世界情報通信事情 World Information and Communication Circumstances

Malaysia マレーシア(最終更新:令和4年度)

市場の動向

インターネット・ブロードバンド市場

2001年からDSLサービスの提供が開始され、2007年にHSDPAサービス、2010年3月にテレコム・マレーシア(TM)が首都圏においてFTTHサービスの提供を開始した。2022年3月時点で、固定ブロードバンド加入数は約385万で、モバイル・インターネットが約4,145万である。

固定ブロードバンド加入数及び加入率(2017-2021年)

2017年 2018年 2019年 2020年 2021年
固定BB加入数(千) 2,688 2,696 2,965 3,359 3,734
固定BB加入率 8.4% 8.3% 9.0% 10.1% 11.1%

出所:ITU World Telecommunication/ICT Indicators Database

移動電話市場

事業者の競争と再編が行われており、主要な事業者は、セルコム・ディジ(2022年TM系列の旧セルコム・アシアタと旧ディジ・テレコムが合併)、マキシス・モバイル、Uモバイルの3社である。

LTE網が2022年9月時点で96.9%をカバーしており、全国のカバーが完了すれば3G網は運用停止となる。5G網については、2021年に、5G網の構築と運用は、政府事業体のデジタル国家会社(Digital Nasional Berhad:DNB)が行い、各事業者はDNBから卸売りを受けることになった。人口カバレッジについては、2022年10月時点で36%になっている。2022年11月1日セルコム・ディジが5Gサービスの提供開始を発表した。

移動電話加入数及び加入率(2017-2021年)

2017年 2018年 2019年 2020年 2021年
移動電話加入数(千) 42,339 42,413 44,601 43,724 47,202
移動電話加入率 132.4% 130.9% 136.0% 131.7% 140.6%

出所:ITU World Telecommunication/ICT Indicators Database

固定電話市場

主な事業者は、TM、マキシス、タイム・ドットコム、ディジ・テレコムの4社であるが、旧国営事業者のTMが支配的地位にある。移動電話への加入者移行の影響を受け、固定電話の加入数は減少傾向が続いている。

衛星通信は、マレー半島とボルネオを結ぶための重要な通信基盤で、1996年より自国衛星を保有している。

固定電話加入数及び加入率(2017-2021年)

2017年 2018年 2019年 2020年 2021年
固定電話加入数(千) 6,581 7,429 7,405 7,468 8,247
固定電話加入率 20.6% 22.9% 22.6% 22.5% 24.6%

出所:ITU World Telecommunication/ICT Indicators Database

放送市場

地上放送

1963年に開局した国営放送RTMが全国テレビ放送を5チャンネル配信しているほか、商業放送事業者ではTV3が1984年に、ntv7が1998年に、TV9が2003年(いったん放送中止後、2006年に再開)に、8TVが2004年に放送を開始している。日刊紙の「New Straits Times」等を傘下に持つメディア・プリマが、放送事業者の買収を進め、すべての商業地上放送事業者が傘下に入った。

2017年6月には、地上デジタル放送サービスを正式に開始し、2019年10月末に地上アナログ波が停止された。

有料放送

1996年10月よりMeasat Broadcast Network Systems(MBNS)社がASTROのブランド名で有料デジタル衛星放送を行っている。2022年10月時点で、加入数は560万程度と発表されている。なお、衛星放送の人気が高く、多チャンネルのケーブルテレビはそれほど成長していない。

重要政策動向

デジタル化政策

新型コロナウイルス感染症の感染拡大を契機としたブロードバンドへの依存の高まりに備え、2020年8月に「国家デジタルネットワーク計画(JENDELA)」が公表された。2022年以降の、900万世帯へのブロードバンド普及、4G人口カバレッジ100%、移動体通信速度100Mbps、人口密集地での5G完全普及が目指されている。

2022年7月、政府は、「マレーシア・デジタル」政策を開始すると発表し、デジタル経済においてマレーシアが主導的な役割を果たすことを目指している。そのための三つの柱が、意欲的な若い起業家、企業、国民のデジタル包摂を進めること、国内テック企業のサポート、高付加価値なデジタル投資を誘引することとしている。最初に、マレーシアをデジタル・ノマドのハブとするために観光や専門家の可動性を進めるDE Rantauと、標準化と規制を調和させて国内外の交易を盛んにするためのデジタル貿易が取り組まれている。

政府特別目的事業体による5G網整備・運用

2021年2月、政府は、投資の二重化を避けながらデジタル化を加速化するために、5G網の構築と運用は、財務省が保有する政府特別目的事業体(Special Purpose Vehicle)であるDNBを通じて行うことを発表した。5Gに利用される周波数はDNBに割り当てられ、DNBが構築したインフラを通じたサービスは各事業者に非オークション方式で卸売りされる。出資を打診された主要事業者による見送り等、多くの課題を抱えている。

DNBの計画では、2022年中に40%、2024年には80%程度の人口をカバーするとしている。

基礎データ集

国の基礎データ

政体
立憲君主制(議会制民主主義)
面積
32万9,749㎢
人口
3,357万人
首都
クアラルンプール
公用語
マレー語

経済関連データ

通貨単位
1マレーシアリンギット(MYR)=31.21円(2022年9月末)
会計年度
1月から1年間
GDP
3,729億8,096万USD(2021年)

出所:World Bank, World Development Indicators Database

法律

通信 1998年通信・マルチメディア法、通信マルチメディア委員会法
放送 1998年通信・マルチメディア法、通信マルチメディア委員会法

監督機関

通信 通信デジタル省、通信マルチメディア委員会
放送 通信デジタル省、通信マルチメディア委員会