世界情報通信事情 World Information and Communication Circumstances

Federative Republic of Brazil ブラジル(最終更新:令和2年度)

市場の動向

インターネット・ブロードバンド市場

中所得層の拡大を背景に有料放送や動画配信サービスに加入するユーザが増えているため、ケーブルモデムと光ファイバ(FTTx)への需要が拡大し、シェアを伸ばしている。2019年12月現在、xDSL、ケーブルモデム、FTTxの加入者シェアは3割前後で拮抗している。

ISP大手は、ケーブルテレビ最大手NETセルビソスと固定通信エンブラテルを傘下に持つクラロを筆頭に、フランスのメディア大手ビベンディからGVTを買収したテレフォニカ・ブラジル、地場企業Oiの大手3社で、ブラジルのインターネット市場をほぼ支配している。

電気通信庁(Anatel)によると、2020年9月現在、クラロが28.1%、テレフォニカ・ブラジルが18.6%、Oiが14.4%の加入者シェアを占めている。

固定ブロードバンド加入数及び普及率(2015-2019年)

2015年 2016年 2017年 2018年 2019年
固定BB加入数(千) 25,482 26,861 28,908 31,233 32,563
固定BB普及率 12.5% 13.0% 13.9% 14.9% 15.4%

出所:ITU World Telecommunication/ICT Indicators Database

移動電話市場

移動電話加入者数は、2014年中旬からの経済危機の影響を受け、減少傾向が続いている。

移動体通信市場には、大手4社(テレフォニカ・ブラジル、クラロ、TIMブラジル、Oi)に加え、加入者シェアが1%に満たない小規模事業者(ネクステル・ブラジル、アルガー・テレコム、Sercomtel)が参入している。2020年6月現在、加入者シェアは、テレフォニカ・ブラジルが3割超でトップ、これにTIMブラジル、クラロ、Oiの順番で続く。

Anatelによると、2020年9月現在、移動電話加入者のうち4Gサービスが占める割合は72.5%。5Gサービスは、2016年10月にクラロが同国初の5Gデモンストレーションを実施した。2019年には、Anatelが5Gの試験用周波数として3.5GHz帯の使用を許可したため、各社が相次ぎ5Gサービスのトライアルを実施している。

移動電話加入数及び普及率(2015-2018年)

2015年 2016年 2017年 2018年
移動電話加入数(千) 257,814 244,067 218,244 207,047
移動電話普及率 126.1% 118.4% 105.0% 98.8%

出所:ITU World Telecommunication/ICT Indicators Database

固定電話市場

ブラジルでは従来の固定電話網(PSTN)に加え、VoIPやFWAによる音声通話サービスが提供されているが、近年、移動体通信サービスが急成長したこともあり、固定電話の契約数は減少傾向にある。

ブラジルの固定電話市場は近年、大型買収・合併が繰り返され、現在ではOi、テレフォニカ・ブラジル、クラロの寡占状態になっている。Anatelによると、2020年9月現在、固定電話の加入者シェアは、Oiが31%、テレフォニカ・ブラジルが30%、クラロが29%である。この他にクラロやTIMブラジル等VoIPサービスを提供する事業者が数社おり、2019年12月末現在、約1,538万の加入者がいる。

固定電話加入数及び普及率(2015-2019年)

2015年 2016年 2017年 2018年 2019年
固定電話加入数(千) 43,677 42,004 40,376 38,312 33,701
固定電話普及率 21.4% 20.4% 19.4% 18.3% 16.0%

出所:ITU World Telecommunication/ICT Indicators Database

放送市場

地上放送

商業放送は、Rede Globo、Rede Record、SBT、TV Band、RedeTV!の5大ネットワークが系列局を通じて全国放送を実施している。公共放送は、公共放送機関EBC傘下のTV Brasilが首都ブラジリアやサンパウロ、リオデジャネイロ等11都市で放送している。

有料放送

Anatelによると、2020年9月末現在、有料放送の契約件数は1,510万で、世帯加入率は21.3%となった。プラットフォーム別では、衛星直接受信(DTH)が50.0%、ケーブルテレビが43.0%、FTTHが7.1%の加入シェアを占めている。

衛星放送はこの数年の間に新規参入が相次ぎ、10社以上が放送免許を受けてDTHサービスを提供している。最大手は、ブラジルの複合メディア大手Rede Globoと米国のAT&T傘下のディレクTVラテンアメリカの合弁会社であるスカイ・ブラジルで、2020年9月現在、466万の契約者を得ている。

ケーブルテレビ・サービスは、経済不況の影響を受けて、契約件数が減少傾向にあり、サービス料金が比較的に安価なOTTサービスへと移行する傾向が見られる。

ケーブルテレビ最大手はアメリカ・モビルで、同社はケーブルテレビ子会社のNETセルビソスと衛星放送子会社のクラロTVを運営しており、両社を合わせた契約数は2020年9月時点で717万である。

重要政策動向

ブロードバンド政策

2019年6月、Anatelは、「電気通信ネットワーク計画(Plan for Telecommunications Networks:PERT)」を承認した。PERTは、光ファイバ網の敷設が困難な地域で、衛星通信や、3G/4Gなどの技術を使ったブロードバンド・アクセスを提供するために、官民の投資を推進することを目的としている。

デジタル戦略

ブラジル政府は2018年3月、「国家デジタル・トランスフォメーション戦略(Brazilian Digital Transformation Strategy:E-Digital)」を発表した。E-Digitalでは、向こう4年間に、デジタル化技術を最大限に活用してブラジルの生産性、国際競争力、収入・雇用水準の向上を実現して、すべての人に公正で豊かな社会の構築を目指す。

プライバシー保護

2020年9月18日、「個人情報保護法(LGPD)」が施行された。LGPDは、企業や公的機関が国民の個人情報を収集するに当たり明示的に本人の同意を得ることや、収集した個人情報に関して当人がアクセスする権利、修正や削除を要請する権利を規定している。

基礎データ集

国の基礎データ

政体
連邦共和制
面積
851万4,047㎢
人口
2億1,104万人
首都
ブラジリア
公用語
ポルトガル語

経済関連データ

通貨単位
1レアル(BRL)=18.75円(2020年9月末)
会計年度
1月から1年間
GDP
1兆8,397億5,804万USD(2019年)

出所:World Bank, World Development Indicators Database

法律

通信 1997年一般電気通信法、1996年最小限法、2014年インターネット憲法、2018年個人情報保護法
放送 1962年ブラジル通信法、2008年公共放送法、2011年有料テレビ法

監督機関

通信 通信省、電気通信庁
放送 通信省、電気通信庁