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(旧規定)地方公共団体の国等に対する寄附制限

旧規定の概要 

 地方公共団体が国、健全化法施行令で定める独立行政法人、国立大学法人等、健全化法で定める会社等に対して法令に根拠のない負担金や寄附金を支出することは原則として禁止されていました(旧健全化法附則第5条)。

 ただし、同条ただし書及び政令で定める一定の要件に該当する場合(施設を移管する場合や地方公共団体の要請による研究開発事業等を実施する場合等)における寄附金等で、あらかじめ、総務大臣に協議し、その同意を得たものについては、この限りではなく、例外的に寄附等が認められていました(旧健全化法附則第5条ただし書及び旧同法施行令附則第4条)。

旧規定の趣旨

地方財政法は、国及び地方の役割に応じた経費の負担区分の原則を規定しています。一方、国や国立大学法人等がその優越的地位を背景に、法令に基づかず地方公共団体に自発的寄附という名目で負担を転嫁したり、地方公共団体が国の施設等を誘致するために本来国の負担すべき経費を拠出するケースがあり得ます。このような負担の転嫁は、国及び地方の財政秩序の健全性を阻害するものであり、原則として禁止することが適当と考えられます。

規制の対象となっていた相手方

  • (1) 国
  • (2) 独立行政法人(旧健全化法施行令附則第3条に列挙されたもの)
  • (3) 国立大学法人等
  • (4) 旧健全化法附則第5条に定められた会社等

旧規定により支出を制限されていた寄附金等

支出を制限される寄附金等は、寄附金、法律又は政令の規定に基づかない負担金その他これらに類するものであり、地方公共団体に本来支出義務のない出捐行為を広く指しています。これに該当するかどうかは、財政秩序の健全性の確保、地方公共団体の財政圧迫要因の除去という健全化法の趣旨を勘案して判断されます。

 「寄附金等」の支出は、地方公共団体に財産の減少をもたらす行為を指すのであり、金銭・物品の支出のみならず、土地、建物等の無償貸し付け等についても含まれます。

例外的に寄附等が認められていた場合(旧健全化法附則第5条関係)

施設の移管(旧法附則第5条ただし書)

 地方公共団体が所有し管理経営している施設について、その所有権を国、独立行政法人若しくは国立大学法人等又は会社等に移管し、かつその機能を変えることなく管理権の主体を国等に変更する場合

※ 地方公共団体が所有権を有しているが、管理・運営の実態のない、単なる財産のような物件を寄附することは認められない(地方公共団体にとっては財産的損失のみがあり、将来にわたる管理経費の軽減といった利益がないため。)。

実質的交換(旧施行令附則第4条第1号)

 国、独立行政法人若しくは国立大学法人等又は会社等の所有する財産の譲与又は無償譲渡を受けるため、他の財産を国、独立行政法人若しくは国立大学法人等又は会社等に寄附しようとする場合

施設の移管に準ずる場合(旧施行令附則第4条第2号)

 事務の移管の際に所有権を移転しなかった財産について、地方公共団体が維持保存の費用を負担している場合に、財政負担の軽減を図るため、施設の移管に準じた取扱いをするもの

原因者負担(旧施行令附則第4条第3号)

 地方公共団体の施行する工事により必要を生じて国、独立行政法人若しくは国立大学法人等又は会社等が施行することとなった工事にかかる経費を、必要を生じた限度において、当該地方公共団体が負担しようとする場合

※ 個別法に根拠規定のある場合は、これらの法律に基づく負担金として総務大臣の承認を必要としないが、農道、林道等道路法の適用を受けない道路、上下水道、排水路等、法令の規定がないものについて本規定が適用される。

会社等の施設との一体施設の寄附(旧施行令附則第4条第4号)

 地方公共団体の施設で独立行政法人又は会社等が直接その本来の事業の用に供する施設と一体となって機能を発揮しているものを構成している財産を、当該施設の機能を増進させるため独立行政法人又は会社等に寄附しようとする場合

会社等の設置基準を超えるもの(旧施行令附則第4条第5号)

 専ら当該地方公共団体の利用に供され、又は主として当該地方公共団体を利することとなる施設で独立行政法人又は会社等の当該施設に係る一般的な設置基準を超えるものを当該独立行政法人又は会社等が設置する場合

  • ※ 「一般的設置基準」とは、「独立行政法人又は会社等の当該施設の設置に関する順位、場所、構造、設備、利用及び利潤等の条件についての定め」をいうが、かかる定めがない場合には、類似の条件下における他の同種の施設の設置状況等を勘案して認定されることになる。
  • ※ 一般的な設置基準を超えないものについては、当該独立行政法人又は会社等が自らの負担で設置すべきものであるから、この部分について地方公共団体が寄附又は費用負担をすることは認められない。

公営競技の競走に係る収益(旧施行令附則第4条第6号)

 独立行政法人又は会社等の行う事業のうち、住民の福祉の増進に寄与し、かつ、地方行政の運営上緊急に推進する必要があるものに要する経費の一部を、公営競技の競走に係る収益の一部をもって地方公共団体が負担しようとする場合

国立大学法人等の研究開発機関との連携(旧施行令附則第4条第7号)

 地方公共団体と国立大学法人等の研究開発機関の連携強化を図り、科学技術の振興と地域経済の活性化につなげるため、以下の場合に寄附金の拠出等が認められている。

国立大学法人等が、地方公共団体の要請に基づき、地域の産業振興等住民の福祉の増進に寄与し、かつ、当該団体の重要な施策を推進するために必要である研究開発普及事業を行う場合、実施に要する経費を負担したり、当該研究開発等の事業の用に供するための土地、施設もしくは設備を当該特定法人に寄附することができます。

  • ※ 「地方公共団体の要請に基づき」とは、地方公共団体が自主的な意思によって研究開発等を行う契機を形成した場合である。
  • ※ 「当該地方公共団体の重要な施策を推進するために必要なもの」とは、当該地方公共団体として重点的に取り組むものとして対外的に明確にされていることを外形的な基準とする。具体的には、地方公共団体の中長期計画に位置づけられていること、予算上、重点プロジェクトに位置づけられていることなどが想定される。
  • ※ 本号の対象となる研究には、自然科学に関する基礎研究、応用研究、開発研究等のみならず、人文科学・社会科学も含まれる。また、その成果の普及についても、技術移転をはじめ、郷土史に関する市民講座など、国立大学法人の持つ様々な研究成果を普及することが対象となるものである。
  • ※ 「研究開発等の実施に要する」経費とは、備品購入費、報償費、使用料(経費の負担には使用料の減免も含まれる)及び賃借料、原材料費など、実施のために新たに必要になる全ての経費である。従って基本的な人件費や施設の減価償却費など、当該研究開発等の実施の有無に拘わらず必要な経費は含まれない。また、使用料減免の対象となるのは、地方公共団体の要請に基づく等の政令の要件を満たす研究開発等の用に利用される範囲及び期間に限られる。

医療の提供に対する寄附金等の支出(旧施行令附則第4条第8号)

 地方公共団体が地域の中核的存在である国立大学付属病院と連携し、当該地域において良質かつ適切な医療を提供したいというニーズに応えるため、以下の要件のもとで支出が認められている。

病院等を開設する国立大学法人等が、地方公共団体の要請に基づき、特別に当該地方公共団体の住民に対して医療を提供する場合、当該医療の提供に要する費用を負担したり、当該医療の提供の用に供するための土地、施設もしくは設備を当該法人等に寄附することができます。

  • ※ 支出対象の法人は、「独立行政法人若しくは国立大学法人等又は会社等で病院又は診療所を開設するもの」である。
  • ※ 「地方公共団体の要請」については、寄附金等の支出が地方公共団体の自主的な意思によることを担保するための要件であり、健全化法施行令附則第4条第7号(研究開発等経費の支出を認めるもの)と同様の規定である。

(廃止済)関係通知・様式等

関係通知

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