恩給受給者が3年以下の懲役又は禁錮の刑に処せられた場合には、刑の全部の執行猶予の言渡しを受けたときを除き、その翌月から刑の執行が終わる月まで恩給の支給が停止されます。
また、普通恩給受給者については、恩給年額が170万円以上で、かつ、その前年の恩給外の所得金額が700万円を超える場合には、恩給年額と恩給外の所得金額との合計額に応じて恩給の支給の一部が停止されます。
上記のほか、扶助料(遺族恩給)受給者が1年以上所在不明となった場合などにも恩給の支給が停止されます。
恩給受給者が3年以下の懲役又は禁錮の刑に処せられた場合には、その翌月から刑の執行が終わる月まで(又は刑の執行を受けることがなくなる月まで。以下同じ。)、恩給の支給が停止されます。ここでいう、「刑に処せられた」とは、判決が確定したときとなります。ただし、刑の全部の執行猶予の言渡しを受けたときは、支給の停止はありません。
また、刑の一部について執行猶予の言渡しを受けた場合には、執行を猶予されなかった期間について、その執行が終わる月まで支給が停止されます。
なお、その猶予期間中に刑の執行猶予の言渡しを取り消された場合には、その取消しの月の翌月から刑の執行が終わる月まで支給が停止されます。
普通恩給受給者については、恩給年額が170万円以上で、かつ、前年における恩給外の所得金額が700万円を超える場合には、恩給年額と恩給外の所得金額との合計額に応じて、その年の7月から翌年の6月までの恩給の支給の一部が停止されます。
停止額の計算については、次のとおりです。
恩給年額と恩給外の所得金額との合計額 | 停止額の計算 |
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870万円を超え1,040万円以下の場合 | (合計額−870万円)× 0.35 |
1,040万円を超え1,210万円以下の場合 | (1,040万円 − 870万円)× 0.35 +(合計額 − 1,040万円)× 0.4 |
1,210万円を超え1,380万円以下の場合 | (1,040万円−870万円)× 0.35 +(1,210万円 − 1,040万円)× 0.4 +(合計額 − 1,210万円)× 0.45 |
1,380万円を超える場合 | (1,040万円 − 870万円)× 0.35 +(1,210万円−1,040万円)× 0.4 +(1,380万円 − 1,210万円)× 0.45 +(合計額−1,380万円)× 0.5 |
ただし、上記の計算式による停止額は、恩給年額の5割が限度となっています。また、支給停止の結果、支給額が170万円を下回ることはありません。
なお、恩給外の所得金額については税務署長が調査することとなっており、その計算については所得税法(昭和40年法律第33号)の課税総所得金額の計算に関する規定によることとされています。
※ 扶助料(遺族恩給)は、公務員の(1)配偶者、(2)未成年の子、(3)父母、(4)重度障害で生活資料を得る途のない成年の子、(5)祖父母に対し、この順序で先順位者から後順位者へと支給されます。この場合の父と母、祖父と祖母は同順位となります。(恩給法第73条第1項及び第74条)