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高速道路利用者の安全及び利便の確保に関する行政評価・監視結果

第1 調査の実施時期

平成14年12月〜15年3月

第2 調査対象機関

日本道路公団九州支社、同九州支社管内の7管理事務所(熊本、八代を含む)等

第3 調査の背景事情

○ 九州における高速自動車国道(以下「高速道路」という。)は、九州縦貫自動車道(平成7年7月:福岡県から鹿児島県・宮崎県間)、九州横断自動車道(平成8年3月:長崎県から大分県間)のクロスハイウェイが開通しているなど、九州各県の経済活動、地域間交流等に欠かせないもの。
○ 高速道路については、逆走による事故、跨道橋からの落下物による事故等が報道されているほか、行政相談にも、道路標識が分かりづらい、休憩施設を分煙にしてほしいなどが寄せられている。
○ この行政評価・監視は、九州管区行政評価局と熊本行政評価事務所等4局所が、高速道路利用者の安全の確保及び利便の向上を推進する観点から、高速道路管理者における安全及び利便対策の実施状況等について調査を実施した。

第4 通知年月日及び通知先

1 通知年月日 平成15年4月3日(木)
2 通知先 日本道路公団九州支社

第5 調査結果

1 利用者の安全確保対策

(1) 休憩施設における安全対策

(制度の仕組み等)

○ サ−ビスエリア(以下「SA」という。)及びパ−キングエリア(以下「PA」という。)の休憩施設については、車両進入禁止標識、本線方向案内標識等を設置することとされているが、次のような状況が認められた。

7管理事務所管内の60休憩施設について、
1) 入口側の車両進入禁止標識がなくなっているもの(1事例)。
2) 方向案内標識を出口部分に設置しているが、本線側及び施設側にないもの(1事例)、本線側又は施設側の一方しかないもの(5事例)など。
3) 入口及び出口部分における路面に矢印標示がないもの(4事例)など。

【熊本及び八代管理事務所管内における事例】
・ 入口側に設置することとされている逆走防止の車両進入禁止標識がなくなっているもの(1事例)。
・ 方向案内標識が施設側には設置されているが、本線側には設置されていないもの(2事例)。

(通知要旨)
九州支社は、休憩施設における交通の安全と円滑化をより一層推進する観点から、
1) 車両進入禁止標識の設置。
2) 方向案内標識を本線側・施設側に設置の検討。
3) 入口及び出口部分の路面に矢印標示の実施等。

(2) ETCの安全対策

(制度の仕組み等)

○ ETC設置に伴う安全対策については、
1)ETC専用レ−ン内に非ETC車が誤進入した場合の後続車との接触事故防止のためのバック禁止の標示、2)ETC車線を案内する標示板の設置、3)発進制御棒が開かない場合の緊急停車が可能な安全走行速度20キロメ−トル以下を周知する注意喚起看板を設置等することとされているが、次のような状況が認められた。

7管理事務所管内で、1) バック禁止の標示が剥がれたままのもの(1事例)、標示しているが見えにくいもの(2事例)、2) 安全走行速度の注意喚起看板が未設置のもの(2事例)。

【熊本及び八代管理事務所管内における事例】
・ ETCレ−ン内に、ETC車に対する安全走行速度20km以下を周知する注意喚起看板が設置されていないもの(2事例)。

(通知要旨)
九州支社は、ETC設置料金所における安全を確保する観点から、平成15年度末までに基本的に全国の料金所にETC設置が予定されていることを踏まえ、ETC設置に伴う安全対策の更なる徹底。

2 利用者の利便確保対策

(1) 休憩施設におけるサービス提供施設の整備及び管理

(制度の仕組み等)

○ 休憩施設(SA・PA)については、
連続高速走行を安全かつ快適に行うことができるよう、駐車場、トイレ等のサ−ビス提供施設を整備することとされているが、次のような状況が認められた。

7管理事務所管内の60休憩施設におけるサ−ビス提供施設について、
ア 身体障害者用駐車場で、1) スロ−プ利用者に対する配慮が不十分なもの(3事例)、2) 車いす使用者がスム−ズに通行できないもの(5事例)など。
イ 多目的トイレで、1) 非常用ボタン(12事例)や非常用警報装置(7事例)の設置、管理が不十分なもの、2) ドアが施錠できないなど、関係設備が不十分なもの(16事例)など。
ウ 非常電話の設置方向が適切でないもの(3事例)。
エ 一般トイレの個室内の洋服かけが破損しているものなど(7事例)。

【熊本及び八代管理事務所管内における事例】
・ 車いす利用者の通路に桝目の大きなグレーティングがあるなど、車いす利用者がスムーズに通行できないもの(4事例)。
・ 多目的トイレの非常用ボタンから引き紐が下がっているが、握玉がなくなっており、操作がしにくい等多目的トイレの維持管理が不十分なもの(24事例)。
・ トイレ個室内の戸当たり(洋服かけ)等が破損しているなど一般トイレの管理が不十分なもの(7事例)。

(通知要旨)
九州支社は、高齢者、身体障害者等を含む利用者の利便を確保する観点から、
1) サ−ビス提供施設の実情を把握し、高齢者、身体障害者等に配慮した施設整備の推進。
2) 破損しているなど利用できない施設は、改善するとともに適切に管理。

(2) 道路標識等の情報提供

(制度の仕組み等)

○ 道路標識等については、安全かつ快適な走行が行えるよう標識を整備、また、異常気象、事故等によりICを閉鎖し、走行中の車両を強制的にICから流出させる場合に備えて、周辺ICまでの道順等を記載した案内図等を料金所等で配付することとされているが、次のような状況が認められた。

7管理事務所管内の道路標識等及び迂回路案内図等について、
ア 道路標識等
1) 案内標識で間違い起こしやすい標示内容のもの(1事例)、2) 「方面及び距離」標識で遠方都市名及び距離が標示されていないもの、又は遠方都市名が見えないもの(4事例)、3) IC内の路面標示が消失しかかっているもの(1事例)など。
イ 迂回路案内図等
道路の路線番号、名称、町名等を誤っているもの(9事例)、有料道路、主要交差点等を記載、標示等していないもの(9事例)など。

【熊本及び八代管理事務所管内における事例】
・ 「方面及び距離」標識に、次のICとその次のICの名称及びそこまでの距離を標示しているが、遠方都市の名称及び距離が標示されていないもの、又は遠方都市名が見えないもの(4事例)。
・ 迂回路案内図の交差点名や国道・県道の路線番号を誤って記載している等のもの(7事例)。

(通知要旨)
九州支社は、高速道路利用者に対する情報提供の充実を図る観点から、
1) 道路標識等の現況を確認し、間違いを起こしやすい標示内容のもの、遠方都市及び距離が標示されていないものなどの改善等。
2) 迂回路案内図等の定期的な見直しを行い、現状との整合性を確保。

(3) 休憩施設における分煙対策

(制度の仕組み等)

○ 休憩施設の無料休憩所、スナックコ−ナ−等の営業施設については、受動喫煙(室内又はこれに準ずる環境において、他人のたばこの煙を吸わされること。)の防止に努めることされているが、次のような状況が認められた。

7管理事務所管内の42休憩施設(無料休憩所、スナックコ−ナ−等の営業施設を設けているもの)について、i1)独立した喫煙室を設置するなど受動喫煙を防止しているもの(5休憩施設)、ii2)喫煙コ−ナ−を無料休憩所内等に設置しているが排煙措置等を講じていない、又は喫煙コ−ナ−及び禁煙コ−ナ−の設置、指定等を行っていないもの(37休憩施設)。

【熊本及び八代管理事務所管内における事例】
・ 分煙措置を講じていないものや分煙対策として喫煙コーナーを設置しているが、排煙設備を設置していない等のもの(16事例)。

(通知要旨)
九州支社は、休憩施設の快適な利用を促進する観点から、財団と協議のうえ、営業施設内のスペ−ス、無料休憩所の配置状況等営業施設の実態を踏まえて分煙対策を推進。

3 ハイウェイポストの運用

(制度の仕組み等)

○ ハイウェイ・ポストについては、利用者ニ−ズを的確に把握し、利用者サ−ビスの推進を目的に、レストラン、無料休憩所等を整備している休憩施設に意見等投函用のポストを設置し、投函された意見等を回収し、各々整理、検討を行い実施可能な意見については速やかに実施することとされているが、次のような状況が認められた。

7管理事務所管内におけるハイウェイ・ポストに投函された意見等の回収、処理状況等について、
1) 7管理事務所とも財団管理分に係る意見等の件数、内容及び処理状況は未把握。しかし、財団管理分の意見等には、レストラン、売店等の営業施設以外に、休憩所、清掃、施設等に係るものがあり、利用者意見等の的確な把握が不十分。
2) 7管理事務所とも九州支社に意見等の件数、処理状況等を未報告。また、管理事務所の中に、1)匿名の意見等についての措置状況、検討状況等が不明確、2)意見等に対して検討が不十分なものがある。
3) ハイウェイ・ポストを食堂奥等に設置しているなど、利用しづらいもの(7事例)。

【熊本及び八代管理事務所管内における事例】
・ 食堂奥等にハイウェイポストを設置しているため、設置場所が分かりづらいもの(3事例)。

(通知要旨)
九州支社は、利用者サ−ビスを推進する観点から、
1) 管理事務所主導でハイウェイ・ポストの意見等を区分し、財団管理分に係る意見等の件数、内容及び処理状況を把握。
2) ハイウェイ・ポストの意見等の件数、処理状況等の報告を求めること。また、管理事務所における意見等の処理手順、方法等を内容とする事務処理要領等を作成。
3) ハイウェイ・ポストの現状を把握し、利用しづらいものは改善。

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