世界情報通信事情 World Information and Communication Circumstances

Federative Republic of Brazil ブラジル(最終更新:令和3年度)

市場の動向

インターネット・ブロードバンド市場

電気通信庁(Anatel)によると2021年7月現在、ブロードバンド加入者数は3,938万に達し、このうちFTTxが57.5%、ケーブルモデムが23.7%、xDSLが13.3%、FWAが4.6%の加入者シェアを占めている。FTTxとケーブルモデムは、中間所得層の拡大を背景に有料放送やインターネット配信サービスに加入するユーザが増え、シェアを伸ばしている。

ケーブルテレビ最大手NETセルビソスと固定通信エンブラテルを傘下に持つクラロを筆頭に、フランスのメディア大手ビベンディからGlobal Village Telecomを買収したテレフォニカ・ブラジル、地場企業Oiの大手3社が、インターネット・ブロードバンド市場を支配している。Anatelによると、2021年7月現在、各事業者のシェアはテレフォニカ・ブラジルが16.1%、クラロとOiが共に13.3%となっている。

2021年3月、テレフォニカ・ブラジルは、カナダのケベック州投資信託銀行(CDPQ)と、ブラジルにおける光ファイバのホールセール事業を手掛ける新会社「FiBrasil Infraestrutura e Fibra Otica(FiBrasil)」を設立することで合意した。テレフォニカ・ブラジルとCDPQは新会社の株式をそれぞれ50%ずつ保有する。FiBrasilはホールセール会社としてサンパウロ州以外の都市で光ファイバ・ネットワークを構築・運用し、地域のプロバイダーに回線を提供する。

固定ブロードバンド加入数及び加入率(2016-2020年)

2016年 2017年 2018年 2019年 2020年
固定BB加入数(千) 26,861 28,908 31,233 32,907 36,345
固定BB加入率 13.0% 13.9% 14.9% 15.6% 17.1%

出所:ITU World Telecommunication/ICT Indicators Database

移動電話市場

移動体通信事業者は、テレフォニカ・ブラジル、クラロ、TIMブラジル、Oiの大手4社と、市場シェアが1%前後の小規模事業者のネクステル・ブラジル、アルガー・テレコム、Sercomtelの3社がいる。

2020年12月にはOiの移動体通信事業がオークションにかけられ、最終的に165億BRLで落札された。落札したのは、テレフォニカ・ブラジル、TIMブラジル、クラロからなるコンソーシアムである。TIMブラジルは、総額の約44%を支払うことになり、これによりOiの顧客約1,450万人(全体の約40%)、49MHzの周波数(Oiが保有している周波数の54%)、7,200の基地局(49%)を保有することになる。テレフォニカ・ブラジルは、総額の約33%を支払い、顧客約1,050万人(29%)、43MHzの周波数(46%)、2,700の基地局(19%)を確保する。クラロは総額の約22%を支払い、顧客の32%と4,700の基地局(32%)を獲得する。

移動電話加入数及び加入率(2016-2020年)

2016年 2017年 2018年 2019年 2020年
移動電話加入数(千) 244,067 221,269 209,410 202,009 205,835
移動電話加入率 118.4% 106.5% 100.0% 95.7% 96.8%

出所:ITU World Telecommunication/ICT Indicators Database

固定電話市場

従来の固定電話網(PSTN)に加え、VoIPやFWAによる音声通話サービスが提供されているが、移動体通信サービスが急成長したこともあり、固定電話の契約数は減少傾向にある。

固定電話市場は近年、大型買収・合併が繰り返され、現在ではOi、テレフォニカ・ブラジル、クラロの既存電気通信事業者3社の寡占状態になっている。Anatelによると、2021年7月現在、固定電話市場シェアは、Oiが30.2%、クラロが29.5%、テレフォニカ・ブラジルが27.2%、アルガー・テレコムが4.3%を占めている。

固定電話加入数及び加入率(2016-2020年)

2016年 2017年 2018年 2019年 2020年
固定電話加入数(千) 42,004 40,376 38,312 33,713 30,654
固定電話加入率 20.4% 19.4% 18.3% 16.0% 14.4%

出所:ITU World Telecommunication/ICT Indicators Database

放送市場

地上放送

商業放送は、Rede Globo、Rede Record、SBT、TV Band、RedeTV!の5大ネットワークが直営局と系列局を通じて全国放送を実施している。公共放送は、公共放送機関EBC傘下のTVブラジルにより実施されており、ブラジル国土の約90%をカバーしている。同局の番組は地上テレビ、ケーブルテレビ、衛星放送等で放送されている。

有料放送

Anatelによると、2021年7月末現在、有料放送の契約件数は1,637万で、世帯加入率は23.2%となった。クラロ、Oi、スカイ・ブラジル、テレフォニカ・ブラジルの大手4社で有料放送市場シェアの98%を占めている。プラットフォーム別では、DTHが56.8%、ケーブルテレビが35.3%、FTTHが7.9%の加入シェアを占めている。

経済不況の影響を受けて2015年以降、有料放送の契約件数は減少している。アルガー・テレコム等の小規模事業者の中には、従来の有料放送事業から撤退し、OTTサービスへと移行する事業者も存在する。

重要政策動向

ユニバーサル・サービス化目標プログラム

2021年1月27日、「政令第10.610号」が公布され、光ファイバ・バックホール整備に関する具体的達成目標が公表された。今回の政令では、2024年末までにすべての地方自治体に最低でも10Gbpsの速度での伝送が可能な光ファイバ・バックホールを整備することが示された。Oi、テレフォニカ・ブラジル、クラロ、アルガー・テレコムの4社は、下記のスケジュールに沿って、自費負担により目標を達成しなければならない。

  • 2021年12月31日までにカバー率10%を達成
  • 2022年12月31日までにカバー率25%を達成
  • 2023年12月31日までにカバー率45%を達成
  • 2024年12月31日までにカバー率100%を達成

5Gオークションの動向

5Gオークションは当初2021年3月に実施される予定だったが、再三延期を繰り返し、最終的に2021年11月4日に行われた。オークションにかけられた帯域は、700MHz帯、2.3GHz帯、3.5GHz帯及び26GHz。落札金額は計472億BRLにのぼった。オークションでは、既存通信事業者5社(テレフォニカ・ブラジル、クラロ、TIMブラジル、アルガー・テレコム、Sercomtel)と新規参入事業者6社がそれぞれ20年間有効の事業免許を獲得した。

基礎データ集

国の基礎データ

政体
連邦共和制
面積
851万4,047㎢
人口
2億1,256万人
首都
ブラジリア
公用語
ポルトガル語

経済関連データ

通貨単位
1レアル(BRL)=20.48円(2021年9月末)
会計年度
1月から1年間
GDP
1兆4,447億3,326万 USD(2020年)

出所:World Bank, World Development Indicators Database

法律

通信 1997年一般電気通信法、1996年最小限法、2014年インターネット憲法、2018年個人情報保護法
放送 1962年ブラジル通信法、2008年公共放送法、2011年有料テレビ法

監督機関

通信 通信省、電気通信庁
放送 通信省、電気通信庁