市場の動向
インターネット・ブロードバンド市場
2023年末現在、固定ブロードバンド接続数は1億3,000万以上となっている。その内訳は、ケーブルモデムが約6割、光ファイバが2割超、ADSLが1割弱である。ブロードバンド接続を提供している事業者は、ADSL接続や光ファイバ・衛星接続を提供する大手電気通信事業者(AT&T、ベライゾンなど)と、ケーブルモデムを提供するケーブルテレビ事業者(コムキャスト、チャーター・コミュニケーションズなど)で構成されている。
固定ブロードバンド加入数及び加入率(2019~2023年)

2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | |
---|---|---|---|---|---|
![]() |
114,292 | 121,232 | 125,885 | 128,046 | 130,696 |
![]() |
33.8% | 35.7% | 37.0% | 37.5% | 38.1% |
出所:ITU World Telecommunication/ICT Indicators Database
移動電話市場
2023年時点で、移動電話加入数は約3億8,000万以上であり人口普及率は約112%となっている。全国展開を行っている大手移動体通信事業者は、AT&Tコミュニケーションズ、ベライゾン・ワイヤレス、T-モバイルUSの3社である。
移動電話加入数及び加入率(2019~2023年)

2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | |
---|---|---|---|---|---|
![]() |
355,763 | 352,522 | 361,675 | 372,696 | 386,178 |
![]() |
105.3% | 103.9% | 106.3% | 109.1% | 112.4% |
出所:ITU World Telecommunication/ICT Indicators Database
固定電話市場
回線交換網による固定電話(VoIPを含む)を提供している主な事業者は、AT&Tコミュニケーションズ(2023年末現在の加入数、約752万)、ベライゾン(同約769万)、ルーメン(同約301万)となっている。そのほか、固定電話を提供している主な事業者としては、ケーブルテレビ事業者のコムキャスト(同約928万)、チャーター・コミュニケーションズ(同約898万)等がある。ただし、こうした大手電気通信事業者やケーブルテレビ事業者に加えて、全国で100を超える中小規模の電気通信事業者がサービス提供している。
固定電話加入数及び加入率(2019~2023年)

2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | |
---|---|---|---|---|---|
![]() |
106,431 | 101,799 | 97,215 | 93,827 | 87,987 |
![]() |
31.5% | 30.0% | 28.6% | 27.5% | 25.6% |
出所:ITU World Telecommunication/ICT Indicators Database
放送市場
地上放送
商業放送と非商業・教育放送が存在するが、サービスは商業放送を中心に行われている。商業局の多くがABC、CBS、NBC、Fox、CWをはじめとする地上ネットワークの直営局又は加盟局である。非商業・教育局には、公共放送PBSのメンバー局と独立系局とがある。
有料放送
ケーブルテレビ放送はチャーター・コミュニケーションズ、コムキャスト、アルティスUSA等が、衛星放送はディレクTVとディッシュ・ネットワークが実施している。2024年9月に衛星放送2社の合併計画が発表されたが、債権者の反対等により計画は破棄された。
重要政策動向
ネット中立性規則
民主党政権下のFCCは2024年4月、ブロードバンドへのアクセスを提供する事業者にネット中立性規則を課すことを決定したが、連邦控訴裁は2025年1月、ブロードバンド・サービスは通信法でより緩やかな規制に服する「情報サービス」であり、情報サービスに対して、より厳しい規制が適用される「電気通信サービス」の規定を通じてネット中立性規則を課す権限はFCCにはないという判断を下した。
ユニバーサルサービス基金
通信法第254条の下、FCCはユニバーサルサービス基金(Universal Service Fund:USF)を運用する規則を整備し、USFへの拠出割合の算定や実際の資金交付等を民間企業ユニバーサルサービス管理会社に委託していたところ、第5巡回区米国控訴裁判所の大法廷は2024年7月、USFへの拠出制度は税金であり、立法によるFCCへの授権とFCCから民間企業への再授権は違憲としてFCCに差し戻す判決を下した。本件は連邦最高裁判所での審理が決定している。
次世代地上デジタル放送
放送局が地上デジタル放送方式の新規格である「ATSC 3.0」を自主的に運用することを認める案が2017年11月にFCCによって採択された。円滑な移行を支援するため、2023年4月にはFCCと全米放送事業者協会(NAB)との官民パートナーシップに基づく「テレビの未来(Future of Television)」イニシアチブが始動した。2024年10月現在、ATSC 3.0放送の世帯カバレッジは76%に上ると推計される。
基礎データ集
国の基礎データ
- 政体
- 連邦共和制
- 面積
- 983万3,517㎢
- 人口
- 3億4,348万人
- 首都
- ワシントンD.C.
- 公用語
- 英語
経済関連データ
- 通貨単位
- 1ドル(USD)=142.73円(2024年9月末)
- 会計年度
- 10月から1年間
- GDP
- 27兆7,207億900万USD(2023年)
出所:World Bank, World Development Indicators Database
法律
通信 | 1934年通信法、1996年電気通信法 等 |
---|---|
放送 | 1934年通信法、1996年電気通信法 等 |
監督機関
通信 | 連邦通信委員会、州公益事業委員会 等 |
---|---|
放送 | 連邦通信委員会、州公益事業委員会 等 |