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「九州ICTセミナー2023」を開催
−次世代DXプラットフォーム実現に向けた最新AIの動向−

 九州総合通信局は、令和5年11月1日(水)、一般社団法人九州テレコム振興センター(KIAI)との共催により、会場及びYouTubeによるオンライン配信のハイブリッドにて、「九州ICTセミナー2023」を開催し、全国から200名を超える皆様にご参加いただきました。
 本セミナーでは、「次世代DXプラットフォーム実現に向けた最新AIの動向」をテーマに、生成系AIの技術的な成り立ちや、社会や生活への影響、将来への展望、最新のAI技術の動向、AI研究の取組などを紹介しました。


 はじめに共催者を代表し、塩崎充博九州総合通信局長が挨拶を行いました。
 本セミナーはICTに関する最新トレンド等をテーマに長年開催しており、今後、DXを推進する上で必要不可欠な技術であるAIへの期待や問題点、更にAIに関する規制や、世界を取り巻く現状を紹介し、AIの開発と利用管理のバランスを適切に行うことの大切さを呼びかけました。

塩崎局長

〈塩崎局長〉
 
 
【講演内容】
(1)研究機関講話(50分)
  「信頼されるAIシステムを支える基盤技術」
   講師:国立情報学研究所(NII)
   教授/副所長 相澤 彰子 氏

 はじめに、進化する大規模言語モデル(LLM)に関する説明がありました。LLMは単なるプログラムではあるが、ある種、生物のように進化していて、今はまだ分からないことが多いので、進化を続けるためには多様性を確保して選択と淘汰の仕組みを働かせることが重要であると説明されました。
 また、LLMの性能評価は難しくなっているが、単にパラメータ数(予測や生成に使用される変数の数)を大規模化するのが良いわけではなく、学習に使用するコーパス(言語データベース)の質や社会的価値に合うように調整すること、単一モデルではなく特定の話題をグループ化してそれぞれに言語モデルを作る複数モデル化など様々な手法があると紹介されました。
 さらに、安全性を確保するためには、バイアスを始めとしたリスクが起きないように情報環境を守ることも重要であると説明がありました。
 最後に、科学技術振興機構(JST)の戦略的創造研究推進事業(CREST)「信頼されるAIシステムを支える基盤技術」の研究紹介がありました。

国立情報学研究所(NII) 相澤氏

〈国立情報学研究所(NII) 相澤氏〉


(2) 研究事例紹介(50分)
  「NICTの大規模言語モデルとその周辺」
   講師:国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)
   フェロー 鳥澤 健太郎 氏
 
 はじめに、LLMの仕組み等について、従来のAIとの違いで様々な機能が「創発」され、日々新たな使い方が発見されていること等の説明がありました。
 次に、NICTのAIに関する研究成果である防災チャットボット(SOCDA)や低コストで運用できる介護支援のための対話システム(MICSUS)の紹介や、日本語のみを使って開発したLLMの実演があり、近日中にはさらに巨大なパラメータ数のLLMを開発完了予定であることを報告されました。
 さらに海外勢との競争に負けないためには、日本語の学習データの質や量を向上する必要性や日本語でLLMを開発する重要性を、AI使用料の国外流出や日本文化を守る等の観点から説明されました。
 最後に、LLMの研究は始まったばかりで、さらに進化する可能性があるとして、チャンスやリスクの予想事例を紹介されました。AIを相談相手として使えば、人口減少等に起因する社会課題解決につながることや、リスクへの抜本的な対策として、多様な生成AIが相互に議論する「民主的AI」を提案されました。

国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT) 鳥澤氏

〈国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT) 鳥澤氏〉
 

(3) 民間企業事例紹介(50分)
  「大規模言語モデル(LLM)を活用したソリューションへの取り組み」
   講師:日本電気株式会社(NEC)
   パブリックビジネスユニット 渡辺 亮介 氏
 
 はじめに、LLMの活用はChatGPTの出現でビジネス活用の検討が一気に加速しているが、現状は限られた範囲での活用にとどまっており、活用の課題として、コスト、正確性・信頼性、コンプライアンスの3つを解決する必要があると説明されました。
 さらに、LLMの基本やハルシネーション(事実に基づかない情報やもっともらしい嘘の生成)が起こる原因について、具体例を用いて業務利用するためには業界・業務知識を学習させた専門 LLMが必要と説明され、その上で、業務の内容に応じて、品質とコストのバランスをとるためにシステムを柔軟に組み合わせる工夫等を紹介されました。
 最後に、NECの方針として、自治体等での使用をイメージした、半自動化したファクトチェックの仕組み等の支援策について実例を交えて提示され、業務効率化につながる将来像を描かれました。また、その実現への裏付けとして、自社の先進的なAI開発の取組や環境を紹介されました。

日本電気株式会社(NEC) 渡辺氏

〈日本電気株式会社(NEC) 渡辺氏〉
 

 九州総合通信局では、引き続き、九州テレコム振興センター(KIAI)ほか関係機関と連携して、ICTの利活用やDXを推進する取組を支援してまいります。
 
 共催の九州テレコム振興センター(KIAI)による九州ICTセミナー2023の開催報告及び本セミナーの一部講演資料は、以下URLからダウンロード可能です。
 https://www.kiai.gr.jp/jigyou/R5/jigyou04.html
 
 
お問合せ先:情報通信連携推進課 096-326-7314

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