2 企業・事業所が1年間に報告依頼を受ける統計調査等の件数とその変化状況

(1)実施機関別年間依頼件数

ア 本社

 ◎ 本社では、シンクタンク、業界団体からの報告依頼が多い

 本社について、1年間の調査報告等の依頼件数の分布をみると、国の統計調査の依頼は20件未満が68%、20〜40件未満が21%となっている。また、国の業務報告は20件未満が71%、20〜40件未満が16%となっている。
 一方、業界団体の調査の依頼は、20件未満が46%、20〜40件未満が27%となっている。また、シンクタンク等の調査依頼は20件未満が35%、20〜40件未満が19%、40〜60件未満が16%となっているほか、100件を超えるとする本社が18%ある。

第3表 実施機関・報告等種類別年間依頼件数の分布(本社)

第3図 年間依頼件数の分布(本社)

 ◎ 本社が1年間に受ける報告依頼件数は平均209件。非製造業に対する依頼が多い

 比較を容易にするため、1社あたりの平均依頼件数を算出し、1社当たり平均依頼件数でみると、本社全体で1年間に受ける報告等の依頼は209件となっている。これを、業種別に見ると、製造業が194件、非製造業が229件となっている。
 次に、これを実施機関別に見ると、国の統計調査は、製造業が25件、非製造業が24件、全体で25件となっている。国の業務報告は、全体が24件で国の統計調査とほぼ同数であるが、業種別の内訳は製造業が18件に対し、非製造業が32件となっており、業種間の差が大きい。
 なお、最も依頼件数の多いのはシンクタンク等の調査で年間65件、次いで業界団体の調査の37件が続いている。また、これらは製造業に比べ非製造業に対する依頼件数の方が多い。

 

第4表 業種別1社当たり平均依頼件数(本社)

第4図 1社当たり年間平均依頼件数(本社)

*平均は、回答カテゴリーの階級中央値を報告依頼件数の実数値と見なして算出した。例えば、「20件以上〜40件未満」で回答されたケースは30件とした。ここで、「300件以上」は350件とした。

 ◎ 本社で報告依頼件数上位の業種は、電気・ガス、銀行業、輸送用機器

 本社に対する平均依頼件数の大きな業種をみると、多くの調査等で共通に上位に挙げられる業種として、電気・ガス、輸送用機器、金属製品、銀行業、サービス、パルプなどがある。また、本社の総計を見ると、電気・ガス、銀行業、輸送用機器の順で、報告依頼件数が多い。

第5表 平均依頼件数上位の業種(本社)

イ 事業所

 ◎ 事業所に対する国の統計調査の依頼件数は20件未満の事業所が85%

 事業所について、1年間における調査報告等の依頼件数の分布を見ると、どの機関が行う依頼も20件未満が9割前後となっている。国の統計調査についてみると、20件未満が85%、20〜40件未満が8%となっている。

第6表 実施機関・報告等種類別年間依頼件数の分布(事業所)

 ◎ 事業所が1年間に受ける報告依頼件数は平均100件。国の統計調査の依頼が多い。

 事業所が1年間に受ける報告等の依頼件数は、1事業所当たり平均100件で、本社の209件のおよそ半数となっている。
 これを、業種別に見ると、製造業が114件、非製造業が82件となっており、事業所においては、本社と異なり製造業に対する依頼件数が多い。
 次に、これを実施機関別に見ると、国の統計調査は、事業所全体で16件、うち、製造業が20件、非製造業が12件であり、製造業に対する依頼がやや多くなっている。業界団体の調査やシンクタンク等の調査についても、製造業の方が非製造業より依頼件数がやや多くなっている。

第7表 業種別1事業所当たり平均依頼件数(事業所)

第5図 年間依頼件数の比較(本社・事業所)

(2)報告依頼件数の5年前と比べた増減意識

ア 本社

 ◎ 本社では、シンクタンク、業界団体の調査に対する増加意識が大。国の統計調査が増加したとするものは約2割

 統計調査等別に5年前と比較した報告依頼件数の変化(増減)を回答者の印象に基づいて回答を得た。どの機関が実施している報告依頼においても、依頼件数は5年前と比較して「増加」もしくは「不変」であるとする回答が8割以上を占めている。
 実施機関別の内訳を見ると、国及び都道府県・市の統計調査や業務報告、日本銀行・国の特殊法人の統計調査に対しては、いずれも増加とする比率が2割前後、不変の比率が6割前後となっている。
 一方、業界団体が行う各種調査に関しては、増加の比率と不変の比率が4割程度で、わずかに増加とする比率が高い。また、シンクタンク等の調査に関しては、増加とする比率が6割、不変とする比率が約2割となっており、5年前と比較して増加意識が大きくなっている。

第8表 5年前と比較した依頼件数の変化意識(本社)

第6図 5年前と比較した依頼件数の変化意識(本社)

 ◎ 非製造業本社では、業界団体、シンクタンク等の調査に対する依頼件数増加の意識が高い

 本社における5年前と比べた報告依頼件数の増減の変化意識を業種別にみると、全体の傾向は製造業と非製造業とで差は少ないが、国の業務報告、日本銀行・特殊法人の業務報告、業界団体の調査、シンクタンク等の調査に対して、非製造業の方が製造業より増加意識が高い。

第9表 5年前と比較した業種別依頼件数の変化意識(本社)

イ 事業所

 ◎ 国の統計調査が増加したとする事業所は約1割、不変は約7割

 事業所の場合、本社と比較すると全般に不変意識が大きな比率を占めている。
 実施機関別に見ると、国の行う統計調査及び国の業務報告に関して、「増加」は全体の約1割となっている。
 事業所の場合も、業界団体の調査(30%)及びシンクタンク等の調査(29%)について、依頼件数増加の意識が高い。

第10表 5年前と比較した依頼件数の変化意識(事業所)

第7図 5年前と比較した依頼件数の変化意識(事業所)

 ◎ 国の統計調査については、非製造業事業所の方がやや件数増加意識が高い。

 事業所における報告依頼件数の増減の変化意識をみると、国の統計調査に対する増加意識は、非製造業が12%であるのに対し、製造業が8%でわずかながら非製造業の方が高い。
 また、特殊法人の報告依頼に対しても、増加の回答率は、非製造業の方が若干高くなっている。逆に、業界団体の調査やシンクタンクの調査に関しては、製造業の方が非製造業より依頼件数の増加意識が高くなっている。

第11表 5年前と比較した業種別依頼件数の変化意識(事業所)

(3)報告負担の大きい依頼

ア 本社

 ◎ 本社にとって報告負担が大きいのは、国の統計調査、国の業務報告、シンクタンクの調査

 各機関が実施する報告依頼に対して、本社が報告負担が大きいとするもの上位2種類を順序付きで回答を求めた結果、本社が報告負担が最も大きい(第1位)と回答したのは、国の統計調査が77件と最も多く、次いで、シンクタンク等の調査53件、国の業務報告36件の順となっている。
 報告負担が2番目に大きいとの選択が最も多かったのは、国の業務報告で53件となっている。
 次に、報告負担が大きいものの1番目と2番目の件数を合計し、これらを報告負担の大きい依頼として位置付けてみると、1位が国の統計調査(104件)、2位が国の業務報告(89件)、3位がシンクタンク等の調査(84件)となっている。

第12表 報告負担の大きい依頼(本社)

第8図 報告負担の大きい依頼(本社)

イ 事業所

◎ 事業所にとって、国の統計調査、国の業務報告のほか、県・市の統計調査・業務報告に対する報告負担感が大きい

 事業所において、報告負担が最も大きい(第1位)とするものは、国の統計調査が48件となっており、次いで、業界団体の調査が18件となっている。2番目に負担が大きいとされたものは、国の業務報告、県・市の業務報告及び統計調査で、いずれも20件台である。
 1番目と2番目の件数を合計し、これらを報告負担の大きい依頼として位置付けてみると、1位が国の行う統計調査で61件、2位が国の業務報告で37件、 3位が県・市の統計調査及び業務報告いずれも34件となっている。本社で目立ったシンクタンク等の調査は24件と国の統計調査を負担とする件数の約4割となっている。

第13表 報告負担の大きい依頼(事業所)

第9図 報告負担の大きい依頼(事業所)

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