世界情報通信事情 World Information and Communication Circumstances

Republic of Paraguay パラグアイ(最終更新:平成27年度)

市場の動向

インターネット・ブロードバンド市場

パラグアイは中南米諸国の中でもインターネットの普及が最も遅れている国の一つに挙げられる。その理由の一つに、国営通信Copacoが固定通信の各種サービスにおいて強い支配力を有しており、競争が促進されていない状況が挙げられる。

2014年末現在、ブロードバンド回線は、ケーブルモデムとADSLがほとんどで、それぞれ59.4%と35.7%の加入者シェアを得ている。WiMAXサービスもティゴとヌクレオにより提供されていたが、加入者の伸び悩みから2007年に撤退を決断し、ケーブルモデムやTD-LTEへの移行を図った。FTTHサービスは、Copacoやティゴ、Saturnoなどが提供しているが、高額な料金がネックとなり、加入者数は伸び悩んでいる。

ティゴとCopacoの2社が加入者シェアをほぼ独占しており、2014年末現在、それぞれ40.5%と35.7%のシェアを獲得している。ティゴはアスンシオン首都圏を中心にFTTHサービスを拡充したり、2012年7月にはケーブルテレビ最大手ケーブルビジョンを買収し有料放送分野への事業展開を図るなどしてクアドルプルプレイを強化している。

固定ブロードバンド加入数及び普及率(2010-2014年)

2010年 2011年 2012年 2013年 2014年
固定BB加入数(千) 89 120 136 157 168
固定BB普及率 1.4% 1.8% 2.0% 2.3% 2.4%

出所:ITU World Telecommunication/ICT Indicators Database, 2015

移動電話市場

1社が独占する固定電話市場と違い、携帯電話市場は大手4社がシェアを競っている。ルクセンブルクのミリコム・インターナショナル・セルラー(MIC)傘下のティゴ(旧テレセル)、アルゼンチンのテレコム・パーソナルが出資するヌクレオ(ブランド名パーソナル)、メキシコのアメリカ・モビル傘下のクラロ、Copacoが所有するオラ(ブランド名Vox及びCopacel、数年前まではKDDIが出資していた)の4社が参入している。2014年末現在、事業者別の加入者シェアは、ティゴが52.1%、ヌクレオが33.2%、クラロが7.8%、オラが7%となっている。

3Gサービス加入者数は約71万で、携帯電話加入者全体の約9.5%を占めている。4Gサービスは、オラとヌクレオ、ティゴがアスンシオン首都圏で提供しており、約4万強の加入者を得ている。

移動電話加入数及び普及率(2010-2014年)

2010年 2011年 2012年 2013年 2014年
移動電話加入数(千) 5,921 6,529 6,794 7,053 7,305
移動電話普及率 91.7% 99.3% 101.6% 103.7% 105.6%

出所:ITU World Telecommunication/ICT Indicators Database, 2015

固定電話市場

固定電話サービスは、国営のCopacoが独占提供している。Copacoの独占状態が続いていることや、同社の資金不足からルーラル地域での通信基盤整備が進展しなかったこと等が影響し、固定電話の普及率は中南米諸国の中でも低いレベルに位置する。

このためCopacoは、ルーラル地域向けに低コストで通信基盤を構築できるFWA技術を利用した音声通話サービスに投資先をシフトしており、パラグアイ政府もCopacoのこの通信基盤拡充計画を支援している。2014年末現在、FWAサービス加入者は約4万3,000人いる。なお、2009年7月にCopacoはVoIPサービスを政府の承認のもとで独占的に展開しており、約1,600人の加入者を得ている。

固定電話加入数及び普及率(2010-2014年)

2010年 2011年 2012年 2013年 2014年
固定電話加入数(千) 363 369 411 438 372
固定電話普及率 5.6% 5.6% 6.1% 6.4% 5.4%

出所:ITU World Telecommunication/ICT Indicators Database, 2015

放送市場

国家電気通信委員会(CONATEL)は、2014年末現在、有料放送の加入者数が43万6,000に達したと発表した。プラットフォーム別の加入者数は、ケーブルテレビが27万7,000、衛星放送が15万7,000、IPTVが2,000であった。

衛星放送は、クラロ、TuVes、ヌクレオ等が実施している。米国のディレクTVが衛星放送の事業免許を取得しているが、サービス開始時期は明らかにしていない。ケーブルテレビは首都圏を中心に普及している。ケーブルテレビ最大手はティゴである。ティゴは2012年8月にアルゼンチン最大のメディア企業クラリン・グループから1億5,000万USDでケーブルビジョンを買収した。

重要政策動向

周波数オークション

CONATELは、2015年12月にAWS帯(1.7/2.1GHz)の周波数オークションを実施した。4G(LTE)向けに12ブロック(2×5MHz幅)、一事業者の上限は30MHz、最低入札の総額は1,500万USDを予定していたところ、ティゴとクラロの2社がそれぞれ3ブロック(30MHz幅)を獲得し、落札総額は9,000万USDとなった。2016年8月のサービス開始を予定している。一方、業界2位のヌクレオはオークションに参加せず、既存の3G用周波数帯である1.9GHz帯を4Gに使用すると発表し、サービス開始は2016年3月を予定。なお、CONATELは2016年に700MHz帯及び2.6GHz帯の周波数オークションを実施する予定である。

地上デジタル放送

2010年6月に地上デジタルテレビ放送の規格として日本方式ISDB-Tを採用することを決定した。2011年8月には、TV Pública(現Paraguay TV HD DIGITAL)が地上デジタルテレビの本放送を開始しており、2015年までに人口の半数をデジタル放送でカバーする計画である。アナログ放送停波時期は2023年12月31日を予定している。

基礎データ集

国の基礎データ

政体
立憲共和制
面積
40万6,752㎢
人口
645万5,000人(2015年)
首都
アスンシオン
公用語
スペイン語、グァラニー語

経済関連データ

通貨単位
1グァラニー(PYG)=0.020円(2016年12月末)
会計年度
1月から1年間
GDP
270億9,394万USD(2015年)

出所:World Bank, World Development Indicators Database

法律

通信 1995年電気通信法(法律第642号)
放送 1995年電気通信法(法律第642号)

監督機関

通信 国家電気通信委員会
放送 国家電気通信委員会、放送委員会、情報通信庁