電気通信事業法の制定による電気通信事業の自由化以来、電気通信事業者は年々増加し、多数の情報通信ネットワークが運用され、多種多様なサービスが展開されています。また、近年ではサービスのブロードバンド化の進展等に伴い、社会経済活動の情報通信ネットワークへの依存度が急速に拡大している中で、ネットワークへの不正侵入等の新たな脅威も顕在化しており、情報通信ネットワークの安全・信頼性を確保することの重要性は社会的にますます認識が高まっています。
このような状況の下、情報通信システムに対し十分な安全・信頼性対策を講ずるための指標が必要となっています。
総務省では、情報通信ネットワークにおける安全・信頼性対策全般にわたり、基本的かつ総括的な指標(ガイドライン)となる「情報通信ネットワーク安全・信頼性基準」(昭和62年郵政省告示第73号)(以下「安全・信頼性基準」といいます。)を制定しています。安全・信頼性基準は、ネットワーク構築者には安全・信頼性対策の立案、実施の際の指針として活用されるとともに、利用者の安全・信頼性対策の理解を促進することにより、ネットワークの安全・信頼性対策の自発的な実施促進を図ることを期待しています。
安全・信頼性基準は、通信の安定的な提供、通信の疎通の確保、通信の不正使用の防止等を目的として、情報通信ネットワークを取巻く外的な脅威や自らが持つ内的な脆弱性に対し情報通信ネットワークの耐力の強化等を図るとともに情報通信ネットワークとしての機能の安定的な維持を図るため、情報通信ネットワーク全体から見た対策項目について網羅的に整理、検討を行い、ハードウェア及びソフトウェアに備えるべき機能やシステムの維持・運用等を総合的に取り入れた、安全・信頼性に関する推薦基準(ガイドライン)です。
電気通信事業者のネットワークについて、電気通信事業法の技術基準以外のソフトウェア対策、情報セキュリティ対策、設計・施行・運用等における管理等を規定するとともに、電気通信事業法の技術基準の対象とならないネットワークについても、予備機器の設置、故障検出、異常ふくそう対策、耐震対策、停電対策、防火対策等を詳細に規定する等しており、電気通信事業法に基づく強制基準としての技術基準と、ガイドラインとしての安全・信頼性基準が両輪となって、情報通信ネットワークの安全・信頼性の確保を図っています。
また、時代に応じた有効な安全・信頼性対策となるよう、以下のような大規模な見直しを行い現在に至っています。
現在の安全・信頼性基準は、設備及び設備を設置する環境の基準である「設備等基準」と、設計・施工・維持・運用の段階での「管理基準」に区分され、以下のように合計114項目376対策からなっています。また、これらの対策について、措置例等を参考として解説に示しています。
情報通信ネットワーク安全・信頼性対策実施登録規程は、情報通信ネットワーク(有線・無線等により、符号・音響・影像を送受信等するためのネットワーク)のうち一定の安全・信頼性対策が実施されているものを登録することにより、情報通信ネットワークの安全・信頼性の向上を図り、もって社会の情報通信の健全な発展に資することを目的としたものでしたが、平成27年4月の安全・信頼性基準の改正に併せて廃止となりました。