
講師:総務省総合通信基盤局電波部移動通信課 田野正行 課長補佐
特定ラジオマイクのさらなる高度化に向けた取り組みとして、周波数利用効率を大幅に向上させる新たな無線音声伝送技術「WMAS(Wireless Multichannel Audio Systems)」の導入に向けた検討を2026年7月から開始したとの説明がありました。
あわせて、MCAサービス終了後に空く900MHz帯の周波数を特定ラジオマイク向けに新たに割り当てる検討も進められており、今後の制度化に向けた方針が示されました。

講師:株式会社NHKテクノロジーズ ファシリティ技術本部システムソリューション部 岩田昭光 氏
特定ラジオマイクの高度化技術として注目されるWMASについて詳しい説明がありました。
WMASは、広帯域の電波を利用して複数のオーディオチャンネルを同時に伝送する無線システムです。従来方式と比較して周波数利用効率を3〜6倍向上できるほか、機器の省スペース化や運用管理の簡素化といったメリットが期待されています。
欧米ではすでに導入が進みつつあり、日本国内でも技術検討や実証実験が進められています。講演では、WMASに関する国際規格や技術基準についても紹介され、制度整備に向けた最新動向が共有されました。

講師:シュア・ジャパン株式会社 マーケット・デベロップメント部 井上直行 氏
「AXT Digital PSMシステム」と、その新機能であるWMASモードについて説明がありました。
WMASモードでは、従来のナローバンド伝送に加え、800kHz及び400kHzの広帯域伝送に対応。これにより、多チャンネル運用が可能となるほか、電波環境が厳しい現場においても運用マージンの拡大が期待できます。
また、ShowLinkによるリモートコントロール機能や空間ダイバーシティ技術など、運用効率や信頼性を高める各種機能についても紹介され、WMAS導入による具体的なメリットが示されました。

講師:ゼンハイザージャパン株式会社 プロオーディオ 藤井宏幸 氏
WMAS対応製品「Spectera」の紹介がありました。 「Spectera」は、世界初の双方向マルチチャンネル伝送デジタルワイヤレスエコシステムとして開発された製品です。1Uサイズのコンパクトな構成で最大64チャンネルのオーディオ伝送を実現し、最短0.7msの低遅延と24bit・96kHz非圧縮の高音質を両立しています。
さらに、6MHz及び8MHzの広帯域WMASを活用することで周波数利用効率を大幅に向上。PCやAPIを活用した柔軟な制御・監視機能も備えており、今後はハンドヘルド送信機やST 2110対応製品の展開も予定されていることが紹介されました。


講演後には、シュア・ジャパン株式会社及びゼンハイザージャパン株式会社によるWMAS対応機器の実機展示と試聴体験が行われました。
参加者は従来のナローバンド方式と比較しながら、音質や伝送遅延の違いを実際に体験。WMASの概要説明と実機デモを通じて、その技術的な特長や今後の活用イメージへの理解を深める機会となりました。
会場からは高い関心が寄せられ、次世代のワイヤレス音響システムとしてのWMASへの期待の高さがうかがえるセッションとなりました。

