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【関東総通】e−コムフォKANTO

令和4年6月17日
関東総合通信局

令和4年度「電波の日・情報通信月間」の行事として、
記念講演会―アフターコロナを考える― 『ICTの利活用に関して』を開催

 総務省関東総合通信局(局長:小笠原 陽一(おがさわら よういち))は、関東情報通信協力会(会長:熊谷 典和(くまがい よしかず)株式会社テレビ神奈川 代表取締役社長)との共催により、令和4年5月24日(火曜日)に、「―アフターコロナを考える― 『ICTの利活用に関して』」と題する記念講演会をオンラインにて開催しました。
 本記念講演会は、関東情報通信協力会会員及び一般参加者約95名の方々に聴講いただきました。
 
 主催者から、講演会参加への御礼とともに、「コロナ禍で企業・個人を問わずリモートワーク、テレワークをはじめ、ICTの活用がずいぶん浸透した。通常の生活にもどっていく中で、どのような課題があるのか、その先にはどういった社会があるのか。そのあたりをご講演いただき、皆さまもICTの利活用に関していろいろなサジェスションを得ていただければ幸いです。」(小笠原局長)「今回の開催テーマ、「アフターコロナを考える」は、非常にタイムリーなものになっている。アフターコロナの時代を見据えて、教育・医療・防災・ビジネスシーンでもますます活用の幅を広げているICTの利活用について、ご講演いただければと思う。」(熊谷会長)との挨拶の後、記念講演会が開催されました。

<記念講演:「―アフターコロナを考える― 『ICTの利活用に関して』」>
講師:東京大学大学院教授 柳川 範之 氏

 コロナが徐々に終息している中で、世の中がどのように変わっていくのか。その中でICTの利活用はどのように本質的な構造を変えるのか話していく。まずコロナが起きた2年間での経済環境の構造変化について。ここでは(1)コロナの感染状況に関する不確実性(2)AI・デジタル技術の一層の進展(3)オンライン・テレワークの拡大(4)SDGs、環境問題、社会課題への関心の高まり(5)地政学的な不安定性の拡大が挙げられる。

 

 結論をまず申し上げるが、こういう時代において、デジタル化・ICTの更なる利活用がどの産業においても決定的に重要になってくることだ。不確実性の時代でデジタル活用が進んでいる中で、ICTの更なる利活用というのが大きなポイントになる。

 

 いろいろな側面がデジタル技術によって変わり、リモートワーク、オンラインを活用することで、時間と場所にとらわれない働き方が可能になったと実感した。また、単なる働き方だけではなく、家事や育児、社会貢献活動などに幅が広がってくる。

 

 一方、「場所」に焦点を当てると、リモートワーク、ワーケーションが多地域居住・多地域就労を現実のものにした。このことは、地方創生のさまざまな取組に向けて可能性を大きく広げるのではといわれている。
ひとつの技術がひろがっていくことで、我々の働き方、生活の仕方、あるいは居住の仕方、それらが地方と都市の関係を変え、うねりとなってくることが予想される。

 

 一方、ICTの利活用というと、技術ばかりに目が行きがちだが、基本的大前提として、法制度、行政のサービスを対応させていくことが重要。

 

 今後ますます人手不足が懸念されるなか、行政の効率化(デジタル化)をいかに進めていくかが、各自治体の大きな課題となってくるだろう。

 

 ICTを利活用した町づくりというと、技術先行型になりがちになるが、技術やICTの利活用はあくまでも手段。手段であるデジタル化、ICTの利活用が目的化してしまうと、住民にとって逆に使いづらくなってしまうこともある。ICTの利活用も大事だが、町づくりの場合は、まずは、住民側のニーズをいかにくみ取るか、何に困っていて、何を解消してほしいのか、何を必要としているのかをしっかり把握して、技術や新しいサービスを利用して実現させていくというステップで考えていく必要がある。目標設定をしっかりやってこそ、ICTを利活用した町づくりがしっかりしたものになっていく。目標設定のためにデジタルを活用し、データの収集、ニーズの収集を行いそれを、町づくりのデジタル化・ICTの利活用につなげていく、このつなげていく作業を人間がしっかりやっていかなければいけない。

 

東京大学大学院経済研究科 柳川教授の写真

 

 講演会終了後には、聴講者から受け付けた質問に対し、柳川教授から御回答をいただきました。

 

Q:コロナ禍後の社会は、ICTになじむ業種とそうではない業種(飲食業等)との格差が生じていくのではないでしょうか。また、ICTに取り残された方の支援はどうあるべきか。
 
A:1番目の質問について、ICTになじむ業種とそうではない業種(飲食業等)はたしかにある。ただ、どのような産業においても、ICTの利活用の重要度は高くなっていくと思う。人間の知恵を出すためのバックデータとしてのデジタル情報、データは大事だし、それをしっかり把握するためのICTというのは同様に重要になってくる。

 

2番目の質問になるが、取り残されない方々を作っていくというのも重要なところだが、大事なポイントは、それを理由に「デジタル化しない」とならないこと。せっかく享受できる技術革新のメリットを誰もが手に入れられなくなってしまう。デジタル化やICT活用をしつつも、そこで困る人たちに対してもしっかりとしたサポートをしていくという組み合わせを考えることだと思う。高齢者の方がどう操作したら良いかわからないという実態は、デジタル技術サービスの未熟さだと思っている。デジタル技術は、もっとユーザーフレンドリーであるべきで、誰でも当たり前のように使えることこそ本当のデジタル技術と考える。そういう方向で技術革新を期待したいところだが、まだ十分でない以上、しっかりリアルに人がサービスを提供していくということが大事だと思う。

 
Q: 新たな地方創生を実現させるチャンスは同感ですし、進めるべきだと思います。ただし、それを進めるためには、資金も必要でそのための自治体への国としての補助金などの制度、大胆な政策も必要なのではないか。
 
A:私の個人の意見となるが、まさにそうだと思う。その一方で、余裕のある財政状況ではないというのも事実。大事なところにお金をしっかりつける、削れるところはしっかり削っていく。中・長期投資だという認識のもとで、プランニングをしっかりやっていくことが大事。その上で、必要なお金はしっかり出していくというのが重要になってくる。
 
 

 本講演会を聴講された方からは、「非常に興味深い話題を丁寧で分かりやすかった。日本でデジタル化が進まないといったお話など、ホンネの部分についても大変参考になりました。」「建設業ですと、ICT利活用ができるケースが少ないのが現状です。現場はどうしてもアナログなため、部分的なICT利活用になってしまいます。ビジョン⇒ニーズ⇒ソリューションのお話しは、参考になりました。」他、多くの感想が寄せられました。

 

 総務省関東総合通信局では、引き続き、関東情報通信協力会との共催による講演会やセミナーなどの企画を行って参ります。


連絡先
総務省関東総合通信局
総務課企画広報室
担当:前田、山永
電話:03-6238-1630

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