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「九州ICTイノベーションセミナー2025」を開催

 九州総合通信局は、令和7年11月26日(水)、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)及び一般社団法人九州テレコム振興センター(KIAI)との共催により、会場及びオンライン配信のハイブリッドにて、「九州ICTイノベーションセミナー2025」を開催し、全国から150名の参加がありました。
 本セミナーでは、ICT関連の最新技術動向やICTによる地域課題解決の取組、またNICTにおける研究開発の紹介等を行いました。
 
 はじめに共催者を代表して、九州総合通信局長 中西悦子から開会挨拶を行いました。
 本セミナーは、九州総合通信局とNICTとKIAIの三者が連携して企画し、ICT関連の最新技術動向や研究開発事例等を発表する機会として、毎年開催しているセミナーであることを紹介しました。
 続いて、本セミナーが地域課題解決に向けての今後の研究活動の発展に役立てるきっかけとなることを期待し、また聴講者の皆様に一つでもお役に立てる情報を持ち帰っていただきたいと述べました。
 

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<九州総合通信局 中西局長>
 
【講演内容】
(1)研究・教育機関講話
  「ICTによる大変革期を前に思うこと」
   講師:国立大学法人北陸先端科学技術大学院大学 副学長 教授 丹 康雄 氏
 
 講演では、冒頭、ICTについては、これから先の10年はかなり大きな変化がある期間であることが予想されるとの話があり、1980年代から現在までの年次から見るキーワードの確認、ICT発展の流れ、生成AIにいたるまでの技術の結びつきについて転換点を振り返りながら説明がありました。
 また、今後は、複数のAIシステム間の連携のため、異分野データ連携基盤が必要になること、ICTの発展に伴い、社会を構成するものが複雑化、高度化するのに連れて起こりうる困りごとへの対処も高度化していくため、危機管理が必要である旨の話がありました。
 

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<北陸先端科学技術大学院大学 丹氏>
 
(2) 民間企業事例紹介
  「AIの社会実装に向けたソフトバンクの取り組み」
   講師:ソフトバンク株式会社 法人統括AIプラットフォーム開発本部
       クラウド・AIサービス第1統括部 統括部長 鈴木 邦佳 氏
 
 講演では、冒頭に民間企業(ソフトバンク)の視点からAIの社会実装をどう行っていくべきかを説明したいと述べ、ソフトバンクがAI社会の実現のため、膨大なデータ生成・処理を行うべく、関東・関西で2極化している、データセンターの全国分散化を進めていることや、国内ソブリンAIの発展に向けて、高性能な国産LLM「Sarashina」の開発、来年リリースされるソブリンクラウドプラットフォームの説明がありました。
 最後に、海外技術に100%頼ることなく、国内基盤技術を基本とした、AIを安心・安全に利活用できる環境を作るため、今後もソフトバンクが活動していくとの抱負を述べました。
 

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<ソフトバンク株式会社 鈴木氏>
 
(3) ICT研究事例発表
  「山岳・中山間地域における通信上の孤立を防ぐレジリエントIoTシステムの研究開発」
   講師:国立大学法人信州大学 情報・DX推進機構 准教授 単 麟 氏
  
 講演では、総務省のFORWARDに採択された本研究についての背景と目的、取組状況についての話がありました。
 はじめに、山岳・中山間地域での通信孤立等の課題解決のために行ってきた信州大学及び信州DXコンソーシアムにおける活動や取組事例について説明があり、これまでの取組状況から生まれた課題を解決すべく、あらたな研究として、山岳電波灯台構想「自律型分散型レジリエントIoTシステム」に着手していることや低コスト・高効率通信インフラ構築のための要素技術の概要、4年後の社会実装・全国の中山間地域への横展開を目指していることを述べました。
 

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<信州大学 単氏>
 
(4) NICT研究開発紹介
  「『今だけ・ここだけ・あなただけ』で創る大容量通信サービスのエコシステム
    〜自律型モビリティと超スポット通信が融合するCPSサービスの研究開発〜」
   講師:国立研究開発法人情報通信研究機構 Beyond 5G研究開発推進ユニット
       ソーシャルICTシステム研究室長 荘司 洋三 氏
 
 講演では、超スポット通信が融合するCPSサービスの研究開発について、仕組みや技術課題についての説明がありました。なぜ「今だけ・ここだけ・あなただけ」なのかについて、Beyond 5G時代の大容量通信サービスの普及には、局所的かつ高付加価値な通信ゾーンが必須であること、マイクロ波で超カバレッジ「いつでも・どこでも・だれとでも」を実現し、更にミリ波・テラヘルツ波で「時間・空間」限定の超スポット通信サービスを展開することが極めて付加価値の高いCPSサービスの提供につながること、瞬間すれ違い通信で価値を生むサービス開拓と、投機的・分散的な超スポット戦略的配置が鍵であるとの話がありました。
 最後に近日行われた、道の駅での実証実験について、大容量の情報収集・記録・活用の手段について関係者に体験してもらう様子が伝えられました。
 

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<情報通信研究機構(NICT) 荘司氏>
 
 セミナー休憩中及び講演後は、展示デモコーナーにおいて、信州大学単先生による「信州大学デジタルキャンパス構築」のVRデモ及び講演内容に関するポスター展示、NICTソーシャルICTシステム研究室による「超スポット通信による大容量データ集配信サービス」の展示デモを行いました。
 会場では、デモの体験やポスターを見学しながら、講演者への質問や意見交換が行われました。また、オンライン参加者に向け、展示の説明や様子を配信しました。

 

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〈信州大学 展示〉
 

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〈NICTソーシャルICT研究室 展示〉
 

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<セミナーの様子>
 
 九州総合通信局では、引き続き、NICTやKIAIほか関係機関と連携して、地域におけるICTの利活用やDXを推進する取組を支援してまいります。
   

お問合せ先:情報通信連携推進課 096-326-7314

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