世界情報通信事情 World Information and Communication Circumstances

Hungary ハンガリー(最終更新:平成27年度)

市場の動向

インターネット・ブロードバンド市場

ブロードバンド加入者数は順調に増加している。OECDの調査によると、2014年末現在、普及率は26.2%で、OECD加盟34か国中27位である。接続方法別シェアは、2015年6月末現在、DSL:31.5%、ケーブル:42.4%、LAN/FTTx:16.6%、WiMAX:5.8%、その他:3.7%である。事業者別シェアは、2014年6月末現在、マジャール・テレコムのインターネット部門Tホームが市場シェアの39%を占める。UPC、デジ・テレコミュニケーションズ、インビテル・ホールディングスが続いている。

TホームとUPCは、DSLとケーブルでのサービスを提供している。ケーブル・サービスのみを提供するデジのシェアが4.7%(2010年9月)から14.4%に増加する一方、DSLのみを提供するインビテルのシェアは12.1%から9.5%に低下している。

モバイル・ブロードバンド加入者数は、2013年末現在338万、普及率は34.3%で、OECD加盟34か国で最も低い。

固定ブロードバンド加入数及び普及率(2010-2014年)

2010年 2011年 2012年 2013年 2014年
固定BB加入数(千) 2,159 2,313 2,396 2,597 2,716
固定BB普及率 21.6% 23.1% 24.0% 26.1% 27.3%

出所:ITU World Telecommunication/ICT Indicators Database, 2015

移動電話市場

2015年3月末現在、携帯電話加入者数は1,143万である。携帯電話普及率は、2007年に100%を超え、2015年3月末時点で115.8%だった。携帯電話市場は、マジャール・テレコムの携帯電話部門で現在ドイツテレコム傘下のTモバイル・ハンガリー、ノルウェーのテレノール傘下のテレノール・ハンガリー、ボーダフォン・ハンガリーの3社の寡占状態である。

MVNOについては、2009年11月、国営郵便事業者マジャール・ポスタがボーダフォンとの契約で合意、携帯電話やプリペイドカードによるアクセス・パッケージの販売を開始した。2010年7月には、ネットフォンもモバイル・インターネット・サービスを始めている。

2015年6月末現在、3G加入者数は503万である。LTEサービスは、Tモバイルが2012年1月にブダペスト10地区で商用サービスを開始し、テレノールも2012年7月にサービスを開始した。2014年4月にはTモバイルがエリクソンと国内初のLTE-A実験をブダペストで実施した。

移動電話加入数及び普及率(2010-2014年)

2010年 2011年 2012年 2013年 2014年
移動電話加入数(千) 12,012 11,690 11,579 11,590 11,726
移動電話普及率 119.9% 116.9% 116.1% 116.4% 118.1%

出所:ITU World Telecommunication/ICT Indicators Database, 2015

固定電話市場

国家メディア・情報通信庁(NMHH)によれば、2015年8月末現在、加入者数は306万7,000、普及率は30.5%である。携帯電話の浸透により固定電話普及率は年々減少していたが、2012年に上昇に転じた。種類別で見ると、PSTN加入者が約104万5,000、VoIP加入者が約113万7,000、VoCATV加入者が約82万4,000である。PSTN加入者が減少する一方、VoIP、VoCATV加入者が増加している。

2015年3月末現在、旧国営事業者のマジャール・テレコムが市場シェアの48.9%を占めるが、PSTN加入者の減少に伴いシェアを落としている。次いでケーブルテレビ大手のUPCハンガリーとインビテル・ホールディングスが10%強のシェアを獲得している。両社とも顧客の約9割はIP電話加入者である。

固定電話加入数及び普及率(2010-2014年)

2010年 2011年 2012年 2013年 2014年
固定電話加入数(千) 2,977 2,933 2,961 2,978 3,011
固定電話普及率 29.7% 29.3% 29.7% 29.9% 30.3%

出所:ITU World Telecommunication/ICT Indicators Database, 2015

放送市場

地上放送

公共放送のマジャール・テレビ(MTV)が1系統の全国放送を行っている。商業放送は、1997年のテレビ市場自由化に伴って誕生したRTL KlubとTV2が各1系統の全国放送を実施している。地上デジタル放送は、2008年12月に公共放送Duna TV(国際放送専門局)、商業放送ATV、HirTV、2009年5月に公共放送MTV、商業放送TV2、RTL Klub、8月にEuronewsが放送を開始した。2010年5月に有料放送MinDig TV Extraが開局した。2014年8月末現在、商業放送24社が有料放送を実施し、125万人が加入している。

衛星放送

2013年末現在、衛星放送の加入者数は113万3,000(有料:89万9,000、無料:23万4,000)である。公共放送は、2011年10月末にThor5、Eurobird 9Aの2衛星体制から、Eurobird 9A(現Eutelsat 9A)のみの1衛星体制に移行し、公共テレビ全チャンネルのデジタル衛星放送を実施している。商業放送は、現在4社がデジタル衛星放送プラットフォームを運営している。2000年9月にUPCハンガリーが「UPC Direct」の呼称で国内初のデジタル衛星放送を開始した。主要事業者は、Tホーム、Digi TV、UPCハンガリーの3社である。加入者数は、Tホーム:30万7,147(2013年12月末現在)、Digi TV:29万2,222(2013年3月末現在)、UPC:26万6,800(2014年3月末現在)である。

ケーブルテレビ

2013年末現在、ケーブルテレビ加入者数は194万4,000(アナログ:128万6,000、デジタル:65万8,000)、事業者数は約400である。ケーブルテレビ普及率は都市部で高く、首都における普及率は70%を超えている。各事業者は、デジタル化によるアップグレードを推進しており、2005年12月にTホームが、2008年4月にUPCがデジタル放送を開始した。低価格の衛星放送視聴パッケージへの移行のため、2008年以降、ケーブルテレビ加入者数は減少している。主要事業者は、UPCハンガリー、Digi TV、Tホームの3社である。ケーブルテレビ加入者数は、UPC:63万4,300(2014年3月末現在)、Digi TV:36万6,500(2013年3月末現在)、Tホーム:19万869(2013年12月末現在)である。

重要政策動向

ICT政策

2014年に策定された「国家情報通信戦略(2014~2020)」では、ICT政策について、以下のことが目標として掲げられている。

  • 政府のITシステムを2016年までに統一し、2018年までにすべての電子行政サービスをオンラインで利用可能にする。
  • 「デジタル・イリテラシー(インターネットやコンピュータの利用経験がない者の割合など)」を2016年までに全成人の40%に、2020年までに30%に下げるとともに、2016年までに日常的にインターネットを利用する者を全成人の65%に引き上げる。
  • 中小企業のインターネット接続率を2016年までに90%、2020年までに99%に引き上げる。
  • 2020年までに、ICTトレーニングに参加する者及びソフトウェア・ICTサービスの輸出額を倍増する。

通信税

2012年7月、ハンガリー国内における電話発信及びSMS・MMS送信に対して課税する通信税が導入された。納税義務者は通信事業者。2013年8月1日から税額が引き上げられ、2014年11月現在、法人契約の場合、電話通話に対し3HUF/分、SMS・MMSに対しては3HUF/回。月当たりの課税上限額は5,000HUF。個人契約の場合、音声通話に対し2HUF/分、SMS・MMSに対しては2HUF/回。月当たりの課税上限額は、700HUFとなっている。

2014年の税制改正において、課税対象をインターネット上のデータ送受信にまで拡大する法案が提出されたものの、現与党フィデスが2010年に政権を獲得して以来最大規模の抗議デモが発生し、導入は見送られた。

基礎データ集

国の基礎データ

政体
共和制
面積
9万3,030㎢
人口
998万4,000人(2015年)
首都
ブダペスト
公用語
マジャール語

経済関連データ

通貨単位
1フォリント(HUF)=0.4円(2016年12月末)
会計年度
1月から1年間
GDP
1,217億1,520万USD(2015年)

出所:World Bank, World Development Indicators Database

法律

通信 2001年通信法、2003年電気通信法
放送 ラジオ及びテレビ放送に関する法律、2007年放送規則・デジタル移行法、2010年改正メディア法

監督機関

通信 国家開発省、国家メディア・情報通信庁
放送 国家メディア・情報通信庁、メディア評議会、公共サービス協会