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「ローカル5Gシンポジウムin延岡」を開催
―ローカル5Gを活用した地域DXの展望―

 九州総合通信局は、延岡市、一般社団法人九州テレコム振興センター(KIAI)及び九州インターネットプロジェクト(QBP)との共催で、令和3年11月26日(金)に「ローカル5Gシンポジウムin延岡」を、Zoom及びYouTubeによるオンラインと延岡市会場のハイブリッド形式により開催しました。当日は、オンラインで90名、延岡市会場に50名の参加がありました。

 本シンポジウムは、九州地域におけるローカル5Gの更なる利活用促進を図ることを目的に、ローカル5Gを活用している企業、地方自治体、大学といった多様な分野から講師をお迎えし、ご講演いただきました。
 

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  <シンポジウム延岡市会場の様子>
 
【講演内容】
(1)九州工業大学における5G実証フィールドの紹介
  国立大学法人九州工業大学 学長 尾家 祐二 氏
  国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)
   総合テストベッド研究開発推進センター長 児島 史秀 氏
(2)ローカル5G活用に向けた様々な取組事例の紹介
 ア 交通分野等での事例紹介(大分県)
   大分県 商工観光労働部 DX推進課 課長補佐 武藤 祐治 氏
 イ 教育分野での事例紹介(宮崎県椎葉村)
   九州電力株式会社 テクニカルソリューション統括本部 情報通信本部
    ICT事業推進2グループ 副長 甲斐 寛之 氏
   富士通株式会社 システムビジネス本部
    エネルギー第一ビジネス統括部 ビジネスイノベーション推進部
     シニアマネージャ 水野 資朗 氏
 ウ 山間部林業現場での事例紹介(富山県)
   となみ衛星通信テレビ株式会社
    業務部長兼スマートシティ推進室長 浅谷 一寛 氏
 エ データセンターを活用したローカル5Gの稼働状況及び実証(宮崎県延岡市)
   旭化成ネットワークス株式会社 事業企画部
    新規事業開発グループ グループ長 渡邊 洋 氏
 オ 地域創生におけるローカル5Gの活用
   西日本電信電話株式会社 ビジネス営業本部
    エンタープライズビジネス営業部 公共営業部門
     省庁ビジネス推進担当 担当課長 藤林 利行 氏
 カ 5G関連技術の実証実験に関する取組(九州工業大学)
   国立大学法人九州工業大学大学院工学研究院
    電気電子工学研究系 教授 池永 全志 氏
(3) フリーディスカッション
 ア テーマ:「九州におけるローカル5Gの更なる活用に向けて」
 イ 座長:国立大学法人九州工業大学 学長 尾家 祐二 氏
 ウ 参加者
   布施田九州総合通信局長、読谷山延岡市長、KIAI広岡専務理事、取組事例紹介講師

 冒頭、司会兼ファシリテーター役のKIAI広岡専務理事から、5Gの全国展開にはまだ時間がかかるため、ローカル5Gという制度は現在の国内地域社会にとってメリットが大きいという点について解説された後、布施田九州総合通信局長と読谷山延岡市長から主催者あいさつがありました。

 布施田局長からは、「大容量の上り回線」や「必要なときに必要な場所でピンポイントにネットワーク構築可能」といったローカル5Gの特徴・メリットや、海外のローカル5Gの動向について紹介され、本シンポジウムを通して、ローカル5Gの活用について一緒に考えていきましょうと呼びかけました。
 

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<布施田局長の主催者あいさつ>

 また、読谷山延岡市長からは、本シンポジウム開催にあたっての御礼と、延岡市内でのローカル5Gの活用が進むことへの期待が述べられました。

 はじめに、九州工業大学の尾家氏からは、同大学と株式会社QTnetが2020年3月に九州初の免許を取得し、戸畑キャンパス内に構築したローカル5G環境や、同大学の掲げる「未来思考キャンパス構想」等について紹介されました。
 また、NICTの児島氏からは、NICTがBeyond 5G時代の社会的・技術的ニーズを検証可能な分散広域実証環境として構築する「高信頼・高可塑Beyond 5G/IoTテストベッド」を、NICT小金井本部、大阪大学、九州工業大学の3拠点に構築することが紹介されました。
 

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<九州工業大学・尾家氏の講演>

 続いて、ローカル5G活用に向けた様々な取組事例の紹介がありました。

 【取組事例1】
 大分県の武藤氏からは、「濃霧の高速道路でも安全に走行できる運転補助システムにより、運転中の周囲の車両やガードレールなどを画像認識し、5Gでリアルタイムに車内のディスプレイに表示する実証実験」や「遠隔操作ロボットを利用したリモート接客サービス」といった5Gの取組について紹介されました。また、大分県玖珠町の廃校を活用したサテライトオフィスにローカル5Gを整備する取組も紹介されました。
 

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<大分県・武藤氏の講演>

 【取組事例2】
 九州電力(株)の甲斐氏と富士通(株)の水野氏からは、宮崎県椎葉村における教育分野での取組として「遠隔共同授業・交流授業・e-ラーニング」、「アウトリーチ型研修」、「プログラミング授業」、「新たな仕事場の提供(ワーケーションのセキュアな環境整備)」等の実証実験について紹介されました。

 【取組事例3】
 となみ衛星通信テレビ(株)の浅谷氏からは、農業現場での労力の省力化と安心安全な農業を実現する実証事例と、山間部林業現場において作業車の遠隔操作システムや現場映像とAIを組み合わせた危険予知システムを構築することにより林業の生産性と安全性の向上を実現する実証事例について紹介されました。

 【取組事例4】
 旭化成ネットワークス(株)の渡邊氏からは、現在、データセンター内にてローカル5Gを稼働しており、スマートグラスによる保守サービス等ソリューションや各種デバイスの接続について検証していること、今後はデータサーバ内の配線レス化も目指していることが紹介されました。  
 また、来年3月からは延岡駅周辺にローカル5Gを体験できるオープンラボ「COCO-CAFE延岡」を開設する計画も紹介されました。
 

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<旭化成ネットワークス株式会社・渡邊氏の講演>

 【取組事例5】
 西日本電信電話(株)の藤林氏からは、「製造業におけるスマートファクトリーの実証」、「建設現場における実証」、「遠隔コーチングシステムによるスポーツでの実証」、「長崎大学病院と五島市の五島中央病院間における遠隔医療の実証」、「港湾分野におけるコンテナターミナル業務の遠隔操作の実証」といった全国の取組について紹介されました。

 【取組事例6】
 九州工業大学の池永氏からは、同大学における「産業用ロボット制御による次世代FAシステムの実証実験」や「視覚障がい者向け歩行支援システム」について紹介され、特に歩行支援システムにはリアルタイム性が不可欠であることから、その実現には「超低遅延」であるローカル5Gが必要であることが指摘されました。
 また、同大学の整備しているローカル5Gのテストベッド環境について、関係者による更なる活用も呼びかけられました。

 最後に、ローカル5Gが地域で活用されていくためのポイントと必要な取組についてのフリーディスカッションを行いました。
 参加者からは、「ローカル5Gが普及するためには、もっとコストを下げることが必要であり、そのためにはユーザーによる利活用を進めることが大事。」、「全国的な横展開を図り、様々なユースケースを増やしていくことが必要。」、「免許申請や設置場所変更申請等の手続きをもっと簡略化してほしい。」、「装置のシェアリングや端末の相互利用を可能とすることでコストを案分できれば良い。」、「ユーザーを巻き込んで新しい使い方を創出していくのはどうか。」等、様々な提言や要望が出されました。
 

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<フリーディスカッションの様子>
 

 九州総合通信局では、引き続き、ローカル5Gの利活用促進を図る取組を推進してまいります。

 ※講演資料の一部は九州テレコム振興センター(KIAI)ホームページに掲載しております。
  以下のリンクよりご覧ください。
  https://www.kiai.gr.jp/jigyou/R3/jigyou06.html

お問合せ先:情報通信連携推進課 096-326-7314

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