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一般家庭から生じた騒音の取扱い

ちょうせい第12号(平成10年2月)より

Q&A こんなときは? 第3回

 公害紛争・苦情処理に携わっている地方公共団体の職員の皆さんが、事件等を処理する上での疑問点についてお答えする「こんなときは?」のコーナー、今回は、最近のお問い合わせの中から「一般家庭から生じた騒音の取扱い」について、紛争処理の手続に関するものとして「公害の定義等」についての疑問にお答えします。

1 一般家庭から生じた騒音の取扱い

Q: 家庭用給湯器や冷暖房室外機、あるいは犬の鳴き声など一般家庭からの騒音被害について調停申請がなされましたが、それらは公害紛争処理法が対象としている公害として取り扱うことができますか。 

A: 公害紛争処理法が対象とする公害は、環境基本法第2条第3項に規定する公害で、「事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下及び悪臭によって、人の健康又は生活環境に係る被害が生ずることをいう。」(第2条)と定義されています。したがって、(1)「事業活動その他の人の活動に伴って生ずる」被害であること、(2)その被害が「相当範囲にわたる」ものであることという2つの要件を満たしたときに「公害」であるといえます。設問の事例について考えてみると、(1)については、設問にあるような騒音は工場などの事業所からではなく、一般家庭から生じたものですが、これらについても「事業活動その他の人の活動に伴って生ずる」被害と考えられます。しかし(2)については、騒音の程度のみならず、周辺家屋の位置関係などを含めた具体的な実態に基づいて、被害者の数や被害の地域的広がりを客観的かつ総合的に調査して「相当範囲にわたる」かどうか判断する必要があり、この要件を満たせば、公害紛争処理法が対象とする公害として取り扱うことができます。
 この「相当範囲にわたる」という要件は、人的・地域的に広がりのある被害を公害として取り扱おうという趣旨で規定されているものですが、人的・地域的な広がりに関しては幅広くとらえることができます。例えば、被害者が1人であっても、被害自体が地域的な広がりをもっていれば「相当範囲にわたる」といえますし、逆に被害地域が限定されていても、多数の被害者が生じているのであればこれも「相当範囲にわたる」といえます。特に近年は、近隣からの騒音に代表される都市・生活型公害が公害問題の主流を占めており、個々にきめの細かい対応が望まれていることから、この要件をあまりに厳しく解して、公害紛争を簡易・迅速に処理するという法の趣旨を減殺しないことも大切です。
 一般家庭からの騒音による公害紛争の解決に際しては、審査会等の調停は有効な手段であり、実際にこれに関するいくつかの事案が審査会等において解決をみています。

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