世界情報通信事情 World Information and Communication Circumstances

Malaysia マレーシア(最終更新:令和6年度)

市場の動向

インターネット・ブロードバンド市場

最大通信速度256kbps以上がブロードバンドに分類されるブロードバンド・インターネットについては、2001年からDSLサービスの提供が開始され、2007年中にHSDPAサービスが本格化し、2010年3月にテレコム・マレーシア(TM)が首都圏においてFTTHサービスの提供を開始している。2024年3月現在、固定ブロードバンド加入数は約468万で、モバイル・インターネットが約4,513万である。

固定ブロードバンド加入数及び加入率(2019~2023年)

2019年 2020年 2021年 2022年 2023年
固定BB加入数(千) 2,965 3,359 3,734 4,224 4,577
固定BB加入率 8.9% 9.9% 10.9% 12.2% 13.0%

出所:ITU World Telecommunication/ICT Indicators Database

移動電話市場

移動体通信市場では事業者の競争と再編が行われており、2024年12月現在の主要事業者は、セルコムディジ(CelcomDigi:2021年6月、当時の加入数第1位と3位の事業者が合併)、マキシス・モバイル(Maxis Mobile)、Uモバイルである。

LTE網が2023年9月時点で97.4%をカバーしており、全国のカバーが完了すれば3G網は運用停止となる。5G網については、2021年に、5G網の構築と運用は、政府事業体のデジタル国家会社(Digital Nasional Berhad:DNB)が行い、各事業者はDNBから卸売りを受けることになり、2022年11月より提供されている。2024年にはUモバイルが5G網を構築運用する第2事業者に選定された。DNB網が、2024年6月末時点で、人口密集地帯(COPA)の人口の約81.8%をカバーしている。

移動電話加入数及び加入率(2019~2023年)

2019年 2020年 2021年 2022年 2023年
移動電話加入数(千) 44,601 43,724 47,202 47,952 50,137
移動電話加入率 133.4% 129.0% 137.7% 138.2% 142.7%

出所:ITU World Telecommunication/ICT Indicators Database

固定電話市場

1994年5月に市内通信が自由化された。主な事業者は、TM、マキシス(Maxis Communications)、タイム・ドットコム(Time dotCom)、セルコムディジの4社であるが、旧国営事業者のTMが支配的地位にある。

インターネット電話については、PC間の音声通信提供は「インターネット・テレフォニー」に分類され、免許は不要。公衆交換網を経由した通話については、「VoIPサービス」に分類されるため、クラスASP免許が必要となる。

固定電話加入数及び加入率(2019~2023年)

2019年 2020年 2021年 2022年 2023年
固定電話加入数(千) 7,405 7,468 8,247 8,464 8,402
固定電話加入率 22.1% 22.0% 24.1% 24.4% 23.9%

出所:ITU World Telecommunication/ICT Indicators Database

放送市場

地上放送

1963年に開局したRTMが全国放送を5チャンネル配信しているほか、商業放送事業者ではTV3が1984年に、ntv7が1998年に、TV9が2003年(いったん放送中止後、2006年に再開)に、8TV(旧Metrovison)が2004年に放送を開始している。地上波については2019年10月にデジタルに完全移行している。

日刊紙の「New Straits Times」等を傘下に持つメディア・プリマ(Media Prima)が、放送事業者の買収を進め、2003年9月にTV3の完全買収を行い、同年11月には現8TVの80%の株式(2007年に完全取得)、2005年6月に現TV9、同年12月にntv7を取得し、すべての全国商業地上放送事業者が傘下に入った。

有料放送

1996年10月よりMeasat Broadcast Network Systems(MBNS)社がASTROのブランド名で有料デジタル衛星放送を行っている。2024年6月時点で、有料放送の加入数は607万程度と発表されている。なお、衛星放送の人気が高く、多チャンネルのケーブルテレビはそれほど成長していない。

重要政策動向

インターネットに関する規制強化

2024年8月に、社会問題化したインターネットの不適切な利用を防止するために、マレーシアでの加入者数が800万人を超えるメッセージ・サービス事業者とSNSサービス事業者は、ASP免許の取得が義務付けられた。発表時に規制機関は、フェイスブック、TikTok、YouTubeといった事業を対象例として示した。事業者のみならず、言論の自由の観点からも批判があり、議論となっているが、2025年1月より規制が開始されている。

政府特別目的事業体による5G網整備・運用と第二事業者の選定

2021年2月、政府は、投資の二重化を避けながらデジタル化を加速化するために、5G網の構築と運用は、財務省が保有する政府特別目的事業体(Special Purpose Vehicle)であるDNBを通じて行うことを発表した。5Gに利用される周波数はDNBに割り当てられ、DNBが構築したインフラを通じたサービスは各事業者に非オークション方式で卸売りされていた。

政権交代を受けて単独事業者による整備方針が転換され、2023年5月に5G網の構築と運用を行う第二事業者を参入させることが発表され、比較審査の結果、2024年11月にUモバイルが第二事業者に選ばれた。

基礎データ集

国の基礎データ

政体
立憲君主制(議会制民主主義)
面積
33万㎢
人口
3,514万人
首都
クアラルンプール
公用語
マレー語

経済関連データ

通貨単位
1マレーシアリンギット(MYR)=34.74円(2024年9月末)
会計年度
1月から1年間
GDP
3,997億USD(2023年)

出所:World Bank, World Development Indicators Database

法律

通信 1998年通信・マルチメディア法、通信マルチメディア委員会法
放送 1998年通信・マルチメディア法、通信マルチメディア委員会法

監督機関

通信 通信省、デジタル省、通信マルチメディア委員会
放送 通信省、通信マルチメディア委員会