世界情報通信事情 World Information and Communication Circumstances

Czech Republic チェコ(最終更新:平成27年度)

市場の動向

インターネット・ブロードバンド市場

固定ブロードバンドの普及率は上昇しているものの、高速のモバイル・インターネットの普及により鈍化している。2014年末現在、接続技術の主流はDSLで約33%となっている。以下、ケーブルモデムが約17%、LAN/FTTxが16%と続く。事業者は、固定電話や携帯電話市場でも多大なシェアを抱えるO2チェコが固定ブロードバンド市場でも最大のシェアを占めている。同社の2015年6月末時点のシェアは28.6%となっている。また、ケーブル事業を展開するUPCチェコが100都市以上でサービスを提供し、約15%のシェアを獲得している。このほかにGTSチェコ、Dialテレコム、Tモバイル・チェコなどもサービスを提供している。光ファイバは、O2チェコが主要都市を中心にサービスを展開している。また、地域事業者が首都の光ファイバ網を通じてサービスを提供している。

固定ブロードバンド加入数及び普及率(2010-2014年)

2010年 2011年 2012年 2013年 2014年
固定BB加入数(千) 2,261 2,509 2,657 2,856 2,995
固定BB普及率 21.4% 23.6% 24.9% 26.7% 27.9%

出所:ITU World Telecommunication/ICT Indicators Database, 2015

移動電話市場

ネットワーク事業者として、2014年現在では投資会社のPPFグループが経営権を持つO2チェコ、ドイツテレコムの子会社Tモバイル・チェコ、英ボーダフォンの子会社ボーダフォン・チェコ、2007年にCDMA事業者として市場参入したAir Telecom(旧U:fon)が事業展開している。携帯電話市場ではTモバイル・チェコ、O2チェコ、ボーダフォン・チェコの3社が競合しており、Air Telecomの市場シェアは1%にも満たない。MVNOは2012年に開始され、BLESKmobilなど約80の事業者がサービスを提供している。2014年末現在、加入者数は約110万となっている。

3Gサービスは、O2チェコが2004年に開始、現在はすべてのネットワーク事業者が3Gサービスを提供している。カバレッジは9割を超えている。LTEサービスは、O2チェコが2012年6月に試験サービスを開始、以後Tモバイル・チェコが2013年10月に、ボーダフォン・チェコが2013年12月にサービスを開始している。LTE-Advanced(LTE-A)はTモバイル・チェコとO2チェコが2014年7月にサービスを開始した。ボーダフォン・チェコも2014年9月にLTE-Aのサービスを開始した。

移動電話加入数及び普及率(2010-2014年)

2010年 2011年 2012年 2013年 2014年
移動電話加入数(千) 12,934 13,168 13,522 13,719 13,913
移動電話普及率 122.6% 124.1% 126.8% 128.2% 129.5%

出所:ITU World Telecommunication/ICT Indicators Database, 2015

固定電話市場

固定電話から携帯電話への移行、並びにVoIPの台頭によりPSTNの加入者数は減少傾向にある。O2チェコが市場シェアの大半を占め、顕著な市場支配力を持つ。このほかに、米メディア関連企業のリバティ・グローバル傘下のUPCチェコがVoIPサービスで一定の加入者を獲得し、企業サービス部門ではO2チェコの競合相手となっている。

固定電話加入数及び普及率(2010-2014年)

2010年 2011年 2012年 2013年 2014年
固定電話加入数(千) 2,367 2,204 2,117 2,001 2,002
固定電話普及率 22.4% 20.8% 19.9% 18.7% 18.6%

出所:ITU World Telecommunication/ICT Indicators Database, 2015

放送市場

地上放送は、公共放送のチェコ・テレビ、商業放送のテレビ・ノヴァ、プリマ、テレビ・バランドフなど実施している。衛星放送は、米リバティ・グローバルの衛星放送子会社UPC DTHが展開するfreeSATや、ルーマニアの通信事業者RCS & RDS系列のDigi TVなどがサービスを提供している。ケーブルテレビはUPCチェコがサービスを提供している。

重要政策動向

デジタル・チェコ2.0

2013年3月、政府は電気通信の基本政策として「デジタル・チェコ2.0」を採択した。電気通信分野の利活用を促進し、情報通信技術及びサービスを近代化することを目的としている。デジタル・チェコ2.0は、高品質の通信インフラの発展、デジタルサービスの拡大、デジタルリテラシーの促進の三つの柱で構成される。具体的な取組みとして、高速ブロードバンドの普及、エンドユーザーの利益となるような周波数の有効利用、デジタル経済の自主規制メカニズムの強化、社会的地位や身体的条件にとらわれないICTの利活用促進、デジタルリテラシーの向上に向けた生涯学習などを挙げている。

基礎データ集

国の基礎データ

政体
共和制
面積
7万8,866㎢
人口
1,049万人(2015年)
首都
プラハ
公用語
チェコ語

経済関連データ

通貨単位
1チェコ・コルナ(CZK)=4.55円(2016年12月末)
会計年度
1月から1年間
GDP
1,851億5,636万USD(2015年)

出所:World Bank, World Development Indicators Database

法律

通信 電気通信法 等
放送 ラジオ・テレビ放送法 等

監督機関

通信 産業通商省、チェコ通信局
放送 文化省、ラジオ・テレビ放送評議会、チェコ・テレビ評議会