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第3部 最近の地方財政をめぐる諸課題への対応X

5 社会保障の充実及びいわゆる教育無償化への対応等

少子高齢化など人口構成の変化が一層進んでいく中、年金、医療、介護などの社会保障を持続可能なものとするためには、社会保障制度を見直し、給付・負担両面で、人口構成の変化に対応した世代間・世代内の公平が確保された制度へと改革していくことが必要である。

また、社会保障分野のサービス・給付の多くが地方公共団体を通じて国民に提供されていることから、国と地方が一体となって安定的に実施していくことが重要であり、社会保障制度改革は国・地方が協力して推進していく必要がある。

加えて、全ての若い世代に対して多様で質の高い教育を実現するとともに、経済的事情による教育格差を是正し、子育て世帯への支援を強化する観点から、いわゆる教育無償化を実施していくことが重要である。

(1)社会保障の充実等

社会保障と税の一体改革は、社会保障の充実・安定化に向け、安定財源確保と財政健全化の同時達成を目指すものであり、消費税率の引上げ分は、「社会保障の充実」、「人づくり革命」等として、全額社会保障の財源に使われることとされている。令和8年度においては第79図第80図のとおりである。

また、全世代対応型の持続可能な社会保障制度の構築に向けて、「全世代型社会保障構築を目指す改革の道筋(改革工程)」(令和5年12月22日閣議決定)において、時間軸を考慮した具体的な改革工程が整理されており、その内容は第81図のとおりである。

このうち、「2028年度までに検討する取組」については、令和10年度までの各年度の予算編成過程において、実施すべき施策の検討・決定を行い、全世代が安心できる制度を構築し、次の世代に引き継ぐための取組を着実に進める必要があるとされている。

(2)こども・子育て政策の強化

少子化は我が国が直面する最大の危機であり、若年人口が急激に減少する2030年代に入るまでに少子化トレンドを反転させ、人口減少に歯止めをかけなければ、持続的な経済成長の達成は困難となる。2030年(令和12年)までがラストチャンスであり、政府として次元の異なる少子化対策を進めることとしている。また、令和7年11月には「人口戦略本部」が設置され、こども・子育て政策を含む人口減少対策を総合的に推進することとしている。

地方公共団体は、こども・子育てサービスの多くを提供する主体であり、その役割が極めて大きいことから、こども・子育て政策の強化においては、国と地方が車の両輪となって取り組んでいく必要がある。

ア こども・子育て支援加速化プラン

次元の異なる少子化対策の実現に向け、「こども未来戦略」(令和5年12月22日閣議決定)において、国・地方の事業費ベースで3.6兆円程度となる「こども・子育て支援加速化プラン」(以下「加速化プラン」という。)が掲げられた。加速化プランは、その大宗を3年間(令和8年度まで)で実施することとされており、令和8年度までにおける充実額は、国・地方の事業費ベースで累計3.2兆円程度となった。

令和8年度の前年度からの地方負担の増(1,716億円)については、その全額を地方財政計画の一般行政経費(補助)等に計上するとともに、適切に地方交付税措置を講じることとしている。

イ こども・子育て政策に係る地方単独事業の推進

「こども未来戦略」に基づく取組に合わせて、地方公共団体において地域の実情に応じた現物給付事業を拡充することが見込まれることから、地方公共団体が、地域の実情に応じてきめ細かに独自のこども・子育て政策(ソフト)を実施できるよう、令和6年度の地方財政計画において、一般行政経費(単独)を1,000億円増額して計上した。令和8年度においても、引き続き前年度同額の1,000億円を計上している。

また、「こども未来戦略」に基づく取組に合わせて、地方公共団体がこども・子育て支援機能強化に係る施設整備や子育て関連施設の環境改善(ハード)を速やかに実施できるよう、令和6年度の地方財政計画の投資的経費(単独)において、「こども・子育て支援事業費」を創設した。令和8年度においても、引き続き前年度同額の500億円を計上している。

ウ 児童虐待防止対策体制の強化等

児童虐待防止対策体制の強化については、「新たな児童虐待防止対策体制総合強化プラン」(令和4年12月15日児童虐待防止対策に関する関係府省庁連絡会議決定。令和6年12月23日再改定)において、令和8年度までに、令和4年度と比べて児童相談所における児童福祉司を約1,610名、児童心理司を約950名増員することが目標とされている。

同プランに基づき、令和8年度において、全国で児童福祉司を約460名、児童心理司を約240名それぞれ増員できるよう、地方財政計画に必要な職員数を計上するとともに、道府県の標準団体で児童福祉司105名分及び児童心理司47名分の配置について、地方交付税措置を講じることとしている。

また、新たに児童相談所を設置する中核市等に対し、設置準備として児童福祉司等を確保・育成する場合の人件費について、令和7年度より特別交付税措置を講じることとしている。

(3)いわゆる教育無償化への対応等

ア いわゆる教育無償化への対応

いわゆる教育無償化については、自由民主党、公明党、日本維新の会の3党による合意を踏まえつつ、国と地方の協議を経て、「三党合意に基づくいわゆる教育無償化に向けた対応について」(令和7年12月19日文部科学省、総務省、財務省)がとりまとめられた。

そのうち主な内容は、以下のとおりである。

  • いわゆる高校無償化については、「留学」等の我が国に定着することが見込まれない在留資格者を対象から除外するとともに、高等学校等就学支援金の支給上限額を、私立全日制は45.7万円、私立通信制は33.7万円に設定する。また、都道府県は、公立高校の設置者、私立高校の所轄庁として、高校教育を提供する責任があり、高校無償化に一定の責任を有していることから、地方における安定的な財源の確保を前提に、1/4の都道府県負担を導入する。
  • 学校給食費の抜本的な負担軽減(いわゆる給食無償化)については、給食を実施する公立の小学校(義務教育学校前期課程及び特別支援学校小学部を含む。)を対象に、一月当たり5,200円を支援の基準額(完全給食実施校の場合)として設定する。なお、基準額を超える部分については、「学校給食法」(昭和29年法律第160号)に基づき、引き続き保護者から給食費を徴収することを可能とし、非喫食者の取扱いは学校設置者の判断に委ねる。また、子育て支援を図るとの制度趣旨や、広域的な支援により財政力の違いによらず各市町村の給食の質を確保すべきとの観点から、地方における安定的な財源の確保を前提に、1/2の都道府県負担を導入する。
  • これらの取組に係る地方負担については、いずれも地方財政計画の歳出に全額計上するとともに、地方の安定財源を確保した上で、一般財源総額を増額確保する。個別団体の地方交付税の算定に当たっても、地方負担の全額を基準財政需要額に算入する。

イ 高等学校教育改革等推進事業債の創設

高等学校等就学支援金制度の拡充による公立高校への影響を考慮し、地方公共団体が地域の実情に応じて公立高校等における今後の社会・経済の発展を支える人材育成に向けた取組を進められるよう、地方財政計画の投資的経費(単独)において、「高等学校教育改革等推進事業費」を創設し、令和8年度は1,000億円を計上している。

対象事業は、文部科学省が提示した「高校教育改革に関する基本方針(グランドデザイン)」を踏まえ、都道府県において策定される高等学校教育改革実行計画に基づき実施する地方単独事業としている。具体的には、専門高校の機能強化・高度化に資する施設設備の整備(高等専門学校への転換等のための施設設備の整備を含む。)、普通科改革を通じた高校の特色化・魅力化に資する施設設備の整備、地理的アクセス・多様な学びの確保に資する施設設備の整備としている。

事業期間については、令和13年度までとしている。

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