電子タグのI T Sへの応用

 近年、電子タグを利活用したI T Sの各種アプリケーションの実証実験や実用化が始まっています。今回は、この取組みに関する一部を紹介します。

1 電子タグとは

 電子タグとは、ICチップとアンテナを内蔵したタグ(荷札)のことです。その名のとおりモノに取り付けて使う荷札であり、タグの中には個別の識別情報等が格納されており、電波を利用してリーダ/ライタにより読み書きし、データの送受信を行います。

 電子タグには、電池を持たないパッシブ・タグと電池内蔵のアクティブ・タグがあります。前者は、小型軽量で安価ですが、到達距離は数mm〜数mです。後者は、電池寿命があり、高価ですが到達距離は数十m〜数百mとなっています。

 タグの使用する周波数帯は、135kHz、13.56MHz、2.45GHzであり、それぞれの周波数帯の特徴に応じた利用がなされています。その他に海外では860〜960MHzも使用されていますが、日本においても利用可能となるよう検討されています。

2 歩行者I T Sへの応用

 歩行者I T Sは、高齢者や障害者を含む歩行者、車椅子使用者、自転車利用者等に安全・安心・快適な移動環境を提供することを目的とするシステムです。電子タグを活用したアプリケーションの1つの例として、歩道や地下街等の歩行空間、住居表示板に電子タグを設置し、位置情報を携帯電話等のモバイル端末に提供するシステムや、さらに目的地までの歩行経路を音声でガイド、また遠隔から誘導できるようなシステムが考えられます。(下図においては、案内板に設置された電子タグから提供された情報により、携帯電話で周辺地図を取得できるイメージです。)

 他の例としては、視覚障害者の方向けのシステムとして、点字ブロックに埋め込まれた電子タグに記録された位置情報を、タグリーダ内蔵の白杖で読みとるとともに、歩行者の歩く方向をセンサーで確認し、視覚障害者の歩行をサポートするシステムも実証実験されています。

図:歩行サポートシステムのイメージ

3 物流の効率化への応用

JR貨物では、貨物コンテナを管理するシステムトレースを稼働させ、駅構内の荷役作業を効率化し、輸送サービス改善を実施しています。当該システムは、貨物コンテナに電子タグを取り付け、またフォークリフトに電子タグリーダとGPS、パソコンを搭載し、駅構内でコンテナを運んだ場所の位置情報を管理する仕組みです。まずは、東京、大阪、札幌の各貨物ターミナル駅に導入されています。

(出典:2004年1月報道記事)

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