市場の動向
インターネット・ブロードバンド市場
電子通信・郵便・出版流通規制機関(ARCEP)によると、2023年6月末現在、国内の固定ブロードバンド・サービス加入数は前年同期比1.1%増の約3,211万1,100である。うち約853万8,000がADSL利用であるが、超高速ブロードバンドの伸長に伴い、接続別シェアは減少を続け、30%を下回った。超高速ブロードバンド加入数は全体の71%の2,293万(FTTHが約1,980万7,000、残りは同軸ケーブル又はvDSL)、(幹線が光化されていない)ケーブル、衛星等のサービス加入数は63万8,000である。
固定ブロードバンド市場では、総合通信事業者4社(オランジュ、フリー、SFR、ブイグ・テレコム)でシェアの90%以上を占めている。
固定ブロードバンド加入数及び加入率(2018-2022年)

2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | |
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29,100 | 29,760 | 30,627 | 31,485 | 31,928 |
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45.3% | 46.2% | 47.5% | 48.8% | 49.4% |
出所:ITU World Telecommunication/ICT Indicators Database
移動電話市場
総合通信事業者4社が主にサービスを提供している。ARCEPによると、2023年6月現在、移動電話サービスの加入者総数は前年同期比1.4%増の約8,274万6,000(M2M対応SIMカードを除く)で、加入率は121.5%となった。MVNO加入者の合計数は5,780万、前年同期比9.5%増と、市場シェアは6.7%である。
LTEは、オランジュとSFRが2012年11月に2.6GHz帯と800MHz帯で商用サービスを開始した。ブイグ・テレコムは、2013年10月に2Gに利用していた1800MHz帯でサービスを開始した。フリー・モバイルは2013年12月に2.6GHz帯でのサービスを開始した後、2015年1月からは1800MHz帯を用いて地方都市向けにサービスを提供している。
5Gについては、2020年11月に、オランジュ、SFR、ブイグ・テレコム、フリーへ3.4-3.8GHz帯が割り当てられた。各事業者は、700MHz帯、2.1GHz帯及び3.5GHz帯の周波数を利用し、5Gを展開している。2022年10月までに、全国周波数庁(ANFR)が認可した基地局数は、700MHz帯で2万270、2100MHz帯で1万8,736、3.5GHz帯で2万7,387であった。
移動電話加入数及び加入率(2018-2022年)

2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | |
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70,422 | 72,040 | 72,751 | 75,304 | 76,807 |
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109.6% | 111.9% | 112.8% | 116.7% | 118.8% |
出所:ITU World Telecommunication/ICT Indicators Database
固定電話市場
PSTN回線が減少傾向にある一方、IP電話は増加傾向にあり、加入数シェアの約88%を占めている。ARCEPによると、通話時間は、2023年4~6月期は前年同期比15.9 %減、1か月当たりの通話時間の平均は、PSTN回線では1時間3分、IP電話では1時間1分であった。
固定電話加入数及び加入率(2018-2022年)

2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | |
---|---|---|---|---|---|
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38,132 | 37,797 | 37,759 | 38,097 | 37,740 |
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59.3% | 58.7% | 58.6% | 59.0% | 58.4% |
出所:ITU World Telecommunication/ICT Indicators Database
放送市場
2022年12月現在、仏世帯の90.3%が、テレビ受像機を所有している。地上デジタル放送を視聴している世帯はこのうちの約43.2%、地上デジタルのみがテレビ視聴手段である世帯は約19%である。2022年12月現在、全国をカバーする無料放送チャンネル数は25(民間18、公共7)、有料放送チャンネル数は5である。ローカル放送については、2007年9月から開始され、2021年12月までに仏本土では43チャンネルが放送を実施している。これらのチャンネルにはR1~R4、R6、R7のマルチプレックスが割り当てられており、R1は主に公共放送、R3は主に有料放送、その他は無料の商業放送中心に用いられている。
重要政策動向
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響を受けて2020年に発表された、経済の復興を目指す産業振興プログラム「France Relance」は、2020~2022年までの計画に「デジタル社会化と先端産業ベンチャー支援」が含まれ、中小企業向けに70億EURの支出が予定されている。特に重視されているのは革新的技術開発分野で、首相府による先端産業育成プログラム「未来への投資」の枠組みで、デジタル医療システム、交通機関の脱炭素・デジタル化、クラウド・コンピューティング、5G関連技術開発、サイバーセキュリティに合計24億EURの予算が割り当てられている。
また、デジタル産業振興と国際競争力強化戦略の一環として、実施中のデジタル・ベンチャー支援プログラム「French Tech」は、2023年6月現在、125余りのベンチャー支援プログラムを展開している。
基礎データ集
国の基礎データ、経済関連データ
- 政体
- 共和制
- 面積
- 54万7,030㎢
- 人口
- 6,804万人(2023年)
- 首都
- パリ
- 公用語
- フランス語
経済関連データ
- 通貨単位
- 1ユーロ(EUR)=156.50円(2023年9月末)
- 会計年度
- 1月から1年間
- GDP
- 2兆7,790万USDドル(2022年)
出所:World Bank, World Development Indicators Database
法律
通信 | 郵便・電子通信法典 |
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放送 | コミュニケーションの自由に関する1986年9月30日の法律第86-1067号 |
監督機関
通信 | 経済・財務・産業・デジタル主権省、電子通信・郵便・出版流通規制機関 |
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放送 | 文化省、視聴覚とデジタルコミュニケーション規制機関 |
電波 | 電子通信・郵便・出版流通規制機関、全国周波数庁、視聴覚とデジタルコミュニケーション規制機関 |