総務省トップ > 組織案内 > 地方支分部局 > 九州総合通信局 > 「ICT研究開発支援セミナーfrom九州」を開催                             −九州総合通信局とNICTが連携して地域のICT研究開発を支援−

「ICT研究開発支援セミナーfrom九州」を開催                             −九州総合通信局とNICTが連携して地域のICT研究開発を支援−

 九州総合通信局は、令和5年2月28日(火)、国立研究開発法人情報通信研究機構(以下、NICT)及び一般社団法人九州テレコム振興センター(以下、KIAI)との共催で、熊本城ホール及びYouTubeによるオンライン配信のハイブリッド形式にて、「ICT研究開発支援セミナーfrom九州」を開催し、全国から488名が参加しました。
 本セミナーは、九州総合通信局とNICTが連携して地域のICT研究開発の支援の一助として開催したものであり、九州総合通信局の施策紹介、鹿児島大学による地域のICT研究開発の取組発表、NICTの研究開発の紹介、NICTの委託研究の採択課題の紹介及び成果発表を行いました。

 はじめに主催者を代表しNICTの徳田理事長が挨拶を行いました。
 九州では大学との包括的な連携協定を締結しており、特に、ものづくりの現場でのIoTやAIを用いたICTの利活用が加速され、地域産業の発展への貢献が期待されている、と述べた上で、NICTの九州での取組として、「世界最先端のフェーズドアレイ気象レーダー」の実証実験や、災害時の通信を確保する「NerveNet(ナーブネット)」、令和5年2月27日付で報道発表をした多言語音声翻訳アプリ「VoiceTra(ボイストラ)」のくまモンを用いた周知ポスター作成等について紹介しました。

01

< NICT徳田理事長 >
 
【講演内容】
(1)九州総合通信局の施策紹介
    演題:「デジタル田園都市国家構想等を踏まえたICTによる地域DXの取組」
    講師:九州総合通信局 局長 野崎 雅稔
 
 デジタル田園都市国家構想等を踏まえた九州管内での取組事例や、NICTと連携して取り組むICT分野の研究開発支援について講演がありました。
 「デジタル田園都市国家におけるICTインフラの役割」や「デジタル田園都市国家を支えるインフラ整備」等に関する説明や、九州管内の取組事例を紹介するとともに、公募情報として、総務省の「地域デジタル基盤活用推進事業」やNICTの委託研究(データ利活用等のデジタル化の推進による社会課題・地域課題解決のための実証型研究開発)を案内し、活用を呼びかけました。
 最後に、インバウンドへの取組強化として、NICTが開発した多言語音声翻訳アプリ(VoiceTra)について紹介し、これらを活用することで、言語の壁がない九州を実現し、九州の経済を応援していきたいと提言しました。

02-03

< 野崎九州総合通信局長 >

(2)地域のICT研究開発の取組発表
        演題:「地域課題解決にICT研究成果と産学官連携を活用する鹿児島大学の取組」
    講師:鹿児島大学 理事(企画・社会連携担当) 岩井 久 氏
 
 鹿児島大学における地域課題解決のための取組等について講演がありました。
 研究から社会導出まで一元的・シームレスな支援を行う「南九州・南西諸島域イノベーションセンター」の紹介や、地域に眠る潜在的なニーズ(マイクロニーズ)を活用した「サトウキビ農業のIoT化」や「未利用肉の高付加価値化」のプロジェクトについて紹介がありました。
 さらに、ICTを活用した地域課題解決への取組事例として、鹿児島大学における農林水畜産業、離島へき地医療に関する研究成果及びそれぞれの研究者の紹介がありました。
 最後に、産学地域連携の方向性として、地域の企業・団体・自治体等との息の長い連携を構築し、地域のマイクロニーズを収集・研究テーマ化することにより、地域課題解決と社会実装へつなげたいと提言しました。

04-05

< 鹿児島大学 岩井氏 >

(3)NICTの研究開発紹介
    演題:「NICTが進める次世代地上気象センサの開発と実証−豪雨の早期検知を目指して−」
    講師:NICT 電磁波研究所 研究所長 平 和昌
 
 豪雨の早期検知を目指してNICTが開発中の「フェーズドアレイ気象レーダー」及び「地上デジタル放送波を用いた水蒸気量観測網」について講演がありました。
 従来の気象レーダーでは、5分ごとの雨雲の荒い動きしか観測できないという課題があるが、「フェーズドアレイ気象レーダー」では30秒ごとに雨雲の詳細・立体的な動きの観測が可能となるとし、その仕組み及び観測例について説明がありました。
 また、豪雨の更なる早期探知を可能とする新たな気象観測手法として開発中の「地上デジタル放送波を用いた水蒸気量観測網」について説明がありました。
 最後に、線状降水帯の発生メカニズムの早期解明に向けた更なる研究開発と社会展開のため、九州地域の産学官と連携して、気象観測の高度化・社会展開を議論できるフォーラムのようなものを構築できるとよい、と提言しました。

06-07

<NICT 電磁波研究所 平氏>
 
(4)NICTの委託研究「データ連携・利活用による地域課題解決のための実証型研究開発(第3回)」の採択課題の成果発表
   演題:「NICT研究成果の事業化報告−大規模位置データ連携による観光施策立案評価システムの研究開発−」
   講師:株式会社ブログウォッチャー おでかけ研究所 所長 酒井 幸輝 氏
 
 NICT委託研究成果の社会実装を進めているデジタル観光統計サービス「おでかけウォッチャー」について講演がありました。
 研究開発の狙いや、おでかけウォッチャーの概要及び全国における導入実績とその効果等に関して説明がありました。
 本サービスは、自治体におけるEBPM(根拠に基づく施策・政策決定)を支援するシステムであるが、多くの自治体が「人も時間もお金もない」という状況の中で、いかに安価で簡単に使えるシステムを開発するかという点が課題であったとし、顧客の再定義や、観光客判定ロジックの見直し等の工夫をして社会実装を進めたというお話がありました。
 最後に「現時点では、おでかけウォッチャーの利用は自治体・観光協会等のみだが、近い将来、研究用途にも活用できるようにしたいので、興味のある人は連絡してほしい」と呼びかけました。

08-09

<株式会社ブログウォッチャー おでかけ研究所 酒井氏>
 
(5)NICTの委託研究「データ利活用等のデジタル化の推進による社会課題・地域課題解決のための実証型研究開発」の採択課題の紹介
   演題:「AI解析による天草大王の雌雄判定」
     講師:有限会社電マーク 代表取締役 中野 裕介 氏
 
 令和4年度に採択されたNICT委託研究の「画像解析による種鶏・原種鶏の初生雛雌雄選別の実証型研究」について講演がありました。
 提案に至った経緯や、現在の雌雄判別法の課題、本研究の概要及び目標等について説明がありました。
 本研究の背景には、全国的に「初生雛鑑別師」の高齢化が進み将来的な人材不足が懸念されている状況があるとし、高性能カメラを用いた肛門画像の取得及び専門的AIソフトを用いた学習による雌雄判別AI作成の研究開発を進めて、鑑別師不在でも貴重な原種鶏群の維持・地鶏の安定生産が可能となることを目指したい、と提言しました。
 また、同技術は、国内の飼養施設だけでなく、鶏肉消費拡大等が顕著な海外にもそのまま応用し展開できると考えている、と展望を語りました。

10-11

<有限会社電マーク 中野氏>
 
 各講演後の質疑応答では、セミナーの会場参加者と活発な意見交換が行われました。
 
 九州総合通信局では、引き続き、KIAIほか関係機関と連携して、ICTの利活用やDXを推進する取組を支援してまいります。

注:本セミナーの開催報告は、準備でき次第、共催のKIAIの以下アドレスに公表されますので、ご確認ください。
なお、講演資料もこちらからダウンロード可能です。
KIAI・HP:https://www.kiai.gr.jp/news.html別ウィンドウで開きます

 
お問合せ先:情報通信連携推進課 096-326-7314

ページトップへ戻る