世界情報通信事情 World Information and Communication Circumstances

Republic of Poland ポーランド(最終更新:平成27年度)

市場の動向

インターネット・ブロードバンド市場

2015年6月末現在、ブロードバンド接続世帯数は620万である。接続方法別割合は、DSL:58.4%、ケーブル:32.1%、LAN/FTTx:7.7%である。2014年末時点の普及率は18%で、OECD加盟34か国中31位である。事業者別では、2015年6月末現在、オレンジ・ポルスカがブロードバンド市場シェアの4割強を占める。その他の事業者では、UPC、ネティア、マルチメディア・ポルスカなどが10%前後のシェアを有する。モバイル・ブロードバンド加入者数は、2014年末時点で2,128万、普及率は55.3%で、OECD加盟国の平均81.3%を下回っている。

固定ブロードバンド加入数及び普及率(2010-2014年)

2010年 2011年 2012年 2013年 2014年
固定BB加入数(千) 5,858 6,972 6,888 7,031 7,234
固定BB普及率 15.3% 18.2% 18.0% 18.4% 18.9%

出所:ITU World Telecommunication/ICT Indicators Database, 2015

移動電話市場

携帯電話の普及率は、欧州他国と同様に、上昇を続け、2014年末現在、156.4%である。Tモバイル・ポーランド、オレンジ・ポルスカ、ポルコムテル、P4などがサービスを提供している。2015年6月末現在、4社の加入者数は拮抗している。一方、Aero2とCenterNetのシェアは1%未満である。

3Gサービスは、主要事業者がHSPA+サービスを導入している。2015年6月末現在、3G加入者数は全加入者の34.2%に当たる2,012万である。LTEサービスは、Aero2とCenterNetが2010年9月に商用サービスを開始した。Aero2は華為とネットワーク構築を進め、2011年5月に2.6GHz帯でLTE TDDサービスを開始した。大手4社については、ポルコムテルが2012年9月に1800MHz帯での商用サービスを開始。2014年1月現在、人口の3分の2をカバーしている。オレンジ・ポルスカは2013年9月、P4は2013年11月、Tモバイル・ポーランドは2014年6月に、それぞれサービスを開始している。LTE-Aについては、オレンジ・ポルスカとポルコムテル、MVNOのCyfrowy Polsatが実験を行っている。2015年6月末現在、事業者別のLTE加入者数は、P4が140万、オレンジ・ポルスカが127万で、その他事業者の加入者数は20万未満である。

MVNOについては、2007年からサービスが開始されている。2015年3月末現在、19社がサービスを提供し、サービス加入者数は120万程度である。

移動電話加入数及び普及率(2010-2014年)

2010年 2011年 2012年 2013年 2014年
移動電話加入数(千) 46,952 50,160 54,086 56,973 56,905
移動電話普及率 122.9% 131.3% 141.5% 149.1% 148.9%

出所:ITU World Telecommunication/ICT Indicators Database, 2015

固定電話市場

携帯電話の普及により、固定電話の加入者は2003年から減少を続けている。2014年末現在、各事業者の加入者数(VoIP加入者数を含む)は、オレンジ・ポルスカ:451万、ネティア:133万、UPC:56万である。VoIP加入者数は160万。事業者別加入者数は、UPCが56万で1位である。

固定電話加入数及び普及率(2010-2014年)

2010年 2011年 2012年 2013年 2014年
固定電話加入数(千) 7,667 6,853 5,951 5,477 4,822
固定電話普及率 20.1% 17.9% 15.6% 14.3% 12.6%

出所:ITU World Telecommunication/ICT Indicators Database, 2015

放送市場

地上放送

公共放送は、TVPが「TVP1」(総合編成)、「TVP2」(娯楽系)の2系統を全国放送している。また16都市で地域向けの「TVP Regionalna」を放送している。商業放送は、テレヴィズィア・ポルサット社が運営するポルサット、ITIグループが運営するTVN、テレヴィズィア・プルスが各1系統の全国放送を行っている。

2013年の地上テレビ、衛星放送、ケーブルテレビの系統別平均視聴シェアを見ると、TVP1:13.2%、TVN:12.5%、ポルサット:12.3%、TVP2:10.3%である。地上デジタル放送への完全移行後、無料で視聴可能な系統が増えたことなどから、上記4系統のシェアが顕著に減少している。

衛星放送

2013年末現在、衛星放送の加入件数は675万7,000(デジタル有料:571万9,000、デジタル無料:103万7,000、アナログ:1,000)である。国内資本ツィフローヴィ・ポルサット社が運営するツィフローヴィ・ポルサット、フランス資本ビベンディ傘下の有料テレビ事業者Canal+とITIグループが運営するnc+、オレンジ・ポルスカが運営するオレンジTVの三つのサービスがある。デジタル衛星放送は、有料テレビ視聴世帯の約6割を占めている。

1999年に開始されたツィフローヴィ・ポルサットの加入件数は2013年末現在、356万(シェア55%)で、提供チャンネル数も業界最多である。利用料が割安であるため、地上デジタル放送に完全移行した後も契約数は減少に転じていない。

nc+は、最大手ツィフローヴィ・ポルサットに対抗するため、2013年3月、Canal+とITIグループが、シェア2位のツィフラ・プルスと3位のエヌという二つのサービスを統合して開始したが、統合前より料金が割高のため、利用者数が減少している。2013年末現在、加入件数は220万(同36%)。一方、オレンジTVの加入件数は、2013年末現在、58万6,000(同9%)である。オレンジ・ポルスカが提供するインターネット・サービスのオプションとしてのみ契約できる。

ケーブルテレビ

2013年末現在、ケーブルテレビ加入件数はテレビ視聴世帯の3分の1に当たる453万(アナログ:240万1,000、デジタル:212万9,000)である。小規模事業者が約500あるが、大手3社がシェアの70%弱を獲得している。

オランダ資本UPCポーランドは、国内外の衛星放送チャンネルを中心に配信し、2008年3月からデジタル放送も開始している。2011年には業界4位アステルを買収した。2013年末現在、加入件数は124万(デジタル:63%)、シェアは31%である。

重要政策動向

情報通信基盤整備政策

2014年1月、政府は「Programme of Integrated Informatisation of the Government」「National Broadband Plan」「Operational Programme Digital Poland 2014-2020」の三つを採択した。

Programme of Integrated Informatisation of the Government」は、行政機関における電子サービスの開発について説明している。

National Broadband Plan」は、ブロードバンドの普遍的なアクセス提供を目的とした2014年から2020年までの計画で、行政デジタル省の見込みでは、同計画により国民の1,650万人がブロードバンドにアクセス可能になるとしている。

Operational Programme Digital Poland 2014-2020」は、普遍的なインターネット・アクセス、コンテンツとインターネット・サービスに関する諸問題、インターネット・ユーザのスキルという3分野における総括的対処を担う。予算はブロードバンド・アクセス開発の10億2,000万EURを含む22億6,000万EURである。EUのデジタル化計画に沿って、2020年末までに全家庭で少なくとも30Mbps以上になることを目指している。

公共放送関連政策

公共放送の財源は、主に受信料収入と広告収入である。受信料については、ラジオ及びテレビ受信機器を使用するすべての利用者に支払義務が課されている。2014年の月額受信料は19.3PLNである。受信料の不払い世帯が過半数に及んでいるため、公共放送の財源安定化のため、2015年1月から受信料が月額21.5PLNに引き上げられることが決定した。

基礎データ集

国の基礎データ

政体
共和制
面積
32万3,250㎢
人口
3,828万人(2015年)
首都
ワルシャワ
公用語
ポーランド語

経済関連データ

通貨単位
1ズロチ(PLN)=27.88円(2016年12月末)
会計年度
1月から1年間
GDP
4,770億6,645万USD(2015年)

出所:World Bank, World Development Indicators Database

法律

通信 2004年電気通信法 等
放送 1992年放送法 等

監督機関

通信 基盤開発省、電子通信局
放送 基盤開発省、ラジオテレビ評議会