市場の動向
インターネット・ブロードバンド市場
香港では、最大10Gbpsに達するFTTHサービスをはじめ、ADSL、HFCなど各種の方式によるブロードバンド・サービスが提供されている。2015年9月現在、ISP数は210社を超えており、個人及び法人顧客向けにサービスを提供している。同時点のブロードバンド加入者数は約229万7,791に達している。
このほかに、2015年9月現在、公衆無線LAN(Wi-Fi)アクセス・ポイント数が3万9,267に達しており、更に増加傾向にある。このうち、政府とPCCW-HKTなど大手通信事業者の連携で提供している無料の公衆Wi-Fiサービスの同値は1万7,000である。これについては、「2014年デジタル21戦略」を推進するため、2008年より政府によって提供されているサービスの名称が2014年8月に「Wi-Fi.HK」に統一され、完全無料、あるいは一定の無料の時間帯が設けられている。利用者は事前登録なしで、一日当たり少なくとも30分間の無料接続の利用が可能となっている。
固定ブロードバンド加入数及び普及率(2010-2014年)

2010年 | 2011年 | 2012年 | 2013年 | 2014年 | |
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2,168 | 2,299 | 2,255 | 2,235 | 2,281 |
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30.7% | 32.4% | 31.5% | 31.0% | 31.4% |
出所:ITU World Telecommunication/ICT Indicators Database, 2015
移動電話市場
2015年9月現在、4社が3Gサービスを提供しているほか、最大150Mbpsに達するLTEサービスも提供している。同年7月末時点の携帯電話加入者数は1,669万5,677に達しており、このうち、2.5G/3G/LTE加入者総数は1,228万で、人口普及率は228.8%である。
移動電話加入数及び普及率(2010-2014年)

2010年 | 2011年 | 2012年 | 2013年 | 2014年 | |
---|---|---|---|---|---|
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13,794 | 15,293 | 16,388 | 17,098 | 16,959 |
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195.7% | 215.5% | 229.2% | 237.4% | 233.6% |
出所:ITU World Telecommunication/ICT Indicators Database, 2015
固定電話市場
1995年6月に市内通信市場が自由化され、同サービスを提供する免許は随時受付・付与となり、免許数の制限も撤廃された。2015年9月現在、有線及び無線系技術を用いて域内の固定電話サービスを提供する事業者は24社である。また同年7月現在、IP電話を含む固定回線数は321万1,562に達しており、世帯普及率は98.5%となっている。
固定電話加入数及び普及率(2010-2014年)

2010年 | 2011年 | 2012年 | 2013年 | 2014年 | |
---|---|---|---|---|---|
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4,362 | 4,342 | 4,382 | 4,419 | 4,418 |
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61.9% | 61.2% | 61.3% | 61.3% | 60.9% |
出所:ITU World Telecommunication/ICT Indicators Database, 2015
放送市場
地上放送
2015年8月現在、域内向け無料・有料放送、及び域外向け放送の免許所有者は全部で24である。電視廣播(TVB)と亜洲電視(ATV)が域内向け無料放送を行っており、それぞれ二つのアナログ・チャンネルに加え、計11のデジタル・チャンネル(六つの高画質を含む)を運営している。ただし、事業免許の期限が2016年4月1日までとなるATVが2014年秋以降、経営難に陥っていたため、行政会議は同局の免許更新を打ち切ると決定した。その後、公共放送の香港電台(RTHK)が回収されたATVの二つのアナログ・チャンネルを利用し、2020年末までに放送を継続させることになっている。
域内向け有料放送事業者として、有線電視(HKCTV)、PCCW、及びTVB PVの3社が計398のチャンネルを運営している。また、ホテルにサービスを提供している「その他の免許」の所有者は24である。TVBとATVもこのサービスにそれぞれ一つの高画質チャンネルを提供している。
2015年2月現在、テレビ所有世帯数は240万7,000世帯、4歳以上の無料放送受信者数は646万6,000に達している。また、2015年6月における有料放送の受信世帯数は238万9,000世帯である。
域内向け無料放送の新規参入として、2015年4月にPCCW傘下の香港電視娯楽(HKTVE)が免許を取得し、開局から6年間で総額13億HKDを番組制作に投資するとした。免許の取得条件では、2016年3月末までに一つの広東語チャンネル、また、2017年3月31日までに一つの英語チャンネルの開通が必要となっている。
有料放送
衛星放送は、2000年12月にTVB傘下のTVB PV、ケーブルテレビ事業者のHKCTVの2社が免許を取得し市場に参入したが、HKCTVは2004年5月に撤退した。2015年6月現在、TVB PVはTVB Network Visionの名称で120万以上の世帯に対して67チャンネルを提供している。一方、域外向け放送は、2015年末現在、18の事業者が免許を取得しており、Intelsat 19、AsiaSat-7、Apstar-V、Chinasat 10等、九つの衛星を利用して、200以上のチャンネルを提供している。
ケーブルテレビ
i-Cable子会社のHKCTVが、1993年に独占で有料放送免許を付与され、HFCに加え、MMDSと衛星を用いた伝送方式によるケーブルテレビ・サービスを提供している。STARや欧米のチャンネルのみならず、台湾や日本のチャンネルなど117のチャンネルが提供されており、2014年末現在、有料番組視聴世帯数は100万2,000で、前年比で減少している。
重要政策動向
デジタル21戦略
貿易経済発展局(CEDB)は域内情報通信基盤の整備を目指し、2007年12月に「2008年デジタル21戦略」を発表した。その後数回の見直しが行われており、最新バージョンとなる「2014年デジタル21戦略」の主題は「Smarter Hong Kong, Smarter Living」で、下記五項目の取組みが示されている。
- 2014年内に無料又は無料の利用時間帯を設けたWi-Fiホットスポット数を現在の1万から2万に増やす。
- 公共部門におけるペーパーレス化を推進し、仕事の効率化を図る。
- 政府による資料公開は2015年以降、すべてデジタル方式に切り替える。
- 都市管理において、モノのインターネット、センサー技術、ビッグデータを一層活用する。
- すべての市民にデジタルIDを配布し、安全・安心なプラットフォームを構築することで、健康記録の電子化、電子小切手などのサービスを推進する。
基礎データ集
国の基礎データ
- 政体
- 中国特別行政区
- 面積
- 1,103㎢
- 人口
- 705万人(2015年)
- 公用語
- 広東語、英語、北京語
経済関連データ
- 通貨単位
- 1香港ドル(HKD)=15.02円(2016年12月末)
- 会計年度
- 4月から1年間
- GDP
- 3,092億3,450万USD(2015年)
出所:World Bank, World Development Indicators Database
法律
通信 | 電気通信令 等 |
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放送 | 放送令 等 |
監督機関
通信 | 貿易経済発展局、イノベーション・技術局、通信事務管理局 |
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放送 | 貿易経済発展局、イノベーション・技術局、通信事務管理局 |