世界情報通信事情 World Information and Communication Circumstances

United States of America 米国(最終更新:令和2年度)

市場の動向

インターネット・ブロードバンド市場

OECDのブロードバンド統計によると、2019年12月現在、固定ブロードバンドの接続数は約1億1,400万、移動体ブロードバンドの接続数は約4億9,000万となっている。そのうち、固定ブロードバンドの世帯普及率は、ケーブルモデムが22.0%、ADSLが5.9%、光ファイバが5.5%である。

ブロードバンド接続を提供している事業者は、ADSL接続や光ファイバ・衛星接続を提供する大手電気通信事業者と、ケーブルモデムを提供するケーブルテレビ事業者とで構成されている。最大手から順に、ケーブルテレビ事業者の、コムキャスト、次いでチャーター・コミュニケーションズ、電気通信事業者のAT&T、ベライゾンが続く。

固定ブロードバンド加入数及び普及率(2015-2019年)

2015年 2016年 2017年 2018年 2019年
固定BB加入数(千) 102,212 105,714 108,199 110,865 114,093
固定BB普及率 31.9% 32.7% 33.3% 33.9% 34.7%

出所:ITU World Telecommunication/ICT Indicators Database

移動電話市場

ITU統計によると、2020年6月末時点で、米国の移動電話加入数は約4億であり人口普及率は約123.7%である。米国は、中国(約16億)とインド(約11億)に次ぐ世界で3番目に大きい移動電話加入者のある市場である。全国規模の主な事業者は、AT&Tコミュニケーションズ、ベライゾン・ワイヤレス、T-モバイルUS等である。

なお、米国では、全国展開を行っている移動体通信事業者のほかに、特定の市場のみの地域事業者、再販事業もしくは仮想移動体通信事業者(MVNO)、データサービス事業者、衛星移動体通信事業者等の多様な事業者が、移動体通信サービスを提供している。

移動電話加入数及び普及率(2015-2018年)

2015年 2016年 2017年 2018年
移動電話加入数(千) 382,307 396,000 400,000 422,000
移動電話普及率 119.1% 122.6% 123.0% 129.0%

出所:ITU World Telecommunication/ICT Indicators Database

固定電話市場

回線交換網による固定電話(VoIPを含む)を提供している主な事業者は、AT&T、ベライゾン、ルーメン(旧センチュリーリンク)となっている。その他、固定電話を提供している主な事業者としては、ケーブルテレビ事業者のコムキャスト、次いでチャーター・コミュニケーションズ等がある。ただし、こうした大手電気通信事業者やケーブルテレビ事業者に加えて、全国で100を超える中小規模の電気通信事業者がサービス提供している。

固定電話加入数及び普及率(2015-2019年)

2015年 2016年 2017年 2018年 2019年
固定電話加入数(千) 124,848 121,343 116,297 110,439 107,281
固定電話普及率 38.9% 37.6% 35.8% 33.8% 32.6%

出所:ITU World Telecommunication/ICT Indicators Database

放送市場

地上放送

商業放送と非商業放送が存在するが、サービスは商業放送を中心に行われている。商業局の大部分が4大ネットワークであるABC、CBC、NBC、Fox、及びCWをはじめとする後発ネットワークの直営局又は加盟局である。2019年にはネクスターによるトリビューンの買収が完了し、米国最大の地上商業放送事業者が誕生した。一方、非商業局には、公共放送のPBSを中心とした非商業局と独立系の非商業局とがある。

有料放送

衛星放送はDirecTVグループとディッシュ・ネットワークが、ケーブルテレビ放送はコムキャスト、チャーター・コミュニケーションズ、コックス、アルティスUSA等が実施している。オンライン動画配信サービスの成長を受けて加入数が年々減少していることを背景に、2010年代半ば頃から有料放送事業者の水平・垂直統合が盛んになっており、業界再編が本格化している。

重要政策動向

中立性規制

オバマ大統領(当時)は、ネット中立性と呼ばれる上位レイヤ・サービスの非差別的な伝送を確保するための規則整備を後押ししていたが、政権交代ののち、パイFCC委員長(当時)は、オープン・インターネット規則の再検討に取り組み、2017年5月に、規制案である「インターネットの自由の回復(Restoring Internet Freedom)」を公示し、同年8月まで意見を募集した。意見募集後、2017年11月には「インターネットの自由の回復」にかかる命令案が公表され、同年12月に採択された。同命令では、ブロードバンド・インターネット・アクセス・サービス(Broadband Internet Access Service:BIAS)を情報サービスに再度分類することで規制対象から除外した。また、スロットリング、有料優先措置、ブロッキングの三つを禁止する規制も廃止し、公式の苦情処理手続についても廃止した。透明性については、2015年の規制を緩和し、2010年の規則の水準まで戻した。

サイバーセキュリティ政策

トランプ大統領(当時)は、2017年5月、サイバーセキュリティに関する大統領命令に署名した。同命令には、連邦省庁のトップにサイバーセキュリティ確保の責任を負わせる等の内容が含まれている。また、各省庁に米国標準・技術研究所の定める枠組みに従うサイバーセキュリティ戦略案を90日以内に策定するよう指示した内容となっている。なお、国土安全保障省は、重要インフラのセキュリティに対する広範な監査を実施し、行政管理予算局と共に、リスク評価の監査を策定することにもなっている。

同命令は、リスク管理を重視していることが大きな特徴となっており、国土安全保障省と行政管理予算局は、リスクを評価するための恒常的な監査体制を開発することが義務付けられている。

メディア所有規制

FCCは2017年11月、新聞と地上放送及びラジオ局とテレビ局のクロス所有規制の廃止、同地域で最低八つの独立局がなければテレビ局の合併を認めない条件(Eight-Voices Rule)の廃止、一つの地区でシェア上位4局のうち2局が合併することを禁じる条件(Top-Four Prohibition)の修正等を決定した。しかし、連邦第3巡回区控訴裁判所は2019年9月、FCCが実施した一連のメディア所有規制緩和を無効と判断し、再考を命じた。FCCは2020年4月に同判決を見直すよう連邦最高裁判所に申し立て、11月に審理が開廷した。

ATSC 3.0

次世代地上デジタル放送方式である「ATSC 3.0」の自主的な運用開始を認める案が2017年11月にFCCによって採択された。運用を開始する地上放送局には、現行規格による放送と新規格による放送の両方を5年間実施することが義務付けられる。2020年6月には、ATSC3.0によって実現する「放送インターネット(いわゆるデータ放送)」を推進すべく、放送インターネットを従来のメディア所有規制の対象外とする宣言的決定と規則提案・制定公示(NPRM)が採択された。なお、2020年1月には、国際電気通信連合(ITU)がATSC 3.0を地上デジタル放送の国際標準の一つとして採用することを勧告している。

基礎データ集

国の基礎データ

政体
連邦共和制
面積
963万1,420㎢
人口
3億2,910万人
首都
ワシントンD.C.
公用語
主として英語(法律上の定めはない)

経済関連データ

通貨単位
1USD=105.80円(2020年9月末)
会計年度
10月から1年間
GDP
21兆4,332億2,600万USD(2019年)

出所:World Bank, World Development Indicators Database

法律

通信 1934年通信法、1996年電気通信法 等
放送 1934年通信法、1996年電気通信法 等

監督機関

通信 連邦通信委員会、州公益事業委員会 等
放送 連邦通信委員会、州公益事業委員会 等