域的な公共施設の集約化・複合化を円滑に進めるため、複数の地方公共団体による公共施設の集約化等に向けた調査検討経費及び集約化等の円滑化のための経費について、特別交付税措置を講じている。
併せて、後述する「経営・財務マネジメント強化事業」により、総合管理計画の見直しや複数の地方公共団体による公共施設の集約化等の取組を支援するための専門のアドバイザーを派遣することとしている。
