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外国規格無線機による放送事業用無線局への混信を排除

【申告を受けて調査を開始】

 午前9時過ぎ、A県内の放送事業者から「中継放送用の無線局に車両の誘導を行っているような音声が混信し、本来の通信に支障をきたしている」と、電話で申告があった。数日後には大きなイベントの生中継が控えており、その無線局が使えないと放送に多大な影響があるという。
 直ちに電波監視システムDEURAS※1(デューラス)で調査を開始。熊本のセンターからA県内に設置している電波監視施設を遠隔操作し、混信の原因と思われる電波を受信して、その発射位置を推定した。
 一刻も早く混信を排除する必要があるので、B県に出張中の調査チームをA県へ向かわせるとともに、熊本からも新たに1チームを編成して出発した。

【徐々に混信源に近づく】

 昼頃にDEURASで推定した位置付近で2チームが合流し、電波の測定を開始すると、すぐに比較的強い電波を受信した。二手に分かれて場所を変えながら測定を続けたところ、 近くの工場敷地内が疑われたため、工場に事情を説明して構内で測定することにした。しかし、混信源は30分に1回程度の頻度でしか通信を行わないので、電波の強度や方位を測定するチャンスは限られている。2チームで連携を取りながら、混信源を絞り込みやすい位置関係を保ち、次の測定チャンスを伺う。
 午後3時半頃、電波を受信。2チームの測定データから発射位置を推定して移動、そこでまた待機する。
 午後4時半頃、強い電波を受信。辺りを見渡すが、付近には多くの工事車両が行き来しており、特定できないまま短い通信が終了した。

【ついに混信源を発見】

 工場敷地内を行き来する車両の多くは、常時構内で作業する専用車両である。しかし、混信は今朝から発生しているので、外部から入構した車両が混信源である可能性が大きい。車両のナンバーに注意していた時、目の前を県外ナンバーのトレーラーが通過していった。積荷の搬入現場付近に移動し、トレーラーの帰りを待つことにした。
 午後5時頃、トレーラーが帰ってきた。次の瞬間、強烈な電波を受信。方位探知機がトレーラーを指した。近づいてみると運転席には無線機らしきものがある。トレーラーの後部で誘導している人物も無線機を持っている。外国規格の不法無線機(アメリカ国内用ハンディトランシーバ)であった。

混信源発見

【再発防止のために】

 トレーラーの運転手と誘導員、工場の責任者から事情を聴くと、トレーラーが狭い道路を走行する際に、運転手と誘導員が連絡をとるために使用していたという。また、無線機は会社から支給されたもので、不法な無線機とは知らなかったという。
 今回は放送事業者がリハーサル中に混信に気付いて申告したため、大事に至る前に排除することができたが、もし本番中に混信が起きていれば何十万人という視聴者に影響を及ぼした可能性もあり、知らなかったでは済まされない。
 

不法無線機

 近年、インターネット通販などで安易に無線機を購入して使用し、放送、警察、消防等の重要な無線通信に妨害を与える事案が発生している。知らず知らずのうちに電波法違反を犯さないよう、無線機を購入する場合は、技術基準適合マーク※2がついていることを確認する必要がある。
 今回使用された無線機をはじめ、「FRS」「GMRS」と表記された無線機は外国の規格で製造されており、電波法令で定める技術基準に適合しないため、日本国内での使用が認められない。  
 今後このようなことが再び起きることのないよう、我々は製造業者や販売業者への対策を強化するともに、不法無線機に関する周知啓発をさらに推進していく。

ポスター

お問合せ先:電波監理部監視課 096-312-8261

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