市場の動向
インターネット・ブロードバンド市場
連邦ネットワーク庁の2022年次報告書によると、2022年末時点で、固定ブロードバンド加入数は3,750万である。ブロードバンド回線の主流はDSLで2,470万ある。FTTH/Bは340万、ケーブルは1,280万(うち、高速のHFCは870万)である。
固定ブロードバンド加入数及び加入率(2018-2022年)

2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | |
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34,152 | 35,191 | 36,215 | 36,881 | 37,500 |
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41.2% | 42.3% | 43.5% | 44.2% | 45.0% |
出所:ITU World Telecommunication/ICT Indicators Database
移動電話市場
2014年に業界3位のテレフォニカ・ドイツと4位のEプラスが合併したことで、ドイツテレコム、ボーダフォン、テレフォニカ・ドイツによる寡占化とこれら3事業者の市場競争が進んだ。2019年に5G用周波数(2GHz/3.6GHz帯)オークションが実施され、1&1ドリリッシュが新規参入事業者として5G周波数の割当てを受けたことにより、市場競争がさらに激しくなることが見込まれている。ドイツテレコムとボーダフォン・ドイツは2019年に、テレフォニカ・ドイツは2020年に、それぞれ5Gサービスを開始した。
3大事業者の事業戦略を見ると、固定と移動体通信のバンドル化が進んでいる。例えば、ドイツテレコムはバンドル・サービスの提供に力を入れ、「Magenta」という共通のブランド名を冠することで顧客の認知度を高めている。
移動電話加入数及び加入率(2018-2022年)

2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | |
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107,500 | 107,200 | 107,400 | 106,400 | 104,400 |
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129.7% | 128.9% | 128.9% | 127.6% | 125.2% |
出所:ITU World Telecommunication/ICT Indicators Database
固定電話市場
主要事業者はドイツテレコムで、その他、ボーダフォン・ドイツがある。
固定電話加入数及び加入率(2018-2022年)

2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | |
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42,500 | 38,270 | 38,380 | 38,490 | 38,580 |
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51.3% | 46.0% | 46.1% | 46.1% | 46.3% |
出所:ITU World Telecommunication/ICT Indicators Database
放送市場
地上放送
公共放送の全国放送は、九つの州放送協会によって構成されるドイツ公共放送連盟(ARD)による1系統(第1テレビ)と、第2ドイツ・テレビジョン協会(ZDF)による1系統の、計2系統で実施している。これ加えてARTE DeutschlandとARTE Franceが共同出資しているARTEがそれぞれの国で放送を行っている。
商業放送は、RTLグループとプロジーベンザット1メディアの2大メディアグループが全国の都市圏でそれぞれ4~5チャンネルで放送している。これ以外に地域放送局が約170局ある。地上テレビ放送の視聴世帯数は極少数であり、衛星放送とケーブルテレビが主な基幹伝送路として使用されている。
衛星放送
ほとんどの衛星放送サービスに、ルクセンブルクの衛星運用事業者SESアストラの衛星が使用されている。公共放送のARDとZDF、商業放送大手のRTLグループとプロジーベンザットアインス等が無料放送を行っている。有料プラットフォーム事業者には、英国スカイの子会社スカイ・ドイチュラント(Sky Deutschland)とSESアストラのHDプラス(HD+)がある。2022年現在、衛星放送の視聴世帯普及率は約4割である。
重要政策動向
ギガビット戦略
2022年7月、連邦政府は、ギガビット戦略を発表した。デジタル化に必須の高速通信インフラの整備を図るため、全世帯を光ファイバ網に接続するとともに、国内全域に最新の移動体通信網を構築することを主眼にしている。
同戦略では、第1段階として、2025年末までに光ファイバ網を3倍に拡張し、世帯及び企業の50%が光ファイバ網に接続できるよう拡大するとしており、移動体通信網については、2026年までに国内全域で途切れない音声・データ通信を実現するとしている。更に、第2段階として、2030年までに全世帯を光ファイバ網に接続し、農村部等を含む国内全域で最新規格の移動体通信網へ接続するとしている。
国家ブロードバンド戦略
2016年10月、連邦政府は2021年までに国内4万のすべての公立高校にパソコン及びWi-Fi設備を装備する施策「Digital-Pakt」に対して50億EURを支出する計画を発表している。2018年8月には、連邦政府がデジタル・インフラ投資の資金調達のための基金「Digital Infrastructure Fund」を設立することを承認。基金の目的は、学校にギガビット級のインターネットを導入することにあり、特にルーラル地域での導入が重要視される。同基金の財源には、基本資金として連邦予算から24億EURが投入され、更に、2019年6月に終了した5Gオークションからの収入が充てられる。
2020年11月、コロナ・パンデミックを踏まえた「Digital-Pakt」の取組拡大に関する協定(連邦政府及び州政府間)が発効した。生徒へのラップトップ貸出の即時プログラム(5億EUR)、学校のIT管理者の訓練支援(5億EUR)が含まれる。2023年6月末現在、25のプロジェクトが実行された。
基礎データ集
国の基礎データ
- 政体
- 連邦共和制
- 面積
- 35万7,022㎢
- 人口
- 8,408万人(2022年)
- 首都
- ベルリン
- 公用語
- ドイツ語
経済関連データ
- 通貨単位
- 1ユーロ(EUR)=158.00円(2023年9月末)
- 会計年度
- 1月から1年間
- GDP
- 4兆824億6,949万USD(2022年)
出所:World Bank, World Development Indicators Database
法律
通信 | 2004年電気通信法、テレメディア法、新連邦データ保護法 等 |
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放送 | ドイツ連邦共和国基本法、州公共放送法、州商業放送法、放送とテレメディアに関する州間協定等 |
監督機関
通信 | 連邦デジタル・交通省、連邦経済・気候保護省、連邦ネットワーク庁 |
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放送 | 連邦ネットワーク庁、州の首相官房、州のメディア監督機関 等 |
電波 | 連邦デジタル・交通省、連邦ネットワーク庁 |