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「四国コンテンツシンポジウムin松山」を開催
≪四国4県のコンテンツ制作・発信事例と北海道テレビ放送の取組に学ぶ≫

 四国総合通信局は、四国コンテンツ協議会及び四国情報通信懇談会との共催で、7月1日(水)、松山市において「四国コンテンツシンポジウムin松山」を開催しました。

会場の様子

 

 主催者を代表して、四国総合通信局 元岡 透(もとおか とおる)局長から、「当シンポジウムは、地域コンテンツの発信を盛り上げ、地域の文化面、経済面において四国を元気にする思いでつなぎ3回目の開催を迎えた。今回は、四国コンテンツ協議会と連携調査し、本年4月に公表した『四国の地域コンテンツ制作・発信の取組事例集』から、創意工夫されたすばらしい取組を代表事例として紹介し、更には、今後我々が進むべき目標、方向性を学ぶため、既に外国人観光客の誘致など多大な成果を挙げられている北海道テレビ放送様の取組を紹介することとしている。全国の市町村が地方創生に取り組む中、地域と一体になったコンテンツ発信も大きく貢献できる内容であり、シンポジウムを通じて地域からのコンテンツ発信の価値、効果を実感して実践のヒントとしていただければと考えている。」と挨拶がありました。

四国総合通信局
元岡 透(もとおか とおる)局長

 

 シンポジウムでは、愛媛大学 社会連携推進機構 教授 坂本 世津夫(さかもと せつお)氏を司会に迎え、四国各県の代表的な取組が紹介されました。

 徳島県からは、徳島県 政策創造部 地方創生局 地方創生推進課 係長 加藤 貴弘(かとう たかひろ)氏により、「動画による情報発信について ≪徳島は宣言する『vs東京』≫」と題して、徳島の「知名度」「ブランドイメージ」の向上を目指し、昨年9月、若手職員14名による知事直轄組織「タスクフォース」を立ち上げ、「徳島は宣言する vs東京」を共通コンセプトに制作したPR動画や、WEB等での発信後の効果などが紹介されました。
 また、仕事からの帰宅時間や女性社長数が全国1位など徳島の魅力を表す10の「徳島宣言」をつくり、それぞれのイメージ動画を制作したこと、更には、今後の「vs東京」の取組として、全世界から作品を募る徳島国際短編映画祭(仮称)の開催を予定するなど、クリエータの方々が徳島の魅力を発見し、地域資源を掘り起こす場とすることで地域活性化を図っていきたいと述べられました。

徳島県 政策創造部 地方創生局
地方創生推進課 係長
加藤 貴弘(かとう たかひろ)氏

 

 香川県からは、情報通信交流館 e-とぴあ・かがわ 館長 大西 佳章(おおにし よしあき)氏から「みんなが主役の地域コンテンツ創造拠点をめざして」と題して、人材育成を目指した地域コンテンツに係る制作拠点と発信拠点の立場からそれぞれの活動が紹介されました。
 まず制作拠点としては、映像コンテンツを作成する技術を身につけてその成果を地域に還元することを目的に、世代を超えた交流の場を提供、コミュニティを支える環境づくりなどをテーマに、県警が取り組む振り込め詐欺防止啓発DVDや瀬戸内国際芸術祭PRビデオ制作、チームによるインターネットによる動画配信で地域課題の解決、活性化につながるワークショップなどを開催。そして発信拠点としては、県民から寄せられた情報を新しい視点で編集し、どこにもないテーマで香川を紹介することを目的に、e-とぴあ・かがわメンバーによる約10,000点のデータを検索しやすく活用される情報として「37(minna)magazine」運用等のお話しがありました。
 また、市民が集めた地域情報を二次利用による流通促進で地域活性化を図ることを目的に、「まちあるきオープンデータソンin男木島」を開催し、フリー素材を活用して飲食店などの観光情報を追加するなど、オープンデータ活用の試みが紹介されました。

情報通信交流館
e-とぴあ・かがわ 館長
大西 佳章(おおにし よしあき)氏

 

 愛媛県からは、愛南リポーターズ 代表 兵頭 朝美(ひょうどう あさみ)氏から「住民が地元の魅力を発信 ≪住民ディレクターの実践≫」と題して、平成19年に四国コンテンツ連携推進会議(現 四国情報通信懇談会コンテンツ部会)主催で実施した映像制作研修会が発端となり、映像制作をとおして「人をつないで町を元気に」を目指したこれまでの取組についてお話しがありました。
 地域の魅力を発信し、郷土への誇りを醸成したい思いを持ったメンバーで結成された「愛南リポーターズ」は、「まず自分たちがしたいことを楽しみながらする」をテーマに町の発掘や紹介しながら町を知る活動をおこなっている。ただ、映像制作を継続していく上では技術の壁や個人差が生じ足並みがそろわなくなることもある。そんな時、総務省のICT地域マネージャーによる「住民ディレクター」養成講座から「映像を制作するプロではない住民が、地域で生活するプロとしてICTを活用して暮らしの知恵を交換しながら生活を豊かにする」大切さを学び、映像制作力ではなく番組づくりのプロセスを体験することで企画力、構成力が向上し、更には人とつながる力が養われることが地域活性化となることに気づきチームがまとまったこと。
 また、町に住む人の暮らしぶりを町に住む視点とつながりをいかして伝えていく番組作りとして「愛南ワンダーランド」が始まり、一昨年はeatふるさとCM大賞を受賞できた。評価いただく機会があることで制作のモチベーション向上効果があると述べられました。

愛南リポーターズ 代表
兵頭 朝美(ひょうどう あさみ)氏

 

 高知県からは、株式会社高知放送 編成業務局長 竹下 誠一(たけした せいいち)氏から「海外放送コンテンツ『Wonder Box!四国』の製作とその効果」と題して、企画立案から台湾での放送に至る経過、番組制作に係るスキーム等について紹介されました。
 番組は「放送コンテンツにおける周辺産業との連携事業」として西日本放送、四国放送、南海放送様と共同制作したものであり、四国への観光客が最も多い台湾からのさらなる増加を目的として、民視電視台放送局への事前調査の結果、「温泉」「野菜」等の人気のある内容を番組に反映したこと。現地放送における視聴率は放送を重ねるごとに増加し喜んでいただいたこと。関連イベントとして集客力の多い国際旅行博等で活用したことによる効果として、来日者数の増加や将来的な観光誘客につながること、更には当台湾局から派生し同じアジア圏の放送局とマッチング出来る可能性を含め効果が期待されると述べられました。
 また、今後同事業を行う場合の参考として、四国4県の共同制作は意義あることで有り、事業スケジュールや通常とは異なったローカライズ作業を放送国側が実施すること、各商品の値段等は映像で使えないことを含め各国それぞれに制約、ルールが沢山あり事前の調査も重要、要員不足からSNSやFBの活用がうまく出来なかった反省点などのお話しがありました。

株式会社高知放送 編成業務局長
竹下 誠一(たけした せいいち)氏

 

 最後に、愛媛大学 社会連携推進機構 教授 坂本 世津夫(さかもと せつお)氏から、現在は、メディア、技術は最先端クラス、高速通信可能等、環境は整ってきている状況。内容面で今までにない形の発信にトライすることが求められているのでは。外国人誘客においては、四国八十八カ所お遍路コンテンツなど、ターゲットを見極めて海外に配信していくことも重要になってくる。発信するには相手の情報を知ることが必要で有り、発信しないと情報を得ることもできず、両面からいい情報にして発信していくのかがこれからの課題となる。ツール面では、コンテンツはクラウド上に置かれ、メディアに依存しない環境に変わってくるであろう。今後、環境、技術、配信する目的も大きく変化していく中、ターゲットを決める時期がきている。移住の取組など、いかに四国の魅力をPRして東京から、日本から四国に来てもらうか、各県ごとでなく四国一体となった知識の共用と具体的な取組検討が必要となってくる。そういう意味で、日本国内、世界に向けてコンテンツ発信する元年になると言える、とまとめがありました。

愛媛大学 社会連携推進機構 教授
坂本 世津夫(さかもと せつお)氏

 

 特別講演では、北海道テレビ放送株式会社 代表取締役社長 樋泉 実(といずみ みのる)氏を講師に迎え、「アジアのコンパスで地域を考える ≪北海道アワーの挑戦≫」と題して、1990年代からアジアに向けて情報発信をおこなってきた先駆的な取組を映像等交えながら紹介されました。

 1990年代は、アナログからデジタルへ、各国がCATV多チャンネル化へ、インターネットの登場、情報インフラ整備や空港整備等が一気に進んだ時代で、台湾、香港、シンガポールの中間層が一気に増える次期と重なり観光爆発が起こる予兆があった。人と産業の交流が盛んになれば、日本の中の北海道からアジアの中の北海道と、アジアのコンパスが小さくなることを感じていた。

 1997年、自社をアジアの中の地域メディアと位置付け、「アジアに雪を降らせる」をテーマに東アジア向け衛星放送番組「北海道アワー」をスタートさせ、食、自然、暮らしや文化を伝えてきた。当JET-TVは、住友商事さんを主とした海外向け日本チャンネルプロジェクトであり、これまで当社も数千時間に渡る放送コンテンツを提供してきた。2013年2月には「北海道アワー」の経験をいかし、ハワイを含むアジア全体への情報発信を試みる「LOVE HOKKAIDO」をスタート。豊かな自然、食べ物、その土地に根付いた独自の文化や暮らしぶりを30分レギュラーで放送。今後はアメリカロサンジェルスなど放送エリアを拡大していくことで、近い将来、9億5千万人の方々が視聴可能になる予定。

 現在、中国、タイ、シンガポール、マレーシア、韓国等様々な国から来道があり、北海道はアジア8か国における行ってみたい日本の地域Best5に必ず入るなど知名度は浸透してきたと感じている。特に台湾においては、4シーズン行かないと北海道に行ったことにならないと言われるほどになり、家族、団体、今は個人での旅行が主流となるリピータが多く、初年は5万2千人であった来道者数も2014年には45万3千人となった。現在北海道には海外旅行客が直行便だけでも154万人(2014年)が訪れ北海道経済もインバウンド経済となりつつある。

 当初配信した雪や温泉などのコンテンツが人気を博し結果、確実に誘客効果として表れるなど、映像の力、継続することの重要性を感じている。まずは発信してターゲットの反応を見る、海外からの視点で地域の価値を再度考える。相手に伝わる価値観を作り上げていくことが重要。アジアの人は、歴史の有無ではなく自分たちにないものを求めている傾向がある。特に暮らしぶりなどに興味を持っていると考えられ、生活文化を全面に出していくコンテンツづくりが大切だと感じている。また、映像を作るプロのみならず、観光情報のプロ、物産販売のプロなど、様々な分野が連携し推進することも必要。

 衛星放送時代においては映像コンテンツで親近感をつくり、トレードしていく戦略を韓国が先行した。IPTV時代になってくれば伝達方法も立体的になる。我々の経験でも、詳細な情報は各国ごとのSNSを運用・活用することで新しい結果を生み出している。これからは日本も負けられない。

 北海道の産官プロジェクトである「ドリームゲームショウ」は、若い世代の交流を長期的に図ることを目的にしている。アジアは日本と人口構成が真逆となっているため、10年後に社会人の中核になっていく人を北海道ファンにして継続した交流を深めていこうという取組。日本各地域でも若い世代の交流づくりをミッションとして取り組むべきテーマと思う。2011年地デジ完全移行時に宣言した当社の「未来ビジョン」を紹介する。20代社員を中心に検討し、20年先、少子高齢化なども激しく進んでいるであろう2030年にどういう地域をつくりたいのか、を言葉にした一節が「新しい価値を創造しアジアに際立つ北海道」。自分の仕事を通じて実現していきたいと考えている。

 今後、人から物、更には文化と交流ステージは多様に変化していくであろう。インバウンドという大事なきっかけをつかみながら、アジアのために何が出来るか考える、そのためには我々もアジアに行き、交流して初めて方向性が導かれていくと考えている。地域全体が、チーム四国として連携し映像発信する取組の中で、多様性を作っていくことが大事と考える、と、まとめられました。

北海道テレビ放送株式会社
代表取締役社長 樋泉 実(といずみ みのる)氏

 

 会場には約130名が参加し、

Q1徳島県の講演では、「事業実施においてどんな壁が発生したか。」「発信後の効果はどうであったか。」
A1「説明不足もあって、毎日苦情の電話が続いたこともあったが、最近は東京にも受け入れられるようになった。これは徳島県の認知度が上がったことと考えており、更にステップアップが必要と考えている。」

Q2 e−とぴあかがわの講演では、「コンテンツ制作を拡大していく際に必要なものは何か。」
A2 「最大の目的は人を育てていくこと。オープンデータ等のコンテンツはコントロールすることで最終成果として発表の場をつくることなど、最終目標をしっかりと持つワークショップの企画、展開等が求められていると考える。」

Q3 愛南リポーターズの講演では、「制作された映像の配信先はどこであったか。」「愛南リポーターズの組織構成は。」
A3 「配信先は、CATVの番組内、YouTubeでも視聴可能。愛南リポーターズは、ボランティアでもサークル活動でもない、地域活動の一環として新しい芽が育ってきていると感じている。」

Q4 高知放送の講演では、「海外観光客の受入れ体制で苦労された点。」
A4 「空港通関の問題、ホテルキャパシティの問題等、課題は山積。道東は行っているが他は訪問していないなど偏在を解消する検討。情報インフラ面ではWi-Fi環境の整備は圧倒的に求められる事項。行政と一緒に国を含めた予算化が求められている。」

Q5 北海道テレビ放送の講演では、「北海道の魅力が台湾の方にどう伝わっているのか。欧米からの来日について今後の取組」
A5 「商店街や居酒屋など普通の生活に触れたいというニーズがあり生活そのものを見せることが必要。価値は発信する側ではなく相手が決めるもの。、辛口意見の中にヒントがあると思う。
 「北海道で言えば、カナダ、ヨーロッパが競争相手となる。アジア圏から見ると北海道は、時差が1〜2時間の寒冷地リゾート。最近は地球温暖化で北米やヨーロッパのスキー場が閉鎖。パウダースノーを求めて北海道のニセコスキー場が人気になった。札幌オリンピック誘致もはじまっており、アジアに限らずエリア拡大が必要になってきている。」

 など、沢山の質問に対する補強説明があり、地域からのコンテンツ発信の価値、効果を実感して実践のヒントにつながるシンポジウムとなりました。

 最後に、主催者を代表して 四国コンテンツ協議会副会長(四国経済産業局 産業部 商業・流通・サービス産業課 課長)柳 富夫(やなぎ とみお)氏から、垣根を越えたさまざまな分野が連携できる四国コンテンツ協議会等の組織を活用し、四国一体となったコンテンツづくりをしていきたいと挨拶がありました。

四国コンテンツ協議会副会長
(四国経済産業局 産業部 商業・流通・サービス産業課 課長)
柳 富夫(やなぎ とみお)氏

 
表:四国コンテンツシンポジウムin松山 講演資料
内容 演題等 講師等 資料ダウンロードURL 概要
特別講演 「アジアのコンパスで地域を考える ≪北海道アワーの挑戦≫」 北海道テレビ放送株式会社
 代表取締役社長
 樋泉 実(といずみ みのる)氏
資料(PDF 408KB)PDF 概要(PDF 232KB)PDF
四国の取組紹介
【司会】
四国の取組紹介のまとめ 愛媛大学 社会連携推進機構
 教授
 坂本 世津夫(さかもと せつお)氏
資料(PDF 408KB)PDF 概要(PDF 264KB)PDF
四国の取組紹介
【徳島県】
「動画による情報発信について ≪徳島は宣言する『vs東京』≫」 徳島県 政策創造部 地方創生局 地方創生推進課
 係長
 加藤 貴弘(かとう たかひろ)氏
資料(PDF 1.6MB)PDF 概要(PDF 132KB)PDF
四国の取組紹介
【香川県】
「みんなが主役の地域コンテンツ創造拠点をめざして」 情報通信交流館 e-とぴあ・かがわ
 館長
 大西 佳章(おおにし よしあき)氏
資料(PDF 2.6MB)PDF 概要(PDF 124KB)PDF
四国の取組紹介
【愛媛県】
「住民が地元の魅力を発信 ≪住民ディレクターの実践≫」 愛南リポーターズ
 代表
 兵頭 朝美(ひょうどう あさみ)氏
資料(PDF 3MB)PDF 概要(PDF 136KB)PDF
四国の取組紹介
【高知県】
「海外放送コンテンツ『Wonder Box!四国』の製作とその効果」 株式会社高知放送
 編成業務局長
 竹下 誠一(たけした せいいち)氏
資料(PDF 2.1MB)PDF 概要(PDF 120KB)PDF

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