国際機関名 | アジア・太平洋経済協力(APEC)/Asia-Pacific Economic Cooperation |
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URL | http://www.apec.org/ |
所在地 | 35 Heng Mui Keng Terrace, 119616, Singapore |
幹部 | Alan Bollard(事務局長/Executive Director) |
組織の概要
設立目的
アジア・太平洋地域における政府間経済協力の場として、1989年11月にキャンベラで開催された第1回閣僚会議により発足した。1991年に発表された「ソウル宣言」で、APECの目的として以下が挙げられた。
- 地域の成長と発展を持続し、世界経済の成長と発展に貢献する。
- 経済的相互依存関係の進展による利益の増進を図る。
- 開かれた多角的貿易体制の推進・強化を促進する。
- 物財・サービスの貿易・投資に対する障壁を緩和する。
更に、同宣言には、目的達成のために「貿易・投資の自由化」、「貿易・投資の円滑化」、「経済・技術協力の推進」が掲げられている。
1994年のインドネシアにおける非公式首脳会議では、参加メンバー首脳による共通の決意表明として、「ボゴール宣言」が採択され、アジア・太平洋地域における貿易・投資自由化の長期的目標と、将来的な経済・技術協力の方向性が決定された。同宣言において発表された主要目標は以下のとおりである。
- 域内における自由で開かれた貿易・投資という長期的な目標をGATT(現WTO)の枠組みで達成する。
- 域内における貿易・投資の自由化を、先進国については2010年、途上国については2020年までに達成する。
- 貿易及び投資の自由化を目指す過程において、現状以上の保護水準を高める措置を採用せず、規制緩和を推進する。
組織案内
(1)首脳会議
1993年、クリントン米大統領(当時)の呼びかけにより年ごとに開催されるようになった。当初、同会議は、APECの首脳が非公式に参集し、経済問題に関して幅広い見地から自由に意見交換を行う場として開催された。その後、APECの具体的指針について協議・採択が行われる等、事実上の最高意思決定機関となっている。首脳会議において採択されたAPECの長期的な基本方針は、首脳宣言により発表される。
(2)閣僚会議
参加メンバーの経済産業大臣及び外務大臣により構成されており、APECの活動の方向性や実施のための最高意思決定機関である。同会議は、毎年開催されている。
(3)その他の主要会合
- 電気通信・情報産業担当大臣会合(TELMIN)
参加メンバーにおける電気通信分野の自由化とアジア・太平洋情報基盤(APII)の構築に向けた議論を行うため、2~3年置きに開催されている。
- 高級実務者会合(SOM)
毎年開催される閣僚及び首脳会議の準備を行い、APECの活動全体の調整を行うために、外務省及び対外経済関係省の高級実務者により年3ないし4回開催されている。
- APECビジネス諮問委員会(ABAC)
APEC唯一の公式民間諮問機関で、貿易・投資の自由化、円滑化に向けたAPECの政策や、その実施状況についての意見や評価をまとめ、APEC首脳や閣僚に提言を行っている。
- 電気通信ワーキング・グループ(TEL)
11のワーキング・グループの一つであり、デジタル・ディバイドの解消や、次世代ネットワーク及び技術、電子政府、規制改革、通信基盤の整備、eセキュリティ等の各種情報通信に関するトピックを中心にワークショップ等を開催している。
最近の活動状況
(1)2015年フィリピン・マニラ閣僚・首脳会議
2015年11月16~17日に、第27回APEC閣僚会議がフィリピンのマニラで開催された。「包摂的経済の構築、よりよい世界の建設」をどのように進めるかというテーマの下、アジア・太平洋地域の感度と影響力を拡大することについて議論が行われた。なお、2015年の首脳会議は11月18~19日にフィリピンのマニラで開催された。
(2)第10回電気通信・情報産業担当大臣会合(TELMIN10)
TELMIN10は、2015年3月30~31日にマレーシアのクアルンプールで開催された。同会合では、域内におけるICTを通じての経済統合・変革及び成長を実現するための2020年までの取組みについて、主に次の五項目に関する議論が行われた。
- 防災ICTや電子政府、遠隔医療などを含むICTイノベーションの推進及びサポート体制の構築
- セキュリティの強化を通じた強靭かつ信頼のできるICT環境の促進
- IoTやデジタルコンテンツの推進などによる域内経済統合の促進
- センサー網やビッグデータなど新産業の開発を通じたデジタル・エコノミーの強化
- 域内関係機関との連携や他の国際機関との連携強化