平成3年版 通信白書

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第1章 平成2年情報通信の現況

(4)国際通信設備の状況

 元年4月に運用開始した第3太平洋横断ケーブル(TPC-3)に引き続き、2年7月には香港〜日本〜韓国ケーブル(H-J-K)が光ケーブル方式により運用を開始した。光ケーブル方式は、大容量・高速通信に適したものであるうえ、デジタル化にも対応しやすい方式であり、衛星回線に比べて伝送遅延が解消されるなどの特性から、特に、リアルタイムのデニタ伝送に適した方式である。
 今後、光海底ケーブルについては、3年度早期に北太平洋ケーブル(NPC)が、4年10月に第4太平洋横断ケーブル(TPC-4)が、5年末に日中ケーブルがそれぞれ開設される予定となっており、今後まずます増大すると予想される我が国の通信需要を賄うための通信容量の確保に、大きく貢献することが期待される。
 また、国際間の海底ケーブルについては、その敷設距離の長さから、敷設及び保守に係る期間の長さ、天候の変化等による敷設・保守の困難さ等の問題があるが、KDDでは従来のKDD丸に替わる第2世代の敷設船を発注し、4年2月の完成を目指すこととなった。この新造船は、従来の2倍以上に当たる4,000km強のケーブルを1回の航海で敷設することが可能であり、風速17mの悪天時でも船体を自動的に敷設位置に保持できる自動船位保持装置等を搭載しているため、今後の光海底ケーブルの敷設に当たっても、迅速で確実にケーブルの敷設や保守を行うことが可能となるなど、光通信時代の通信の信頼性の確保に寄与することが期待される。
 なお、2年9月1日には第1太平洋横断ケーブル(TPC-1)が運用を停止した。TPC-1は全長9,782km、138回線の日本初の海底同軸ケーブルシステムであり、東京オリンピックが開催された昭和39年6月に運用開始して以降、26年3か月の間日本の国際通信を支えてきた基幹回線であった。運用停止後は東京大学地震研究所及び米国地震学研究所連合(IRIS:<1>ncorporated Research Institutions for SeismoIogy)により、同ケーブルの日本〜グアム間の部分を利用して、地震予知をはじめとする地球科学の研究に供されることとなっている。
 TPC-1の運用停止は、アナログからデジタルへ、銅線から光ファイバへという、国際電気通信における新旧交替の象徴的な出来事であった。

TPC-4の陸揚げ

 

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