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採択事業 東北大学災害科学国際研究所

リアルタイム津波浸水・被害予測・災害情報配信による自治体の減災力強化の実証事業

我が国が持つ最先端のシミュレーション・センシング・ICTを統合し、G空間防災モデルを確立することにより国土強靱化を図る。

実証地域

高知県、高知市、宮城県石巻市、東松島市、静岡県静岡市

担当局

東北総合通信局

実現するモデル

  • (1)世界最先端のG空間防災モデルの確立に関する実証事業
  • 1.波浪計のデータ等を利用した津波等の災害予測及び情報伝達の実証事業

構築したシステムの説明

本事業は、新たに確立したG空間情報と世界最先端の津波防災技術を融合させたG空間防災モデルと、既存のG空間情報プラットフォームとを常時連携する仕組みを構築し、地域の防災レジリエンスを向上させることを目的に実施しました。G空間防災モデルとして、最先端の津波シミュレーション・センシング・ICTを統合し、沿岸部10mメッシュ分解能でのリアルタイム津波浸水予測(浸水する範囲と深さの予測)を可能とし、その予測とG空間情報の活用による建物被害予測を、地震発生から20分以内を目安に完了させ、実証自治体での災害対応の基盤情報に組み込むこと、準天頂衛星からのメッセージ送信や災害に強いワイヤレスネットワークを活用し、住民等の利用者に対して確実に情報を配信するシステムを構築しました。当該システムを東北地方の津波被災地、南海トラフ巨大地震による被害が想定される自治体において実証実験を行い、システムの活用性を高めました。

実証事業の概要(全体構成図)

リアルタイム浸水予測結果から、浸水域内人口等を推計し、巨大地震津波災害発生直後の自治体の初動対応に資する、被害状況の量的な推計結果を提供する。

リアルタイム津波シミュレーション

G空間防災モデルとして、最先端の津波シミュレーション・センシング・ICTを統合し、沿岸部10mメッシュ分解能でのリアルタイム津波浸水予測(浸水する範囲と深さの予測)を可能とした。

活用するG空間技術、G空間情報

  • 準天頂衛星 メッセージ機能
  • 津波波高検知(測位補正情報)
  • 合成開口レーダ画像
  • 空間分解能0.6m/画素以上の高解像度光学画像
  • 耐災害ICTワイヤレステストベッド
  • 3次元地図

実施団体

  • 東北大学 災害科学国際研究所
  • 東北大学 サイバーサイエンスセンター
  • 東北大学 電気通信研究機構
  • 東京大学 生産技術研究所
  • 独立行政法人 情報通信研究機構耐災害ICT研究センター
  • NTTコミュニケーションズ株式会社
  • 西日本電信電話株式会社
  • 日立造船株式会社
  • 株式会社日立製作所
  • 国際航業株式会社
  • 日本電気株式会社

インタビュー

東北大学災害科学国際研究所教授
越村俊一さんに聞きました

東北大学大学院工学研究科災害制御研究センター助教授を経て平成24年より現職。阪神・淡路大震災記念協会人にて専任研究員も務める。工学博士。専門は津波防災工学。


今回、G 空間シティ構築事業に提案した背景を教えて下さい。
日本の沿岸部においては、津波はどこでも起きる可能性がある災害になります。沿岸部にお住まいの方々に対しては、より正確で、避難に直接的に結びつくような情報の提供。そして、より詳細に早く届けるということを第1番目の目標にしています。次に災害対応・災害対策は第一義的には地方公共団体が取り組むということになっていますので、レスポンス・対応をしていただく方々に、少し時間がかかっても、よりリッチで正確な情報を提供したいと思い取り組んでいます。被災時において、津波がどこまで来るのか、どこに逃げれば安全なのか、という情報は現在配信されている沿岸部の津波の高さの情報だけではわからないのが現状です。東北大学は伝統的にそのような研究をこれまでも行ってきましたので、研究が活かせると思い、今回G空間シティ構築事業に応募致しました。
事業におけるアピールポイントをお教え下さい。
津波の浸水・被害を津波が到達前に予測して、それを届けることの実証になります。いくつかステップがあり、我々はこれを「トリプル・テン・チャレンジ」と呼んでおります。まず1個目の10とは、地震の発生から10分以内にどのような規模の津波が起こるかということを予測することです。どうやって予測の実施を行うかというと、日本ではおよそ1400点以上のGPSで、国土地理院がリアルタイムに地殻をモニタリングしています。そこで得られるリアルタイムの変動、地殻変動に関するデータを用い、10分以内に津波の発生を予測することが第1番目の実証になります。次の10は、その津波の発生規模がわかったら、今度は10分以内に浸水解析・浸水の予測・被害の予測をすることです。最後の10は、それを10メートルメッシュという非常に細かい分解度で予測をします。この3つが集まってトリプル10(テン)となります。
実証内容についてご説明下さい。
2014年12月に、これは高知県高知市で実証実験を行いました。南海トラフで発生する地震を想定して行いましたが、未来にどのような地震が起きるかは、わかりませんので、我々が今回実証実験を行ったのは、いわゆるシナリオ地震と呼ばれるものです。そのような地震のシナリオがわかった時、地震が発生した時に、きちんと予測が10分以内に行えるのか?そしてそれを、間違いなく東北大学から高知市に対してデータを届けることができるのか?という実証を行いました。結果から申し上げると、うまく実証することができました。このようなリッチな災害情報・予測情報というものを、しっかり活用出来るように地方自治体の方々と連携して一緒に取り組んでいきたいと考えております。また、別の実証実験に参加頂いた市民の方からは「自分がどこにいて、どこまで逃げればいいのか、浸水情報でそれを知ることができました」、「今住んでいる地域のどこが安全で、どこに避難すれば良いのか知ることが出来て良かったです」との様々な反響をいただきました。
今後の取組予定や期待を教えてください。
2015年3月に国連防災世界会議が宮城県仙台市で開催されます。ここを我々は重要なショーケースと捉えています。世界に向けてこのような技術を展開していく、一番大きな足がかりになると思っています。特に、津波の予測技術において日本は世界のトップランナーです。今回の取り組みに関しましても、きちんと世界で受け入れられ、評価される自信があります。また、今回の研究も、現在のトリプル10(テン)予測から、更に進化しトリプル5(ファイブ)に短縮出来るよう、引き続き継続して取り組んで参ります。他にも災害時のコンピュータの計算リソースを確保するために、他の大学と連携し冗長的で堅牢なシステム体制の構築を進めております。

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