【関東総通】e-コムフォKANTO
平成30年3月6日
関東総合通信局
山梨県にてIoT導入支援セミナー《IoTで課題解決・事業拡大に向けて》を開催
約80名の参加者が熱心に受講
関東総合通信局(局長:関 啓一郎)は、平成30年2月1日(木曜日)、甲府市の山梨県男女共同参画推進センター(ぴゅあ総合)大研修室において、総務省関東総合通信局・山梨県地域ICT推進協議会の主催、山梨県・山梨県IoT推進ラボの共催、一般社団法人山梨県情報通信業協会・NPO法人ITコーディネータ山梨・NPO法人山梨情報通信研究所の後援により、「IoT導入支援セミナー《IoTで課題解決・事業拡大に向けて》」を開催しました。
このセミナーは、総務省の「IoT機器等の電波利用システムの適正利用のための人材育成事業」として開催したものです。
《主催者挨拶》
はじめに主催者を代表して、総務省から関東総合通信局情報通信部長 山下朝文が挨拶を行いました。山下部長は、冒頭、約80名の参加者の下、本日セミナーを開催できることについての謝意と、山梨県におけるIoTの関心の高さが窺えると述べました。
まず、わが国は経済の好循環が実現しつつある一方、中小企業は深刻な人手不足に直面しており、政府は、生産性革命・人づくり革命・働き方改革を掲げ、中小企業の生産性を高めるべく企業のIT導入支援を進めていく旨を説明し、IoT・AI等は、課題解決や生産性向上を高めるだけでなく、新たな価値やサービスを生み出すものであり、全業種・全産業がその活用に取り組むべきであると述べました。
今後は、無線を使っていなかった方々も含め様々な方がIoTを導入するため、本日のセミナーでは、初めて無線を使う方でも電波の特性を踏まえ、効率的かつ効果的にIoTを導入できるよう、IoTの効果、電波法制度、導入実践ワークショップという構成となっており、ぜひ本日の実践された内容を自社に持ち帰って有効に活用いただきたいと述べました。
最後に、先月関東総合通信局と関東経済産業局が局長級連携チームを発足させ、今後両局が連携して地域のIoT導入を支援していくこと、両局を大いに活用いただきたいと述べました。
《共催者挨拶》
続いて、開催地を代表して、山梨県総務部情報政策課長 渡邊雅人氏よりご挨拶をいただきました。渡邊課長は、山梨県では、経済産業省から「山梨県IoT推進ラボ」の認定を受けた以降、産業界・行政・金融機関と連携して中小企業等のIoT導入等を支援していると述べられ、こうした中、IoT導入支援セミナーが開催できること、県内の産業界から要望のあった旭鉄工株式会社のIoT導入事例の講演は、関東総合通信局と関東経済産業局の連携により実現に至ったことへの御礼を述べられました。
本セミナーは、IoTに関する技術的な知見や関連制度、ワークショップなど盛りだくさんの内容であり、参加者のIoTへの理解や導入の一助となることを大いに期待していると述べました。
国の第5期科学技術基本計画で目指すべき未来社会の姿として提唱されているSociety 5.0を紹介し、現在はこれに移行している時期であり、IoTは既に実証から実装の段階になり、あらゆる産業においてIoTを活用して、品質や付加価値の高い製品やサービスを提供したり、生産性向上を図り、労働力不足に対応していく必要があることを述べました。
最後に、Society 5.0が提唱する日本の未来の姿を想像していただきながら、IoTの理解を深めていただき、本セミナーをきっかけに山梨県の企業や団体にIoTの導入が促進されることを期待すると述べました。
《来賓挨拶》
続いて、来賓を代表して、関東ICT推進NPO連絡協議会顧問であり、山梨県立大学 名誉教授の伊藤 洋氏よりご挨拶をいただきました。
伊藤氏は、まず、従来の聴講型のセミナーとは変わった実践型のセミナーを総務省が開催することについて、感謝の言葉を述べられました。
そして、「中小企業」の定義は、資本や従業員の規模で区分されてきたが、IoT時代を迎えた今、資本や従業員の規模から企業を区分する概念からは解放された時代に入ったこと、技術要素を持たなくても、あるいは人材を持たなくても、ネットワークを通じて世界中から資源を求められる時代になったこと、資源がなければ外に求め、自ら持っている資源を他者に提供できるという、マーケットそのものが地球儀全体の中にある、そのような時代になったことに触れられました。
冒頭の挨拶のとおり、「Society 5.0」の時代の今、本セミナーは、IoT導入を検討される皆様にとって大きなヒントになり、これからの活動にとって必ず有効なヒントを与えてくれること、長丁場になるが、最後までご参加いただき、明日からの皆様の仕事に道を開いてくれることを期待すると述べました。
(左)関東総合通信局 山下部長、(中央) 山梨県 渡邊課長、(右) 関東ICT推進NPO連絡協議会 伊藤顧問
《セミナー》
続いて、3章の構成からなるセミナーを開始し、講師がテキストに基づき講義を進めました。
第1章では、「IoTの基礎知識、IoTとは何か?、IoTのイメージをつかもう」と題して講義が行われ、総務省が作成したIoT導入事例動画も上映されました。
そして、「IoT導入先端企業における事例紹介」と題して、愛知県の旭鉄工株式会社 代表取締役社長 木村哲也氏が、「製造ライン遠隔モニタリングサービス」について講演を行いました。
旭鉄工株式会社は、トヨタ自動車の1次仕入れ先として、自動車部品等を製造しており、木村社長は、まず生産個数・製品が1個できる時間・ラインの停止時間などの製造ラインの稼働状況を、簡易なセンサーで自作し、ラインに取り付けることにより自動的に把握することを実践されました。さらに、センサーから得られたデータに基づき、ライン停止時間の撲滅・製品1個の製造時間の短縮等の業務改善を図り、その結果、設備投資額の削減・従業員の残業及び休日出勤減少による労務費の削減・工場スペース確保等の新たな設備投資の削減等の成果が得られたことを、事例を挙げて説明しました。
最後に、木村社長は、各種データの把握は自動化し、人間は改善に集中し付加価値の高い仕事を行うことが重要であると述べ、改善の成果を得るためには、(1)明確な目的を持つこと、(2)必要最低限のデータ取得とすること、(3)得られたデータにより改善し運用に力を入れることの3点が重要であると述べ、事例紹介の講演を終えました。
(左)セミナーの様子、(右)旭鉄工株式会社 木村社長
第2章では、「IoTの技術・関連法制度、もっと知りたいIoT、IoTの技術を知ろう」と題して講義が行われました。
休憩時間には、IoTの実機デモンストレーションが行われ、シングルボードコンピュータ(Raspberry PI 3)に温度・湿度センサーを接続し、ある一定以上の温度になると接続されたファンが動作しライトが点灯すること、収集したデータがクラウドに相当するパソコンやスマホに無線LANで送られ、グラフとして可視化できることなどを、講師がセンサーを操作しながら説明しました。
参加者は講師に質問するなど、積極的に説明を聞いていました。
デモンストレーションの様子
第3章では、「IoTの活用、自社でIoTを活用するには?、IoTの導入手順を知ろう」と題して講義が行われました。
そして、14グループによりワークショップが行われ、自らの企業等が抱える問題点について、IoTを利活用することで解決したい課題の洗い出しと解決策の案出等をグループ内で討議し、ワークシートに記入していきました。
そして最後に、講師が任意の1グループを指名し、参加者を代表して自社のビジネス課題の洗い出しと解決策について、ワークショップで議論した結果を発表して講義を終了しました。
(左)ワークショップの様子、(右) グループ発表の様子
《関連施策等の紹介》
セミナーの最後に、関連施策等の紹介として、(1)山梨県産業労働部新産業・経営革新支援課の清水康邦補佐から「山梨県IoT推進ラボ」について、(2)経済産業省関東経済産業局地域経済部 情報政策課の小林宏光補佐から「平成29年度補正予算による補助金制度」について、(3)総務省 関東総合通信局情報通信部情報通信連携推進課の道祖土直美課長から「戦略的情報通信研究開発推進事業(SCOPE)」と「IoTシステム技術検定」について、それぞれ説明を行い、セミナーは終了しました。
(左)山梨県 清水補佐、(中央) 関東経済産業局 小林補佐、(右) 関東総合通信局 道祖土課長
ページトップへ戻る