世界情報通信事情 World Information and Communication Circumstances

Canada カナダ(最終更新:令和4年度)

市場の動向

インターネット・ブロードバンド市場

世帯利用におけるインターネット接続方式はケーブルモデム接続が主流である。2021年現在、ケーブルモデム接続が全体の約48%を占めるも減少傾向、DSLも約21%で減少傾向の一方、FTTxは約24%と比率が高まってきている。2022年現在の事業者別市場シェアは、ベル・カナダがトップとなっており、以下、テラス、ロジャース・コミュニケーションズ、ショウ・コミュニケーションズ、ビデオトロンと続く。

固定ブロードバンド加入数及び加入率(2017~2021年)

2017年 2018年 2019年 2020年 2021年
固定BB加入数(千) 13,924 14,446 15,142 15,826 16,453
固定BB加入率 38.1% 39.0% 40.4% 41.8% 43.1%

出所:ITU World Telecommunication/ICT Indicators Database

移動電話市場

全国規模で事業を行う移動体通信事業者は3大事業者のベル・カナダ、テラス、ロジャース・コミュニケーションズである。商用5Gサービスについては、ロジャース・コミュニケーションズが2020年4月に、ベル・カナダとテラスが2020年6月に、ビデオトロンが2020年12月にそれぞれサービスを開始している。さらに、ロジャース・コミュニケーションズはカナダ初の商用5G スタンドアロン(SA)サービスを2022年3月に、同初の3500MHz帯商用5Gサービスを2022年6月に開始している。

移動電話加入数及び加入率(2017~2021年)

2017年 2018年 2019年 2020年 2021年
移動電話加入数(千) 31,693 33,211 34,367 32,360 32,723
移動電話加入率 86.7% 89.7% 91.6% 85.4% 85.8%

出所:ITU World Telecommunication/ICT Indicators Database

固定電話市場

ベル・カナダを含むベル・カナダ・エンタープライズ(BCE)傘下の地域通信事業者、テラス、ロジャース・コミュニケーションズが全国レベルで固定通話サービスを展開しており、3大事業者とされる。そのほかには、マニトバ州を拠点とするBell MTS(旧MTS)、サスカチュワン州を拠点とするサスクテル、ケーブルテレビ事業者であるショウ・コミュニケーションズ、ビデオトロンやコゲコも固定通話サービスを提供している。

固定電話加入数及び加入率(2017~2021年)

2017年 2018年 2019年 2020年 2021年
固定電話加入数(千) 14,469 13,842 13,596 13,340 12,928
固定電話加入率 39.6% 37.4% 36.2% 35.2% 33.9%

出所:ITU World Telecommunication/ICT Indicators Database

放送市場

地上放送

2021年時点で、地上テレビ放送はCBCの27系統と商業放送の93系統のほか、宗教6系統と教育6系統で実施されており、そのうち全国放送は公共放送のCBCと商業放送のCTVが実施している。CBCは英語とフランス語の全国ネットワークを運用しているが、各ネットワークにはCBC直営局のほか、一部の商業放送事業者も加盟している。

このほか、フランス語圏のケベック州をサービス地域とするフランス語放送のTVA等に代表される地域放送事業者があるほか、どのネットワークにも属さない独立系商業放送事業者や州交付金で運営される州営放送事業者がある。

有料放送

衛星放送は、ショウ・コミュニケーションズによるShaw DirectとBCEによるBell Satellite TV が、カナダのケーブルテレビ番組を中心に米国の番組を加えた内容でサービスを提供している。

2021年時点で、国内のケーブルテレビ加入者数は約409万、IPTVの加入者数は約431万、衛星放送の加入者数は約151万である。有料放送市場において長らく優勢だったケーブルテレビを、大手ケーブルテレビ事業者のIPTVへの切替え等を受け前年比40%増となったIPTVが追い抜いた。

重要政策動向

電気通信法、放送法、無線通信法の見直し

2018年6月、政府は法制度の近代化を目的とし、電気通信法、放送法、無線通信法の見直しを開始した。放送及び電気通信立法審査委員会は2020年1月、見直しに向けた最終報告書を公開し、同報告書には後述の四つのテーマに関連する97の具体的な提言が含まれている。四つのテーマは、①すべてのカナダ人が高度な情報通信網にアクセスする際の障壁軽減、②カナディアン・コンテンツ(Canadian content)の創造、制作、発見可能性、③デジタル消費者の権利向上、④通信分野の制度的枠組みの更新となっている。

2022年2月に「1991年放送法」を近代化する「放送法改正法案(通称オンラインストリーミング法案)」が、同6月には、電気通信法及び関連法を改正する「重要サイバーシステム保護法(Critical Cyber Systems Protection Act)」が、それぞれ議会に提出された。

通信障害対策

2022年7月に発生したロジャース・コミュニケーションズの大規模通信障害を受け、政府は通信障害対策を指示。国内移動通信事業各社は2022年9月、大規模通信障害発生時に緊急ローミングやその他の相互支援を確保・保証する正式な合意に達した。移動通信サービス、インターネット・サービスを提供する多くの通信事業者は、サービスの信頼性を保証するために多くの義務を負うことを約束し、事業者のうち1社で大規模な障害が起これば、他の事業者が通信を提供する。

基礎データ集

国の基礎データ

政体
立憲君主制
面積
997万610㎢
人口
3,816万人
首都
オタワ
公用語
英語、フランス語

経済関連データ

通貨単位
1カナダ・ドル(CAD)=105.80円(2022年9月末)
会計年度
4月から1年間
GDP
1兆9,883億3,633万 USD(2021年)

出所:World Bank, World Development Indicators Database

法律

通信 1993年電気通信法、1985年無線通信法 等
放送 1991年放送法

監督機関

通信 イノベーション・科学・経済開発省、カナダ・ラジオテレビ電気通信委員会
放送 イノベーション・科学・経済開発省、カナダ民族遺産省、カナダ・ラジオテレビ電気通信委員会