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【関東総通】e-コムフォKANTO

令和8年6月29日
関東総合通信局

令和8年度「電波の日・情報通信月間」の行事として、
記念講演会「地政学・マクロ環境変化を踏まえたICT 領域の重要性
〜中長期リスクマネー供給者としての官民ファンドJICTの取り組み」を開催

 総務省関東総合通信局(局長:内藤 茂雄(ないとう しげお))は、関東情報通信協力会(会長:青柳 洋治(あおやぎ ひろじ)千葉テレビ放送株式会社 代表取締役社長)との共催により、令和8年5月29日(金曜日)に株式会社海外通信・放送・郵便事業支援機構(JICT)代表取締役社長 大島 周 氏をお迎えし、令和8年度電波の日・情報通信月間記念講演会 「地政学・マクロ環境変化を踏まえたICT領域の重要性〜中長期リスクマネー供給者としての官民ファンドJICTの取り組み」を開催しました。
 本記念講演会は、電波の日を祝し、また、情報通信の普及・振興を図ることを目的として設けられた情報通信月間の機運を高めるため、関東情報通信協力会との共催で、電波や情報通信に関する最新の情勢等をテーマに毎年開催しているもので、関東情報通信協力会会員及び一般参加者を対象にオンラインで実施されました。
 主催者挨拶の後、講師の大島氏より、次のような要旨にてご講演をいただきました。

【地政学・マクロ環境変化を踏まえたICT領域の重要性〜中長期リスクマネー供給者としての官民ファンドJICTの取り組み】
講師:株式会社海外通信・放送・郵便事業支援機構(JICT)代表取締役社長 大島 周 氏

講演の様子

大島氏

 
 本日は、このような貴重な機会を頂戴し、誠にありがとうございます。会場には、電波・情報通信分野に深いご知見をお持ちの皆様が多くいらっしゃると思いますが、私からは、やや広い視点に立って、国際情勢や世界の構造変化を踏まえ、情報通信分野をどのように見ていくべきかについてお話ししたいと思います。講演では、大きく三点を申し上げます。第一に、地政学や金融市場を含む世界情勢の変化です。第二に、ICTをめぐる技術・産業環境の現状です。第三に、それらを踏まえた日本の政策的な方向性と、JICTとしての取り組み、そして今後の課題です。単なる業界論にとどまらず、日本の競争力、安全保障、資金供給のあり方まで含めて考える必要がある、という問題意識を共有させていただきます。
 
 まず、世界情勢についてです。現在の国際環境は、中東情勢やウクライナ戦争に象徴されるように、不確実性が非常に高い状況にあります。米国では第二次トランプ政権の下で、外交・通商・安全保障の枠組みが揺れ動き、世界全体が再び地政学を強く意識する時代に入っております。安定した国際秩序を前提に経済活動へ集中できた時代とは異なり、今後は政治・安全保障・技術が一体化した環境認識が必要です。加えて、金融面では、AI分野を中心とする大型投資が進む一方、円安や長期金利上昇、世界的なインフレ圧力などが重なり、市場は複雑で分断的な様相を見せています。日本においては、自由貿易・通商に支えられてきた地政学的な背景があるところ、資源・食料も金融がないと保てない中、技術の優位性の確保が安全保障と直結する課題になっているといえます。
 次に、ICTをめぐる環境認識です。デジタル競争の構図を見ると、日本は米国や中国に対して投資規模の面で大きな差をつけられております。研究開発費、プラットフォーム収益、クラウド基盤、生成AIへの資金投入のいずれを見ても、規模の差が競争力の差として積み上がっています。一方で、データ量は爆発的に増加しており、クラウドや生成AI、データセンターへの需要はさらに強まっています。データセンターは今や単なる設備ではなく、社会インフラであり、安全保障上の重要拠点でもあります。しかし、その整備には膨大な資金が必要であり、電力・水・土地といった制約に加え、民間資金を呼び込みにくいという課題もあります。また、サイバーセキュリティの脅威は深刻化しており、海底ケーブルや非地上系通信の確保も、日本の情報通信基盤を守る上で不可欠です。加えて、量子、宇宙通信、光電融合といった新技術への対応も急がれます。
 こうした中で、日本政府も情報通信分野を、経済・安全保障・GX/DXを支える共通基盤として位置づけつつあります。JICTとしても、データセンター、海底ケーブル、AI関連分野などへの投資に取り組んでおり、新しい分野も含め、将来的に力を入れていく必要があります。官民ファンドとして、短期収益だけでは支えにくい分野への中長期リスクマネーを供給し、民間投資を呼び込む役割が重要になっています。
 
 以上、申し上げたように、現在の情報通信分野は、単なる産業政策の対象ではなく、国際秩序、経済安全保障、社会基盤そのものに関わる領域となっております。だからこそ、世界を多面的に見て、技術・金融・政策を結びつけながら戦略を考えることが必要です。JICTとしても、今後さらに長い視点で日本の競争力強化に貢献してまいりたいと考えております。また、特に若い世代には、今の日本が置かれている厳しい競争環境を直視しつつ、ぜひ世界に挑戦していただきたいと思います。情報通信の分野には、まだ大きな可能性があります。グローバルな舞台で活躍する人材が増えることこそ、日本の未来を支える力になると考えております。
 

 講演終了後には、聴講者から「目下の中東情勢や、それに伴う経済活動への悪影響によって、海外のICT市場には何らかの影響は出ているのでしょうか。例えば、米国や欧州でのデータセンター需要は、湾岸情勢によっても影響されていないのでしょうか。」等の質問があり、大島氏からは、「データセンターの関連投資には、様々な要因で中長期的な影響が及ぶ可能性があります。目下の中東情勢の短期的な収束でホルムズ海峡が一時的に開放されるとしても、継続的な物流の復旧には時間がかかります。また、金融の観点では、資金面でも十分とは言えない供給環境の中で、市場の整備が追いつかないまま、企業のバランスシートに依存した投資が進んでいるため、その観点での制約があることが予想されます。加えて、エルニーニョ現象による干ばつ・水不足などの気候要因によるリスクや米国におけるスペースXやアンソロピックなど大型案件にかかる資金集中することも見込まれます。今後も継続的な観点で注視していきたい。」という旨の御回答をいただきました。
 
 本講演を聴講された方からは、「地政学・歴史に立脚しながらのお話、大変興味深く伺いました。」「グローバルの観点から見た国内通信事業の概況、また国の施策をバックアップする組織の存在、どれも興味深かった。」の他、多くの感想が寄せられました。
 
 関東総合通信局では、引き続き、関東情報通信協力会との共催により、ICTに関連した様々なテーマによる講演会やセミナーなどの企画を行って参ります。

連絡先
総務省 関東総合通信局
総務部 企画課
担当:尾之上、杉田
電話:03-6238-1631

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