平成19年版 情報通信白書(資料編)

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付注9 情報通信産業の経済波及効果


1 情報通信産業の付加価値誘発額、雇用誘発額及びR&D誘発額の推計
(1)分析手法
 分析には産業連関分析における「均衡算出高モデル」を用いた。モデル式は以下のとおりである。
分析手法
 モデルのインプットは、情報通信産業の品目ごとの国内最終需要額に国産品比率(1−輸入係数)を乗じた値に輸出額を加えたものである。インプット以外の部分(それぞれの産業の投入係数、輸入係数、付加価値係数、雇用係数、R&D係数)の変化は、すべて経済波及効果の変動要因となるが、本編ではこれらのうち主要因と考えられるものについて言及している。なお、付加価値は粗付加価値ではなく家計外消費支出を除いたGDP水準の付加価値である。
 経済波及効果の将来予測の算出を行う際には、[1]式は最新である2005年のデータを使用した。

(2)データ
 ア 情報通信産業連関表
  主に1995年〜2005年の総務省「情報通信産業連関表」(平成12年基準)のデータを使用した。なお、分析は平成12年基準の実質データを用いて行った。
 イ 科学技術研究調査
  R&D誘発額の算出に用いるR&D係数の元となるデータは、総務省「科学技術研究調査」の「第5表 産業、営業利益高階級別研究関係従業者数及び社内使用研究費(会社)」の「社内使用研究費の支出額」(以下R&D額)である。
 R&D額は[4]式に示したように、各部門の国内生産額で除してR&D係数を計算するが、「科学技術研究調査」における産業部門と「情報通信産業連関表」の産業部門は異なることから、これらを図表1及び図表2のとおり対応させた。なお、R&D係数の計算に当たっては、2005年度のR&D額(2006年調査)を2005年の国内生産額で除すというように、年度と年を対応させている。
 [4]式の計算は、図表1、図表2のとおりR&D額と国内生産額を統合して行った。従って、「情報通信産業連関表」のうち、同じ対応用部門分類に対応する部門(例:固定電気通信と移動電気通信)のR&D係数はすべて同じである。なお、非対応の部門はR&D額もR&D係数もゼロである。

図表1 科学技術研究調査部門と対応用部門の対応関係
図表1 科学技術研究調査部門と対応用部門の対応関係

図表2 情報通信産業連関表部門と対応用部門の対応関係
図表2 情報通信産業連関表部門と対応用部門の対応関係

2 情報通信産業の将来の経済波及効果の推計
(1)分析手法及びデータ
 推定に使用したモデルは平成7〜17年の推定に用いたのと同じ均衡算出高モデルであり、データは使用可能な範囲で最新のデータである2005年情報通信産業連関表の実質表を用いた。つまり、推定モデル[1]〜[4]について、モデルのインプットである最終需要額(F)以外は、すべて2005年情報通信産業連関表の値を用いた。したがって、算出された値は、将来にわたって技術構造、産業構造及び輸入構造が2005年と全く同じであるという仮定の元での経済波及効果である。
 このため、ある製品の輸入が増加するといったことが起これば、ここで算出した値と実際の値が大きく乖離するということも起こりうることには注意が必要である。

(2)最終需要額推定モデル
 将来の最終需要額は、平成7〜17年までの実質最終需要額を被説明変数、タイムトレンドを説明変数とした線形回帰分析を実施し、そのパラメータを用いて推定した。線形回帰は産業別に行うが、情報通信産業のみ部門別(通信部門、放送部門等)に行った。
 推定式は以下のとおりである。
数式
 将来の最終需要額は、[5]式の推定パラメータを[6]式にあてはめて計算した。ここでの将来は、元データの5年後の平成22年を想定する(つまりタイムトレンドの値は16)。

 

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