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【関東総通】e-コムフォKANTO

令和7年4月7日
関東総合通信局

ディープテック・スタートアップ支援セミナーを開催

 総務省関東総合通信局(局長:高地 圭輔(たかち けいすけ))は、イノベーションを創出し地域活性化や社会課題解決に貢献する研究開発型スタートアップ創出に向けた起業家育成・支援を目的として、「ディープテック・スタートアップ支援セミナー」を令和7年3月17日(月曜日)にオンライン開催しました。

概要

 政府では、「スタートアップ育成5か年計画」を着実に推進するとともに、「地方創生2.0」の実現に向けて「地方イノベーション創出構想」を進め、大学・企業・自治体などが連携し、地域活性化や社会課題の解決に貢献するスタートアップを育成するための環境づくりを進めている状況を踏まえ、ディープテック分野における起業家育成や支援を目的とし、起業に対する意識高揚や機運醸成を図り、イノベーションの創出や産業の新陳代謝を促す取組の一環として、本セミナーを開催しました。
 セミナーは、「研究開発型スタートアップ創出」をテーマとして、スタートアップに関する各種施策や起業経験者の知見について様々な組織・立場にある5名の方からご講演をいただいた後、ファシリテーター1名・パネリスト3名により「ディープテック・スタートアップの現状・特徴・課題等」についてパネルディスカッションを実施していただきました。
 当日は、大学生・高等専門学校生・研究機関・大学関係者・行政機関・起業家支援企業(金融機関、VC等)・スタートアップ起業等、多くの関係者の方々に視聴していただきました。
 冒頭、主催者である関東総合通信局 高地 圭輔 局長より開会挨拶を行い、以下のとおり各講師の皆様からご講演をいただいた後、パネルディスカッションを行っていただきました。

開会挨拶を行う高地局長

関東総合通信局 高地局長

【講演1】

演題
 全国アクセラレータ・プログラム「起業家甲子園・起業家万博」
講師
 安藤 満佐子 氏
 国立研究開発法人 情報通信研究機構(NICT) アントレプレナー支援室 室長
概要
 「起業家甲子園・起業家万博」を中心に、地域ICTスタートアップ・エコシステムの構築やディープテック領域への期待、環境変化に合わせた支援の必要性について、ご講演いただきました。

 講演の様子

安藤 満佐子 氏

安藤氏 講演の様子

(質疑応答)
質問
 ICTメンター人材の発掘は、どのように行われているのか。
回答
 NICTの事務局とともに、地域の連携大会や大学訪問時に適切な人材の確保を進めている。委嘱をお願いする際には、面談を通じて、同じ志を有する方にICTメンターをお願いしている。発足時より参加していただいているメンターもいるところ、常に人材を探しているため、候補者は歓迎している。

【講演2】

演題
 総務省におけるICTスタートアップ支援の取組み
講師
 小出 孝治 氏
 総務省 国際戦略局 技術政策課 技術調査専門官
概要
 総務省が令和5年度より実施している「スタートアップ創出型萌芽的研究開発支援事業」について、支援概要と直近の取組、採択者の活用事例をご紹介いただきました。

 講演の様子

小出 孝治 氏

小出氏 講演の様子

(質疑応答)
質問
 総務省事業に申請する際には、事前の連絡や相談は必要なのか。
 また、他機関の事業と並行して申請しても良いか。
回答
 総務省事業の補助金申請については、事前の連絡や相談は不要である。他機関に係る補助金の複数申請については、他事業と並行して申請しても問題ないが、同一のものに対して複数事業からの補助金が重複支給されることは好ましい状況ではないため、最終的には1つの事業からの補助金を受ける形となる。

【講演3】

演題
 科学技術振興機構(JST)におけるスタートアップ創出・支援事業
講師
 粂田 真宏 氏
 国立研究開発法人 科学技術振興機構 スタートアップ第1グループ 調査役
概要
 科学技術振興機構(JST)が実施している、大学発新産業創出プログラムや大学発新産業創出基金事業をはじめとした各種事業についてご紹介いただきました。

 講演の様子

粂田 真宏 氏

粂田氏 講演の様子

(質疑応答)
質問
 プロジェクト推進型SBIRフェーズ1支援は、必ず社会実装まで到達しなければならないのか。実証段階で新技術の実装が困難と判明した場合、支援金の返還等は生じるのか。
回答
 当初の目的の変更や実証を断念することもあるため、そのような場合には支援金の返還は生じない。ただし、フォローアップのため一定期間の追跡調査は必要となる。

【講演4】

演題
 GTIE(Greater Tokyo Innovation Ecosystem)の取り組み
講師
 辻本 将晴 氏
 東京科学大学 環境・社会理工学院 教授/イノベーションデザイン機構 機構長
概要
 「Greater Tokyo Innovation Ecosystem(GTIE:ジータイ)」について、組織概要やGAPファンド、アントレプレナーシップ教育等の取組みについてご紹介いただきました。
 

 講演の様子

辻本 将晴 氏

辻本氏 講演の様子

(質疑応答)
質問
 講演を通じ、GTIEは医療系分野が強いプラットフォームという印象を受けた が、全国9つあるプラットフォームごとに強い分野と弱い分野があるものなのか。また、プラットフォームごとに特徴はあるのか。
回答
 融合領域を含むライフサイエンス分野は、大学発のスタートアップにおいて、共通に重要かつシェアの大きい分野であると感じている。全国のプラットフォームでは、参加している大学の地域特性や著名な研究者の存在・活躍等によって特徴が生じ得ると考えている。

【講演5】

演題
 医療AIスタートアップの創業と経営
講師
 飯塚 統 氏
 メドメイン株式会社 代表取締役 CEO
概要
 九州大学医学部在学中にディープテック・スタートアップとして起業した、メドメイン株式会社の病理AIの開発と創業経緯・経営、医療AIスタートアップとしてこれまでにチャレンジしてきたことや学んできたことについてご紹介いただきました。

 講演の様子

飯塚 統 氏

飯塚氏 講演の様子

(質疑応答)
質問
 起業にあたって、家族や所属研究室等へ、事前に相談等はしていたのか。
回答
 家族にはあまり相談しておらず、特に、医学部に入学したにもかかわらず、スタートアップを目指していることもあり、家族は反対の立場だった。しかし、起業家万博における総務大臣賞等をはじめとした様々な実績を積むにつれ、賛成の立場に変化して応援してもらえるようになっていった。

【パネルディスカッション】

  • ファシリテーター
    杉原 美智子 氏
    フォーアイディールジャパン株式会社 代表取締役社長
  • パネリスト
    安藤 満佐子 氏、辻本 将晴 氏、飯塚 統 氏

概要
 杉原氏のファシリテーターによる進行のもと、組織や立場の異なる3名のパネリストから、ディープテック・スタートアップの現状及び特徴と課題について、様々な意見や提案等の議論が行われました

[パネリストより発言(一部抜粋)]
安藤氏
 ディープテック領域の人々は、技術を持っていることが最大の強みであり、その中でのチーム作りは非常に重要であると考えている。NICTとして力になれる部分があれば、引き続き積極的に支援していく。
飯塚氏
 ディープテック・スタートアップの起業や経営は大変である一方で、何かを生み出した際の喜びや社会へのインパクトは大きいと考えている。ディープテック・スタートアップにこれから取り組む方もしくは現在取り組んでいる方は、新産業の創出や世界を次の時代に導く等の大きな志を持って取り組んでもらいたい。
辻本氏
 The Engineというベンチャーキャピタルには” Tough Tech” という言葉がある。ディープ(深い知見)だけでなく、タフさ(打たれ強さ)も兼ね備えた技術を核に、生き残っていくことも大事だと考えている。スタートアップにおいて、打たれ強く生き残る人が少しでも増えていくような知見を発見していきたい。

ファシリテーター 杉原氏

ファシリテーター 杉原氏

パネルディスカッションの様子

パネルディスカッションの様子


 セミナー修了後の参加者からのアンケート結果では、「ディープテックスタートアップについて概括的な理解が進んだ」「大学・研究機関からのディープテック・スタートアップの情勢や動向を伺うことができ有意義な時間でした」「立場の違う方々の講演だったのでいろいろな視点を伺えて良かった」などの感想が寄せられました。

 関東総合通信局では、引き続き、イノベーションを創出し地域活性化や社会課題解決に貢献する研究開発型スタートアップ創出に向けて、ディープテック分野の起業家育成・支援に取り組んでまいります。


連絡先
総務省 関東総合通信局
情報通信部 情報通信連携推進課
担当:田上、日高
電話:03-6238-1680

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