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不法無線局の取締りを臨機応変に実施

【取締り場所を変更】

 薄曇りの朝、電波監視用の車両が2台で高速道を走っていく。今日は警察と共同で不法無線局の取締りをおこなうのである。時折、小雨も交じる空模様ではあったが、午後から持ち直すという予報が出ていた。
 取締り予定地の手前で2台の車両は別れて、A班は取締り予定地に直行し、各自の持ち場の点検や連絡用無線機などの準備にとりかかった。また、そこを通過する車両を観察して、無線局の設置傾向を把握した。その場所は国道が二手に分かれ、一方がバイパスになっている。かなり多くの交通量があり、不法無線局が設置されることの多い大型車両の通行もある。しかし、取締りを予定している本道より、バイパスを通行する大型車両の方が多いのが気になった。  
 B班は取締りを共同で実施する警察署に向かい、事前の打合せをおこなった。今日の取締りを担当していただく警察官は合計10名。この警察署とは昨年も共同取締りを実施していたため、打合せはスムーズに進んだ。
 天候も回復した午後、総合通信局と警察署の担当官が取締り場所に集結。ここで、A班が事前に把握した情報をもとに、双方の責任者が相談して、取締りの対象路線を本道からバイパスへ変更することを決定し、各自が配置について取締りの開始を待った。
《不法無線局共同取締りの模様》

不法無線局共同取締りの模様

【取締り方法を変更】

 14時に取締りを開始。すぐにアマチュア無線用のアンテナを設置した車両がやってきた。調査地点に誘導して車両のドライバーに不法無線局の取締りであることを告げ、無線局免許の有無を尋ねると、免許は持っており、車内に設置されていたのもアマチュア無線機だけであった。合法な無線局であることが確認できたので協力に感謝して送り出した。
 しかし、その後はアンテナを設置した車両がぱったりと通行しなくなった。やがて30分が過ぎ1時間が経過すると、「情報が漏れたのでは」と不安になってきた。取締りを察知した車両が取締り場所を迂回していたケースが過去にあったことを思い出す。
 そこで、来るのを待つのではなく探しに行くことにして、パトカーとともに出発した。疑わしいアンテナを付けた車両を探していると、走行中の車両に不法市民ラジオ(不法CB)によく使われるタイプのアンテナが設置されているのを発見。警察官がスピーカーで呼び止めると、その車両は左に寄って停止した。  
 車両には2本のアンテナが設置されており、1本は典型的なアマチュア無線用で、もう1本は不法CB用に多く使用されるものであった。ドライバーに無線局の免許の有無を確認したところ、アマチュア無線局の免許を受けており、アンテナは2本ともアマチュア無線用だという。車内に2台の無線機が設置されていて、1台は明らかにアマチュア無線用とわかるものであったが、もう1台は不法CBらしきものであった。ドライバーに「これはCB無線では?」と聞くとアマチュア無線だという。念のために送信周波数を測定したところ、確かにアマチュア無線に指定された周波数以外の電波発射は確認できなかった。ただこの種のアンテナは高出力に特化した不法CB用と見受けられるものなので、設置していれば今後も引き留められることがあることを伝えた。

アンテナ写真

【さらに工夫、強化を】

 結局、この日の取締りで不法無線局の摘発はなかったが、我々が実施している電波監視でも不法無線局による通信を多く確認しており、決して不法無線局がなくなったわけではない。近年、不法無線局も巧妙化しているため、我々も取締り方法を工夫しながら不法無線局対策を強化していく必要がある。

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