世界情報通信事情 World Information and Communication Circumstances

Italian Republic イタリア(最終更新:平成29年度)

市場の動向

インターネット・ブロードバンド市場

固定ブロードバンド・サービスの加入者数は年間数%の増加で推移しており、2017年6月現在、1,617万5,000である。接続方法は2016年にDSLが前年比約8%の減少で78.4%、FTTxが前年比6.3%増の16.0%である。WiMAXサービスは、EOLO、Linkem等がルーラル地域を中心に実施している。FTTxサービスは、TIM、Fastweb、ボーダフォン・イタリー、ウィンド3が導入している。

TIMは「2020年までに人口の100%に最大通信速度30Mbps、全世帯の50%に100Mbpsのブロードバンド接続を提供」というEU「デジタル・アジェンダ」の目標に従い、FTTC、FTTHの2段階で光ファイバ接続サービスの普及を図る「NGANプロジェクト」を推進してきた。Fastwebは、2020年までに国内全世帯の約半数にあたる1,300万世帯をFTTCabまたはFTTHでカバーするという目標を掲げ、ネットワークを拡張してきた。2016年6月、TIMとFastwebは最大速度1GbpsのFTTHサービス提供を目標とする合弁会社の設立(出資率はTIMが80%、Fastwebが20%)で戦略的提携を結んだ。この会社は当初の事業として、両社のFTTC網接続世帯のFTTH接続への転換を図り、2020年までに12億ユーロを投じて29都市の300世帯にFTTHサービスを提供可能とするとしている。

固定ブロードバンド加入数及び普及率(2012-2016年)

2012年 2013年 2014年 2015年 2016年
固定BB加入数(千) 13,763 14,013 14,374 14,900 15,563
固定BB普及率 22.6% 23.0% 23.5% 24.4% 25.4%

出所:ITU World Telecommunication/ICT Indicators Database

移動電話市場

移動電話の普及率は2007年に150%を超えている。TIM、英ボーダフォンの子会社ボーダフォン・イタリー、ウィンド3(2017年1月にウィンドと香港のハチソン・ワンポアの子会社であった3イタリアが合併)の3社が市場に参入している。MVNOについては2007年3月から参入が開始され、2017年6月末には約20社が事業を展開している。うち郵便サービス事業体ポステ・イタリアの子会社ポステ・モビレの加入者が最も多い。

LTEに関しては、TIMが2012年11月、ボーダフォン・イタリーが2012年10月、3イタリアが2012年11月、ウィンドが2014年3月に商用サービスを開始しており、2017年8月までに、TIMとボーダフォンの人口カバレッジは97%を超えた。5Gについては、6事業者が指定3地域のうち1地域での3.6~3.8GHz帯を用いた試験サービスを許可されている。

移動電話加入数及び普及率(2012-2016年)

2012年 2013年 2014年 2015年 2016年
移動電話加入数(千) 97,189 96,863 89,915 87,691 85,956
移動電話普及率 159.6% 158.8% 147.2% 143.4% 140.4%

出所:ITU World Telecommunication/ICT Indicators Database

固定電話市場

1998年1月1日から長距離・国際通信市場が、2000年1月1日から市内通信市場が自由化され、BTイタリア、ウィンド3等、30以上の事業者が固定通信サービスを実施している。PSTN回線を経由したサービスの加入者は減少しており、世帯普及率も2007年まで100%を超えていたが、2016年には78.0%であった。

固定電話加入数及び普及率(2012-2016年)

2012年 2013年 2014年 2015年 2016年
固定電話加入数(千) 21,749 21,098 20,581 20,209 20,267
固定電話普及率 35.7% 34.6% 33.7% 33.1% 33.1%

出所:ITU World Telecommunication/ICT Indicators Database

放送市場

地上放送

公共放送RAIのほか、メディアセット、ディスカバリー・イタリア等が無料チャンネルを提供している。そのほか、メディアセットを中心に有料放送が実施されている。

衛星放送

2009年7月から、RAI、メディアセット、テレコム・イタリア・メディアの共同出資によるTivù Satが地上デジタル放送の難視聴地域等に無料放送を実施している。商業放送は、有料放送市場で最大のシェアを持つニューズコープ傘下のスカイ・イタリアが、200以上のチャンネルの配信を実施している。

重要政策動向

イタリア・デジタル・アジェンダ

2014年には、経済発展省を中心に「イタリア・デジタル・アジェンダ」として、2020年までの超高速ブロードバンド普及と電子政府サービスの成長に関する目標が明示された。うち電子政府サービスについては、公的機関における各種請求書と支払の電子化、身分証明書の電子化、セキュリティ強化、医療情報の電子版パンフレット配布、オープンデータ及びオンラインでの国勢調査が進められ、進行状況がポータルサイトで定期的に報告されている。

基礎データ集

国の基礎データ

政体
共和制
面積
30万1,318㎢
人口
6,121万人(2016年)
首都
ローマ
公用語
イタリア語

経済関連データ

通貨単位
1ユーロ(EUR)=131.79円(2017年10月末)
会計年度
1月から1年間
GDP
1兆8,589億1,300万USD(2016年)

出所:World Bank, World Development Indicators Database

法律

通信 電子通信法典、1997年7月31日の法律第249号 等
放送 1997年7月31日の法律第249号、2004年5月3日の法律第112号、2005年7月31日の政令法律第177号

監督機関

通信 経済発展省、通信規制庁
放送 経済発展省、通信規制庁