九州総合通信局(局長:森 孝)は、平成30年11月14日(水)、KKRホテル熊本において、「災害情報伝達に関するセミナー」を開催しました。
このセミナーは、近年自然災害が頻発している中、被害が大きかった西日本の総合通信局4局が共同で企画したセミナーの一環として開催したもので、各分野の専門家の方々から「災害情報伝達」に関する講演をしていただくことにより、主に地方公共団体の方々に九州地域の特性や実情に応じた今後の防災・減災対策に役立てていただくことを目的として開催しました。
セミナーには、会議の前段で開催された非常通信協議会の実務担当者や九州災害情報利活用連絡会(Lアラート連絡会)の参加者及びその他一般の方々165名が参加しました。
セミナー冒頭、九州総合通信局の森孝局長から、最近の自然災害によりインフラが被害を受けて経済活動に支障が出ていること、自然災害の多い西日本の4局が連携してセミナーを開催することの趣旨について説明があり、4名の専門講師の講演が災害時の情報伝達の在り方を考える一助になれば幸いであるとの挨拶がありました。
<森局長挨拶>
【講演1】「防災・減殺に向けた情報伝達の方向性」
長崎総合科学大学名誉教授
株式会社九州地域情報化研究所 代表取締役 横山 正人 氏
情報伝達装置が喪失した場合に備え、常日頃から多様な情報伝達手段を使用することや、屋内にいる人や外国人等へそれぞれ分かりやすい情報伝達を心がけること、信頼性のある人に情報を発信してもらう等、効果を考えながら提供することが必要との話がありました。
<横山正人氏>
【講演2】「効果的情報伝達と情報共有〜避難行動アンケートを受けて」
福岡県東峰村総務課長 眞田 秀樹 氏
九州北部豪雨で被害が大きかった同村は、被災後住民アンケートを実施しており、災害行動について分析した結果の説明がありました。災害発生当時、住民の1割が避難しておらず、避難のタイミングや、避難指示の内容が分かりにくかったこと、道路啓開(緊急車両等の通行のため、早急に最低限の瓦礫処理を行い、簡易な段差修正等により救援ルートを開けること)状況が不明だったことなど、回答結果について説明がありました。改善策として、住民が歩いて防災マップを作成することや、防災行政無線の屋外スピーカーを高性能化する等、今後の10項目の取組が紹介されました。
<眞田秀樹氏>
【講演3】「NTTドコモの災害対策」
株式会社NTTドコモ九州支社災害対策室長 道野 昌一 氏
電気通信事業者の通信サービスが被害を受けた場合の対策について、システムとしての信頼性向上、重要通信の確保、通信サービスの早期復旧など、災害対策の3原則についての説明がありました。講演では、これまで通信事業者回線が被った被害とその復旧状況についてDVD映像も交えて紹介され、通じることが当たり前と思われている通信事業者の苦労と大変さが理解できました。
<道野昌一氏>
【講演4】「防災減災×ICT×市民参加」
株式会社ローカルメディアラボ代表取締役
特定非営利活動法人NetComさが理事長 牛島 清豪 氏
災害時に多用されるSNSには、デマや不確定な場所の情報もあり、信頼性に欠けることがあるという反面、リアルタイム性が高く、多くの人からの情報が得られるというメリットがあることのほか、「災害言い伝えMAP」や「便利な防災アプリ」など有益な活用事例が紹介されました。
<牛島清豪氏>
今回、「災害情報の伝達」をテーマに4名の講師から様々な活動や取組を紹介していただきましたが、2時間半の講演に参加者は最後まで熱心に聞き入っていました。
会場の後方では、災害対策用移動通信機器の展示を行い、来場者は機器に直接触れたり、パンフレットで確認するなどしていました。
<セミナー会場>
<機器等の展示コーナー>
お問合せ先:防災対策推進室 096-326-7334