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政策評価の手法等に関する研究会(第14回)議事概要

日時

平成12年6月19日(月) 16:00〜19:00

場所

中央合同庁舎第4号館共用第2特別会議室

出席者

(研究会)
村松座長、金本良嗣、久保惠一、田辺国昭、星野芳昭、山谷清志の各研究協力者

(総務庁)
塚本行政監察局長、畠中官房審議官、堀江官房審議官、鎌田企画調整課長、若生政策評価等推進準備室長その他関係官

議題

  1. 中間まとめの素案の検討(総論部分、事業評価(仮称)部分)
  2. その他

会議経過

  1. 中間まとめ素案(総論)の検討

    • 若生室長から、中間まとめ素案(総論部分))について説明後、以下のような意見交換がなされた。

      (山谷研究協力者)
      • 導入の目的でいう「国民本位で効率的な質の高い行政の実現」の「効率」と、国家公務員法や地方公務員法、地方自治法の第1条にいう「能率」とはどう違うか。

      (若生室長)
      • ここでいう「効率性」は、政策の費用と効果の関係から捉えた社会経済全体の資源配分からみた効率に着目するものである。一方、国家公務員法等に見られる「能率」というのは、政策を所与のものとして必要な事業量等をより少ない予算、人員等で実施することはできないかといった観点である。

      (星野研究協力者)
      • 「能率」という言葉は今はあまり一般的でなく、「efficiency」の訳語としても従来は「能率」だったが現在は「効率」という言葉になっていることが多い。

      (久保研究協力者)
      • 定義の部分は、「政策」の定義、「評価」の定義、「政策評価」の定義という順でそれぞれ並んでいるが、「政策評価」の定義には「政策」の定義が反映されていない。
      • 「高度な政治的判断に基づくような政策」とあるが、政治家が決めるような政策も政策体系評価の対象なのか。

      (村松座長)
      • 政治的な決定をする場合でもきちんと評価すべきであると考える。政策評価はあくまでも行政活動を対象として政策決定のための情報を提供するものであり、その評価結果を政治家が活用して政策決定を行うところまで守備範囲にしているわけではない。

      (田辺研究協力者)
      • 政策評価は、決定そのものではなく決定のための情報を提供するものである。このような情報提供については空白領域をつくらずに万遍なく行わなければならないのではないか。

      (山谷研究協力者)
      • 「評価」の定義については、1)評価に必要な情報収集、2)収集した情報の分析、測定、比較、3)分析された情報の提供というように整理すればすっきりする。

      (星野研究協力者)
      • 事務事業を評価の基本的な単位としているが、「基本的な単位」とは、成果が測定できる単位として考えるべきではないか。
      • 事務事業は、事務事業評価の対象となるものであるから、成果の出る単位ごとに評価しないと費用対効果の算定もできない。

      (久保研究協力者)
      • 施策のレベルで成果が出るものもあり、一概に事務事業を成果の単位とするのはどうか。

      (村松座長)
      • 政策体系評価は、ピラミッドの一番上の「政策」のみを対象とするものではなく、様々なアプローチで評価を行うというアプローチの仕方からの定義がよいのではないかという議論になっているので、それを踏まえたい。

      (山谷研究協力者)
      • 政策評価を「各府省の政策のマネジメント・サイクルを構成する重要な要素」としてしまうと、政策の実施過程のマネジメントがイメージされ非常に限定的になる。政策評価というのは、もう少し広い意味があるのではないか。

      (村松座長)
      • ここで想定されているのは政策の企画立案のマネジメントであって実施過程のマネジメントは除かれている。

      (田辺研究協力者)
      • ここでは、「政策評価はplan−do−seeを主要な要素とする政策のマネジメント・サイクル」として企画立案のサイクルを意味することが説明されており、他に適切な言葉もない。

      (山谷研究協力者)
      • 政策の全サイクルを視野に入れたマネジメント・サイクルということで、「ポリシー・サイクル」などの言葉を補ってはどうか。例えばODAの世界では、「プロジェクト・マネジメント・サイクル」という表現があり、ミクロ単位のマネジメントの意味で普及している。

      (村松座長)
      • 一応「plan-do-see」というサイクルにおけるマネジメントとの説明があり、そのレベルで考えている。

      (星野研究協力者)
      • 総務省が行う評価について、各府省が評価したことの二次評価という側面と、テーマ別に重点的に評価するという側面とが明確に区分して記述されていない。また、二次評価の場合どこまで責任権限があるのかということも議論すべきではないか。
      • 本当にきちんとした政策評価ができるのかという一般国民からの疑問に応えるためにも、「総務省は二次・三次評価を行って客観性や説明責任の徹底を促す」といった踏み込んだ内容とすべきではないか。

      (村松座長)
      • 各府省は、基本的に国会が決めた法律に基づいて施策や事務事業を行うので、他府省と同格である総務省が評価を通じて他府省の制度の改廃等までできるかは疑問。各府省が行った評価が不適切だということは言えるが、その結果どのようにするかは各府省が考えることになるのではないか。

      (星野研究協力者)
      • 総務省は各府省の一次評価結果を変える権限はあるのか。それに対して一次評価者は説明する必要があると理解してよいか。

      (若生室長)
      • 総務省は各府省に対して再評価を通知し、それに対し再評価を実施しなかったり評価が不十分な場合は総務省自らが再評価をするということになる。自ら再評価した場合には、各府省に対する勧告権限が与えられている。ただ、勧告結果を受けて見直すかどうか最終的な決定は各省大臣にゆだねられている。

      (久保研究協力者)
      • 5つの観点(必要性、効率性、有効性、公平性、優先性)が示されているが、あらゆる評価において、この観点すべてを網羅的に実施する必要が有るのか。

      (村松座長)
      • すべての観点についてではなく、適宜、適切な観点を採り上げて評価を実施するということではないか。

      (金本研究協力者)
      • 5つの観点を表にして、それぞれについて作文をして埋めても有益な情報は出てこない。評価結果の報告書の具体的な様式は別途評価の目的に応じて考える必要がある。

      (久保研究協力者)
      • 恣意的な評価とならないように、原則的にはすべての観点について何らかの評価をするべき。

      (星野研究協力者)
      • ここでの「一般基準」は、むしろ評価の具体的な観点・視点、評価の観点の具体的な定義とでもいうべきものとなっている。
      • すべての政策、施策、事務事業について「必要性」、「効率性」、「有効性」の観点からの評価は義務付けられるが、「公平性」、「優先性」については、政策、施策、事務事業の性格・特性によって適用できない場合もある。
      • 「必要性」は、政策の目的が国民や社会のニーズに照らして妥当か、上位の目的に照らして妥当か、行政が担う必要があるかということについての説明を義務付けることである。

      (村松座長)
      • 「一般基準」というのは、各府省が更にこれをブレイクダウンして細かく詰めて評価を実施するという意味を含んでいる。

      (久保研究協力者)
      • これらの観点を網羅的に見ることは必要だと思うが、あらゆる段階で義務付ける必要はない。

      (村松座長)
      • 中間まとめを出した後の具体的な議論の中で、5つの観点の間にどのような差を設けるのかを検討したい。

      (星野研究協力者)
      • 法制化については大きく2つの考え方がある。一つは出来るだけ早くやるべきとする考え方。もう一つは、ガイドラインに基づいて制度を運用し、その定着の実績を踏まえて法制化を進めるという考え方。法律の中身についても手続法的なものとするか、具体的な実施方法は標準的ガイドラインに委ねるとするかの2つの考え方があるように思う。ここでは、それぞれの考え方のメリット、デメリットを比較検討して整理しておけばよいのではないか。

      (村松座長)
      • 中央省庁等改革関連法の附帯決議について何らかの対応が必要ということはあるかもしれないが、この研究会では、法制化について直接検討してきたわけではないので、現時点で法制化についてどの程度書くべきなのか。

      (星野研究協力者)
      • ガイドラインが組織的に何らかの承認を受ければ、それを法制化すればよいのではないか。それができないのであればその理由を中間まとめに盛り込むべきではないか。

      (村松座長)
      • 中間まとめでは、今後法制化に関してどのような態度をとるかということも含め引き続き検討するということでどうか。

      (久保研究協力者)
      • 評価を実施するに当たっては、3方式(政策体系評価、施策実績評価、事業評価)で行ってもよいし、それ以外でもいいと読めるが、ある程度統一した方式で実施する方向をもう少しはっきり書くべきではないか。また、3つの評価方式の相互関係については更に触れるべきである。
      • 政策体系評価の対象は全てのレベルに及ぶと読めるが、そうすると事業評価も政策体系評価の中に含まれるのではないか。

      (村松座長)
      • 私が行った各省庁ヒアリングでは、どの省庁も3方式でできないことはないという感じであった。
      • 現在の3方式の定義はそれほど厳密なものではなく、調整すれば各省庁の評価方式を3方式に収斂できるように思う。

      (星野研究協力者)
      • 3方式を「代表的な評価方式」としているが、これは基本的な評価のインフラを示すような性格のものであると考えるべきではないか。

  2. 中間まとめ素案(事業評価)の検討

    若生室長から、中間まとめ素案(事業評価(仮称)部分)について説明後、以下のような意見交換がなされた。

    (金本研究協力者)
    • 事業評価に類するものとしていくつかの省庁で試みられている評価表は、既存の資料の切り貼りなどにより作成しているが、現状ではあまり意味を持つ資料にはなりそうになく、評価表の項目の立て方は、意思決定に資する項目とすべきである。
    • 必要な費用については国費の外に国民が負担する費用も算出することが重要である。予想される効果としては誰にどういう便益が及ぶかを定量的に把握することが重要。便益については定量的に出すことは難しいがその項目についてはフレームとして残す必要がある。

    (田辺研究協力者)
    • 評価において何をどこまで把握すべきかという問題は、各論の中で個別分野ごとに盛り込んだ方が効果的である。

    (金本研究協力者)
    • 既に評価体制が確立している分野よりも、これから評価を行おうとする分野について、何をどこまで把握すべきかという問題が重要なことから、総論に入れる方がよい。

    (星野研究協力者)
    • 総論か各論かは別にして、評価に盛り込むべき項目は規定化しておく必要がある。例えば、公共事業等の各論の部分に、事業の開始の経緯やどのような状態になれば事業を中止(廃止)するのかなどを規定しておけばよい。

    (村松座長)
    • 途中評価にもさらに盛り込むべき項目があるか。

    (星野研究協力者)
    • 事業開始時の前提条件が崩れたとき等の事業の見直し項目が挙げられる。例えば、ダムの建設時の前提条件としての水の需要量に対して、その後の需要量の変化によってどのように事業を見直すかということが挙げられる。

    (金本研究協力者)
    • 公共事業の場合、費用便益分析等を用いた評価にその他の意思決定のための要素(例えば地元の協力の有無)をどのような形で盛り込むかについては、様々なバリエーションがあり、一律に規定するのは難しい。
    • 着手したが終わっていない事業が現在数多くあるが、どのように途中評価を行ったのかがはっきりしない。それら全てに途中評価を義務付けるのは、大きな抵抗に遭うと思われる。

    (久保研究協力者)
    • 前半では対象とする事務事業が幅広いイメージでとらえられ、全分野で評価を行わなければならないように読めるが、後半では対象とする事務事業の分野について限定列挙の形をとっており、ギャップを感じる。
    • 個別事業については現状の記述だけでなく問題意識的な提案も必要なのではないか。
    • 他の2方式との関係も説明すべき。例えば、事業評価では全ての事務事業をカバーすることはコスト的にも問題があるので、列挙されているような特定の分野を中心に評価し、その代わり施策レベルの実績評価で網羅的な評価を行うと理解している。

    (村松座長)
    • 事業評価の対象となり得る事務事業は決して少なくない。最初から全て行うよう義務付けることは大変なので、代表的なものを列挙しているのではないか。とりあえず今やっている事業の評価をしっかりやってから、順次広げてやっていくものと理解している。

    (若生室長)
    • 事業評価でもできるだけ広範にカバーすることが望ましいが、時間、コスト等の制約があり、直ちに全てに広げることは難しい。まず、今動き出している分野をきちんと位置付け、更にどこまで対象分野を広げるかという考え方を採った。

    (金本研究協力者)
    • 「その他行政分野」には補助金しかないのは気になる。例えば、新規の事業については、評価の仕組みを入れるということは書けないか。だが、予算要求の説明ペーパーになっては意味がないので、フォーマットをどうするかが重要である。

    (田辺研究協力者)
    • ここに挙げられていない事業で残されている主要なものは、法律の制定、予算措置、政策融資、税制の4つくらいだが、これらを具体的にどう入れ込むのか難しい。
    • 評価の必要性がある補助金として、国民生活や社会経済に与える影響が大きいものと、多額の財政支出が伴うものという2つのコンセプトでよいか。

    (金本研究協力者)
    • この素案では各省庁の自己評価を中心としているが、2次評価的な外部評価の必要性についても問題提起すべき。

    (久保研究協力者)
    • 国における事業評価は、自治体と異なり、施策実績評価的なものを事務事業レベルで行うというイメージを持っている。その意味で、事務事業という言葉は、誤解を招くのではないか。

    (星野研究協力者)
    • 公共事業、ODA、研究開発が中心なら事業評価でもよいが、「事務」の性質が強い規制が入っているので事務事業といっているのではないか。

    (村松座長)
    • 「事業評価」という一つの言葉で考えればよいのではないか。
    • 各個別分野について現状追認的であるとの批判に対しては、総務省が行う評価のイメージをどこかに書き込むなどすればよいのではないか。

    (久保研究協力者)
    • 評価方式の名称が「事業評価」となっているのに評価対象が事務事業なのはバランスがよくないので、すっきりと事業評価の対象は事業であるとした方がよいでのはないか。また、「事務事業評価」は既に行っている自治体の評価をイメージしてしまう。

    (金本研究協力者)
    • 規制の評価で重要なのは、評価に必要な項目を盛り込んだフォーマットを作り、それらの項目について推計するとともに、推計ができないものはできない理由を示すことである。そのような方向で書き直したほうがよい。このままだと、今行っている規制の新設審査の一部を手直しして出せばよいととられかねない。

    (村松座長)
    • 補助事業や規制では、実際に評価を行うのは地方自治体や民間の研究機関になると思うが、それらのアウトカムまで示すのは難しい。事務事業の主体は相手方であって、国は補助や規制を行っているのみである。

    (星野研究協力者)
    • 補助の目的が達成されているかをみるために、補助対象の活動の成果を必ず求めることとすればよい。また、補助することの妥当性(関与の妥当性)も検討する必要がある。
    • 福祉関係の補助金については、必要性のほか、公平性の評価項目も盛り込まなければならない。

    (金本研究協力者)
    • そのような場合には、事業評価かプログラム評価かは言葉の定義の問題で、実施する側の体制からすると政策体系評価のような大がかりな体制がないと評価できないのではないか。

    (村松座長)
    • 各委員から出たこれらの意見は可能な限り中間まとめに盛り込むようにする。ただ、結論の出ていない議論については今後更に検討することとしたい。
    • 3つの評価方式の名称については、座長として「政策体系評価(仮称)」は「総合評価」とし、「施策実績評価(仮称)」は「実績評価」とし、「事業評価(仮称)」は「事業評価」のままとするように提案したい。これについても検討をお願いする。

  3. 次回第15回研究会は、平成12年6月27日(火)10:00から、中間まとめ案全体の最終検討を議題として開催することとされた。


以上
(文責:総務庁行政監察局政策評価等推進準備室)

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