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政策評価の手法等に関する研究会(第8回)議事概要

日時

平成12年2月25日(金) 10:05 〜 12:05

場所

中央合同庁舎第4号館共用第3特別会議室

出席者

(研究会)
奥野正寛座長代理、金本良嗣、久保惠一、田辺国昭、星野芳昭、山谷清志の各研究協力者

(発表者)
上山信一 マッキンゼー・アンド・カンパニー・ジャパン・インク パートナー

(総務庁)
東田行政監察局長、畠中官房審議官、鎌田企画調整課長、若生政策評価等推進準備室長、宮川監察官その他関係官

議題

  • 有識者による発表
     マッキンゼー・アンド・カンパニー・ジャパン・インク パートナー
      上山 信一氏 「行政評価の可能性と限界」
  • 事務局説明
     「公共事業の評価の現状」

会議経過

  1. マッキンゼー・アンド・カンパニー・ジャパン・インクパートナーの上山信一氏から、「行政評価の可能性と限界」について、以下のような説明がなされた。

    (上山氏)
    • 政策評価の根本にある橋本行革は、山に例えるなら1合目のレベルに留まった。経営改革の原則からすれば、硬直化した中央省庁は、合併よりもむしろ分割したり、現業は民営化すべきであった。しかし、足して揺さぶるのも一つの作戦。政策評価は、今後の展開次第でよいものになる可能性もあり、期待している。なお、「政策評価」という用語が法律化されてしまったが、本来、これは議会がやることであり、執行部門が自らやる評価には、「行政評価」という用語を使うべきである。
    • 評価をすれば何かが変わるのではなく、被評価者がその結果を受け止めて自らどのような改革を行うか、また、評価結果により議会を含めた政策決定者がどのような戦略を展開し、予算を付けるかの方が重要。
    • 「行政評価の可能性と限界」について三つの視点から話したい。1)「行政評価にみる経営の基本原理」:日本の地方自治体は、行政評価に取り組み、志は高いが事務や事業レベルのものの自己点検という未完成なレベル。よい例がない。海外で成果を挙げている例は、民間企業の経営の基本原理を採り入れており、むしろこれらを見習うべき。
      2)「今の日本における可能性と限界」:海外の行政評価手法を日本で用いることについては、可能性は高いが、現実には厳しい。三重県等の各自治体の取組は、政治行政のガバナンスや制度の壁が大きいため、目指していることと現実にできることの間には大きなギャップが存在。3)「真のねらいを見据えて」:一方で、制度の壁を破るきっかけになる可能性もあり、伏線として、見据えるべき真のねらいも織り込むことが必要。
    • 第一に、「行政評価にみる経営の基本原理」を4点から説明する。1)「顧客志向」:企業は株主と買い手の二つの顧客を満足させないと経営が成り立たない。これを行政に例えると、納税者と実際のサービスの利用者の両方のニーズの満足、二つは矛盾する存在。2)「成果志向」:企業は目に見える成果を出して初めて認められる世界。成果を出さない限り、アカウンタブルか否かを議論すらできない。アカウンタビリティという言葉は非常に明快であり、最初にこれだけやるという目標を立て、その達成度を見るため、成果を測定する。また、過去の成果や競合先と比較して評価しなければ議論にならない。やったことをオープンにするのはただの情報公開。3)「情報公開と競争原理の活用」:企業経営には競争のないところに革新はあり得ないという理念があり、情報公開も競争を起こすための手段。4)「パブリックガバナンスの確立」:コーポレートガバナンスとして、信賞必罰や、株主、経営者、従業員、顧客の間でチェックする重層管理等により、競争とイノベーションが保証される。
    • ニュー・パブリック・マネージメント(NPM)とは、顧客志向、成果志向、情報公開による擬似的な競争原理を導入し、公的な世界にも、コーポレートガバナンスの仕掛けを入れていくイニシアチブと理解。
    • 行政評価は、国民、納税者から見て意味のあるものを評価すべき。また、事務事業や政策のレベルではなく、施策レベルぐらいでないと戦略的な議論は成り立たない。国民や議会とコミュニケーションが成り立つ単位が施策レベル。また、戦略とは絞込み、焦点を当てることであり、網羅的である必要はない。全体の予算の8割とか国民の関心事の9割をカバーできる範囲で目標をとらえればよい。例えば、小学校教育の例をとると、主要施策の中から10個程度の目玉に絞り込めばよい。
    • 施策目標には期間を設定すべき。目標はアウトカム(成果)ベースとし、それに向けた行政のアウトプット(仕事量)、必要なインプット(予算)があるというイメージ。これらの間については、局長クラスが大臣と交渉し、議会で議論が行われることにより、契約の概念が成り立つ。評価の主体は議会や大臣であり、局長以下の執行機関が評価される。1年後には、実績と当初の計画が比較され、局長や大臣が責任を問われることになる。
    • 以上が自分の考える「行政評価」であり、契約の概念、事前の約束がないものは評価とは言えない。また、事前の約束なしにアウトカムの評価をすると、言い訳の余地を生む。「計画行政から評価行政へ」という流れは正しいが、計画の中身は題目若しくはスローガンでしかなく、達成目標とそれに向けての約束がなされていなかった。そのような状況で評価しても乱暴で恣意的な政治側からの評価、あるいは役人側のお手盛り評価のどちらかに偏ってしまう危険性が高い。
    • 行政評価には4つの実務類型がある。1)「ソーシャルインディケーター型評価」:政府が何をやっているかを国民が評価するためには、ベンチマーク的なもの等を非常に単純化して示すことが必要。行政の現状や行政の責任の外にある状況も含めて議論をするための材料を提供。一応、行政評価と言えるが、対象は政策であり、執行部門の仕事の善し悪しを測るのは無理。例としては、青森県の政策マーケティング、東京都のベンチマークス等で実験が始まっているところ。2)「専門家評価」:専門家を集めて議論してもらい、その政策について問題提起をするもの。国民に対するコミュニケーション、議会に対する情報提供という意味はあるが、執行部門の生産性を上げる活動ではない。3)「プログラム型評価」:行政評価は執行部門の生産性を評価することになるが、予算、人員の配分のレベルで管理し、どの施策をやるかやらないかを議論するのは施策レベル。予算統制、人員配置、組織改革等を目指した評価。4)「執行管理型評価」:現場が「日々是改善」と取り組まないと生産性は上がらない。資源の配分だけでなく、資本の回転率を上げるためには、事務事業の評価も重要。現在、様々な自治体や中央官庁において行われているのは、この事務事業の評価であり、例えば、三重県の事務事業評価、静岡県の業務棚卸し等。
    • 資源配分に影響を与えるためには、「プログラム型の評価」の導入が必要。米国のGPRAやブレア政権のPSA、米国各州の行政改革を見ると、当初から予算プロセスにメスを入れるとの意図の下にプログラムレベルに焦点を当てており、一方では、TQM・TQC(総合品質管理)活動の中で事務事業評価を実施。日本の場合も末端の事務事業レベルに加え、施策レベルの評価も織り込んでいくべき。国の方針で動いている自治体では難しいので、これについては国が先行することが必要。
    • 行政評価指標は、二種類の顧客に対応することが重要。納税者に対しては、アウトカム、アウトプット、インプットという資本の生産性を考える必要があり、サービスの受益者のアカウンタビリティに対しては、顧客満足度、シンプルプロセス、職員満足度という労働の品質を考えることが必要。顧客満足度については、税金の安さや財政再建だけではなく、いいサービスをより安くということが重要。特に病院や大学等のサービス的な行政については、サービスの質の向上が行政改革であり、評価の際にも利用者の視点を加えるべき。
    • 改革は生産性を上げることが重要であり、1)現場改善運動、2)戦略の見直し、資源の再配分(直営から民間補助へ、計画縮小等)、3)無駄なものを止め、新しいものをつくること(民営化、新規事業)の段階がある。それぞれに適合した行政評価を設計することが必要。このような行政評価の3段階を念頭に置くと、行政評価ではパフォーマンスの測定(Measurement)、つまり事前に約束した通りにやったかどうかを執行部門が説明することが重要である。その事前の約束がいわゆる戦略計画。評価結果により戦略計画もまた変わり、資源配分に影響し、これが成果ベース予算で、さらに、現場改善活動の方にも影響する。経営レベルと現場レベルの双方に刺激を与えて、予算が成果ベースで改革できるようになると行政評価としては成功。
    • 米国のアリゾナ州では、1993年の財政構造改革法の中で、行政評価をテコに予算をプログラム予算に変え、戦略計画(StrategicPlanning)を中心に据えて評価をすることを決定。そこでは、各部門のミッション、顧客の定義、目標(ビジョン)を書かせ、基本的な戦略をSWOT(Strength,Weakness,Opportunity,Threat)分析した上で、プログラムを抽出して目標設定し、プログラム別の予算・人員を配分。アリゾナ州の場合、最初に事業計画を立てて目標を設定してプログラムレベルで評価。次に予算に反映させるが、全ての予算がプログラム別にはなっていないので、それらを2?3年かけて変え、3年から7年目で、行政評価の評価指標を次年度の予算案の論拠にするというレベルに移る。現在はこのレベルで、全体の半分ぐらいが行政評価結果と予算との関係が説明できる程度になっている。
    • 第二に、「今の日本における可能性と限界」について説明する。行政評価は生産性を飛躍的に高める可能性を持っており、資本と労働の最適配分やその回転率の向上にも有力な手段。しかし、我が国では、当分の間、行政内部の自主改善活動のツールとして運用せざるを得ない。これは、評価主体である首長等がこれを使いこなす訓練を受けておらず、また、評価スキル自体が世間に流通していないためであり、行政主導での導入にならざるを得ない。真の経営改革のツールにするためには、パワフルな経営者を外部から入れるか、現行の制度やガバナンスを抜本改革し、政治任用の人材が活躍できるようにするか、あるいは民間企業の人材・ノウハウを行政の中に強制注入することが必要。
    • 行政評価は、国民が議会を、議会が総理大臣を、総理大臣が行政を、それぞれ事前の約束を達成したかどうかを後でチェックするという契約・ガバナンス関係を構築するよいきっかけ。しかし、国民の側には、評価を監視する機関がないので、行政機関が行った評価結果を鵜呑みにしてしまう可能性があり、行政部内のお手盛り点検をもって「評価した」と呼ばない良識が必要。
    • 第三に、「真のねらいを見据えて」について説明する。行政部内のよりよい管理の運動論を目指すのか、それとも本格的な経営改革への複線を織り込むのかということである。行政評価の進化のモデルには、次の3つのレベルがある。1)レベル1は、よりよい管理がねらいで、アカウンタビリティがキーコンセプト。改革手法は「気づき」、「意識改革」、「TQC」等。業務棚卸し、事務事業点検等の日本の自治体はこのレベル。2)レベル2は、資源配分そのものに影響を与えるまっとうな経営がねらいで、MBO(ManagementByObjective)がキーコンセプト。改革手法は行政に契約原理を入れていくということ。クリントン政権やブレア政権が行っているのはこのレベル。3)レベル3は、抜本改革であり、サッチャー政権がやったように、マーケットテスティングをして民間に劣る評価結果が出た事業は自動的に民間に委ねてしまうという強制競争入札の世界。市場競争原理に公的部門を晒すのがこのレベル。
    • 本来持っている行政評価のパワーを100とすると、日本の場合は30ぐらい。その理由は次の二つである。1)政策機関と執行機関が未分化のため、評価者と被評価者が融合一体で、契約の概念が空洞化している、いわゆる融合型の行政になっている。また財政が大循環構造で、地方の自主財源、自主経営が確立していない。2)日本では、官僚内閣制になっており、内閣は短命で、すぐにいなくなる閣僚と契約や評価をしてもインパクトがない。また、公務員が業績評価を受けないで済むシステムになっている。これらによりガバナンスが見えない。これは大きな制度改革、行政改革を行わない限り進まないが、政策評価だけは他の制度のようにおかしなものにしないで欲しい。

    • 上山信一氏の発表を踏まえ、以下のような意見交換が行われた。

      (奥野座長代理)
      • 今回の評価システムの設計は、本来議会が行うべきことを総務庁が行ってしまっており、第三者機関も十分に機能しないのではないかとのことだが、当面、総務省なり、総務省の外に設置する有識者の第三者委員会で評価し、その結果を国民や議会に知らせるとともに、行政府に対し勧告するなどから始めなければならず、その意味でも第三者機関の設計と人選が極めて重要ではないか。

      (上山氏)
      • 全くそのとおりだ。しかし、理想をいえばきりがない。とりあえずは現行システムの中で実行可能な方法で行い、改善していく方法しかないだろう。第三者機関の人選を誰がやるかが大事だ。また、各官庁や政治力からのプレッシャーを受けないようなシステムをつくることが重要。

      (金本研究協力者)
      • 執行部門の評価や改革も重要だが、各省庁では企画部門が弱いためうまくいかない。政策評価を成功させるためには、企画部門の強化が必要ではないか。また、外部の者が競争的に評価できるようにすることが重要と考える。

      (上山氏)
      • 同感。評価のためには目標が必要であるが、その際には評価者と議論をして事前におおよその合意に達していなければならない。政策等の質が低ければ評価のやりようもなく、政策の質を向上させる活動が行政評価の質の向上と同義だと思っている。行政の執行部門だけでできることはTQC的なことに限られてしまう。執行部門がシンクタンク等を使ってプロジェクト評価を行っても、資源再配分や政策の大きな見直しのレベルまで至らない。
      • 議会との関係では、知識と意欲のある議員や局長等を集めて各委員会の中でトレーニングを行うとよいのではないか。

      (久保研究協力者)
      • 当研究会では、政策評価と予算との関係については整理が複雑なので、取り敢えず後ほど考えることとしているが、その点についてはどのようにお考えか。

      (上山氏)
      • 評価の持っている可能性を資源、特に予算の配分に固執したものにするとスムースな導入や多方面での利用が難しくなると思う。まず評価システムの全体像を理解した上で、現場の生産性改善の評価の重要性、予算との関連の重要性、国民に対する政策の説明の重要性など、評価の多義性をメニューとして示すべき。各方面で使用してみて、それから、予算担当者や議員が使いたいと言ってくるようにするのがよいのではないか。生産性改善のための評価でも現場の活動改善のインパクトが十分ある。

      (久保研究協力者)
      • 施策レベルでは大雑把な評価に終わるとの意見について、各省庁からは事務事業の評価は量的に大変だとの意見もあり、当研究会でも網羅的な評価は施策レベルという整理だが、どのように考えるか。

      (上山氏)
      • 国会の委員会等が施策を十分評価できるのであれば施策レベルの評価のみでよいが、現実にはまだ困難。実際は各省の現場の担当者が活動のエンジン。その場合、施策レベルまで評価するのは無理であり、事務事業の評価又は担当業務の棚卸しをどうしてもやることになるのではないか。
      • 中央省庁の課長クラスに事務事業の評価方法や担当業務の棚卸し方法の研修を受けさせるべき。これは評価ではなく業務の総点検だが、まずやるべきこと。本当の行政評価は、国会議員が施策レベルで行うか、国会が局長クラス以上に対する研修を行い、国会に評価を報告させるのがよいと考える。

      (星野研究協力者)
      • 行政評価とは行政機関の業績目標の達成度を見るものであり、その前提として戦略計画を策定するといった説明だったが、特に政策、施策レベルになると行政だけではなく様々な関係者が絡んでくることになるが、実績に対する行政の貢献度についてどう考えるか。

      (上山氏)
      • 政策によっては国、県、NPOなどの実行を分担する主体別の評価もあり得る。その場合、地域のくらしと社会状況をまず棚卸しする。そしてどこがどのくらい貢献できるかについて、アウトカムに占める各主体の貢献度のシェアのフォーマットを作成することが必要。

      (星野研究協力者)
      • 政策評価は行政評価の上位概念と思われ、政策分野別の目標、いわゆる全体の国家ビジョンのようなものがないと政策評価はできないのではないか。

      (上山氏)
      • 国全体の政策ベンチマークの意義は疑問。各地方自治体が行なっているベンチマークの価値は地域の実態を把握するための一覧性にある。全体の中で必要なものを整理することによりテーマやカテゴリーが最終的に絞られてくる。現状の省庁や事務事業のくくりとはちがったものがでてくる。事務事業や施策が組織の中での縦軸のくくりならば、政策は横軸で見るべきテーマでもある。

      (星野研究協力者)
      • 各省庁を横断する評価はどの組織が担当すべきと考えているか。

      (上山氏)
      • 事務局は総務省でもかまわないが、主体としては内閣総理大臣が有識者等の第三者機関に依頼して政府を評価してもらうのがよいのではないか。

      (星野研究協力者)
      • 日本の現状では、政治が事務事業のレベルにまで介入しているため、そのような方法は難しいのではないか。

      (上山氏)
      • そもそも、国家戦略をだれが策定するかという議論とセットでないと国全体の政策評価の議論は難しい。そのため、既にある行政機関の生産性の議論に限定する方が現実的。今回の中央省庁の「政策評価」も本当は「行政評価」という名前をつけた方が適切だったと考える。

      (奥野座長代理)
      • 施策評価を向上させるためには局長クラスのトレーニングが必要であるとの意見だが、現在の日本の官僚制度では年齢順に上がっていくため、トレーニングを行っても無駄になる可能性があり、トレーニングよりも民間の人材とリシャッフルする方が効率的ではないか。そうすることで、政治の介入等も防止できるのではないか。

      (上山氏)
      • 現実に自治体や企業などで試みられているが、外部の専門家が官僚組織に入っても、すぐには機能しない。相当のインフラがないと力を発揮するのは難しい。人材はミックスで考えるべきである。個人的な提案として、重要課長及び局長以上の人材は、すべてポリティカル・アポインティー(政治任命職)にして、1/3は外部の人材、1/3は会計士や弁護士等の素養のある人材、1/3は公務員を退職して一度民間等へ行った後再度任用するのがよいのではないかと考えている。

    • 続いて、行政監察局宮川監察官から、実態調査中の「公共事業の評価に関する調査」に基づき、公共事業関係省庁における再評価制度及び新規採択時評価制度の導入・実施の状況に関する説明がなされた後、以下のような質疑応答があった。

      (奥野座長代理)
      • 評価の第三者機関のメンバーはどういうところから誰が選んでくるのか。
      • 評価結果の根拠となる資料とは、結果のみの資料か、結果に至る過程の資料も含むのか。例えば、土地改良事業においては、どのようなものになるのか。

      (宮川監察官)
      • 第三者機関については、対応方針の案をつくるところ。例えば、建設省であれば各地方建設局ごとに第三者機関を設けている。その構成メンバーについては、地方建設局長が選ぶという仕組み。
      • 評価結果の根拠となる資料についての我々のイメージは、関係者がみてある程度分かるもの。土地改良事業については、法律、政令等で評価する項目が規定されており、公表されている。

      (星野研究協力者)
      • 研究会として、お手盛り評価をどのように防止するのかについて議論が必要。例えば、第三者機関にどのような責任と権限と持たせるか、その構成メンバーにはどのような要件を設定するか、利害関係者が入っていないかなどを詰めるべき。そこまで指針に盛り込まないと、従来の審議会の域を出ず、お手盛り評価にとどまることを懸念。

      (宮川監察官)
      • 評価の第三者機関の構成メンバーの約9割は、地方大学の教授などの学者であり、約1割は弁護士や経済界の関係者。主力な構成メンバーはあくまで学者で中立的な色彩である。

      (久保研究協力者)
      • 各省庁が行っている公共事業評価制度やその評価結果についての総務庁のコメントは示すのか。

      (宮川監察官)
      • 評価結果の公表に係る部分などの重要なポイントについては検討課題という形で総務庁の意見を付して公表する考え。各省庁が行っている評価結果の是非の検討を目的とした調査ではなく、橋本総理指示の公共事業評価制度の導入状況の実態を調査したものである。

      (金本研究協力者)
      • 専門家にとっては、各省庁が評価に用いた全ての資料を使って始めから分析し直さないと評価結果の検証は不可能。しかし、どこまでの原データを求めるかということは難しい問題。評価のためのデータを得るのに個別調査を行っている場合は、それらの調査の資料にまでは遡らなくともよいのではないか。
      • 評価に用いた資料を手に入れたいという者があった場合、それに迅速に対応できる体制になっているのか。
      • 各省庁がマニュアル等で適用している評価手法どの程度ばらつきがあるのか。

      (宮川監察官)
      • 評価結果の公開後のフォローは、担当省庁に問い合わせれば対応しているという状況。
      • 評価手法については、各省庁によってばらつきがあり、特定の手法に限定している分野もあれば、一定の幅で選択肢を許容している分野などがある。全体としては、代替法とヘドニック法が多いという印象。

      (田辺研究協力者)
      • 各省庁は、補助事業の再評価をどのように行っているのか。本省庁は、評価の実施を地方公共団体に任せており、一方、地方公共団体は、補助金が入っていることから、なかなか自ら手を出しにくいという状況になっていないか。
      • 事業実施前だけでなく事業完了後に検証のため費用便益分析を行っている例はあるか。

      (宮川監察官)
      • 補助事業の再評価は、各省庁が地方公共団体に対して実施を要請することとされており、地方公共団体は、補助事業を評価した結果どのような対応を行ったかについて関係省庁へ報告する形をとっている。
      • 公共事業一般の費用便益分析は、平成10年から試行を行うということになっているため、まだ費用便益分析の再実施というのはないが、同年3月27日の閣僚懇談会「公共事業の再評価システムについて」において、再評価の実施に当たっての視点として、「事業採択時の費用対効果分析の要因の変化」が挙げられている。

      (山谷研究協力者)
      • 今回総務庁が行った実態調査の中で、各省庁が行った評価と同じ資料を用いて、総務庁が、各省庁と同様に評価しているのか。

      (宮川監察官)
      • 実施していない。そういった観点からの調査ではない。

      (星野研究協力者)
      • 公共事業評価の客観性を担保するためには、地方公共団体における外部評価委員会の構成メンバーもチェックする必要があるとともに、「国の補助事業の場合は、地方公共団体による事業評価結果とその根拠まで報告を求める」というような意味のことを研究会の報告の中に盛り込むことが必要。

      (宮川監察官)
      • 研究会の場で議論していただくこととは思うが、公共事業は現在では相当様変わりしており、国が景気浮揚対策として公共事業に予算を付けても、地方公共団体の財政的な問題から、消化率は相当落ちているはず。

      (奥野座長代理)
      • 大蔵省は評価結果をどのように受け止め、あるいは用いているのか。評価結果が予算案に反映されるプロセスはどのようになっているか。

      (宮川監察官)
      • 反映のプロセスとしては、基本的には、各省庁の評価結果が概算要求に反映され、それを前提に大蔵省と当該省庁とが事業実施について折衝。しかし、例えば、始めに10箇所で事業を行うと決めた上で、要望する地方公共団体に割り当てるような補助事業については、事情は少し異なる。

    • 続いて、事務局から、「政策評価の導入に向けた意見・論点の中間整理」についての各方面の反応(関係記事、社説等)を説明。


    • 次回第9回研究会は、平成12年3月17日(金)10:00から、有識者による発表(「英国政府業績評価制度の概要」及び「政策評価システムの導入の課題及び提言」)などを議題として開催することとされた。


以上
(文責:総務庁行政監察局政策評価等推進準備室)

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