公害等調整委員会は、昭和47年7月1日、土地調整委員会(昭和26年1月31設置)と中央公害審査委員会(昭和45年11月1日設置)とを統合して設置された国家行政組織法第3条に基づく行政委員会です。
当委員会は、
公害紛争の迅速・適正な解決を図るため、司法的解決とは別に「公害紛争処理法」(昭和45年制定)に基づき公害紛争処理制度が設けられています。公害紛争を処理する機関としては、国に公害等調整委員会が、都道府県に都道府県公害審査会等が置かれています。公害等調整委員会と都道府県公害審査会等は、それぞれの管轄に応じ、独立して紛争の解決に当たっていますが、制度の円滑な運営を図るため、相互に密接な情報交換や連絡協議を行っています。
また、公害苦情を迅速・適正に解決するために、公害紛争処理制度の一環として、都道府県及び市区町村に公害苦情の相談窓口が設けられています。(図1)

公害紛争処理制度は、公害紛争を民事訴訟で争った場合、その解決までに多くの時間と費用がかかるなど、被害者の救済の面では必ずしも十分でなかったことから生まれた制度です。このため、この制度には民事訴訟に比べ、(1)専門的知見を活用できる、(2)機動的な資料収集・調査を行うことができる、(3)迅速な解決が図られる、(4)費用が安い、など様々な特長があります。
公害紛争処理制度には、「あっせん」、「調停」、「仲裁」及 び「裁定」の手続があります。
このうち、調停は、公害紛争処理機関が当事者の間に入っ て両者の話合いを積極的にリードし、双方の互譲に基づく合意によって紛争の解決を図る手続で、これまで一番多く利用 されています。
裁定は、損害賠償責任の有無(責任裁定)、加害行為と被害との間の因果関係の存否(原因裁定)に関し、法律的判断 を行うことにより、紛争の解決を図る手続です。
調停は都道府県公害審査会等でも行われますが、裁定は公害等調整委員会のみが行います。(図2、図3)


公害等調整委員会は、公害苦情の処理について地方公共団体に対して助言、相談等を行っています。
平成19年度には、全国の地方公共団体の苦情相談窓口に9万1,770件の公害苦情が寄せられました。窓口で苦情を受け付けると、公害苦情相談員等の職員が住民の苦情を聞き、処理に必要な調査を行うとともに、関係機関と連絡を取り合って、当事者に改善措置の指導や助言を行うなど、苦情の受付から解決に至るまで一貫した処理を行っています。(図4)

公害等調整委員会は「鉱業等に係る土地利用の調整手続等に関する法律」(昭和25年制定)等に基づき、鉱業、採石業、砂利採取業と一般公益等との調整を図っています。
国土の狭い我が国では、有益な鉱物がある地域にダム、農業用水地、温泉源があったり、その地域が景勝地であることも多く、このような地域の周囲で鉱物の採掘が行われた場合、ダムの決壊、貯水池の漏水、汚濁などを引き起こすことにもなりかねません。そこで、このような事態の発生を防止するため、鉱区禁止地域の指定を行っています。
平成20年3月末日現在、全国で242地域が指定され、鉱区禁止地域の総面積は、67万808ヘクタールとなっています。(図5)

鉱物の掘採、岩石や砂利の採取などをしようとするときは、経済産業省経済産業局長や都道府県知事等の許認可を受けることが必要です。これらの許認可について不服がある者は、公害等調整委員会に対し裁定の申請をすることができ、この不服の裁定は、裁判に準じた手続で行われています。(図6)

土地利用の複雑化、多様化に対応して、土地利用に関する行政庁の処分がより適正に行われるように、公害等調整委員会が事前に意見の申出、承認などを行う制度が設けられています。
「裁定」の手続には、被申請人の損害賠償責任の有無と損害賠償の額について法律的な判断をする「責任裁定」と、加害行為と被害との間の因果関係のみについて法律的な判断をする「原因裁定」の2種類があります。
責任裁定については、いわゆる被害者側のみが申請することができ、また、損害賠償の請求のみができるといった制約があります。しかし、責任裁定が行われ、裁定書の正本が当事者に送達された日から30日以内に、当該責任裁定に係る損害賠償に関する訴えが提起されなかったときは、当該損害賠償に関し、当事者間に当該責任裁定と同一の内容の合意が成立したとみなされる、といった効果を持っています。
原因裁定については、被害者側と加害者側のどちらからも申請できる、被害者側が申請する場合は、事情によっては、相手側を特定せずに申請することができる、などの特徴があります。これらは、因果関係の判断を迅速に行うことによって紛争の解決を促進する、という考えに基づくものです。