市場の動向
インターネット・ブロードバンド市場
最大通信速度256kbps以上がブロードバンドに分類されるブロードバンド・インターネットについては、2001年からDSLサービスの提供が開始され、2007年中にHSDPAサービスが本格化し、2010年3月より、TMが首都圏においてFTTHサービスの提供を開始している。2023年3月現在、固定ブロードバンド加入数は約440万で、モバイル・インターネットが約4,449万である。
固定ブロードバンド加入数及び加入率(2018-2022年)

2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | |
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2,696 | 2,965 | 3,359 | 3,734 | 4,223 |
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8.3% | 9.0% | 10.1% | 11.1% | 12.4% |
出所:ITU World Telecommunication/ICT Indicators Database
移動電話市場
移動体通信市場では事業者の競争と再編が行われており、TM系列のセルコム・アシアタは、インカムベント事業者として規制された時期があったが、2001年にモビコム(Mobikom)の完全買収、2002年5月にTRIの合併を行い、2008年、TMの事業再編により固定通信部門と移動体通信部門の分離が実施され、現在はTM Internationalから名称を変更したアシアタ・グループの子会社となっている。
LTE網が2022年9月時点で96.9%をカバーしており、全国のカバーが完了すれば3G網は運用停止となる。5G網については、2021年に、5G網の構築と運用は、政府事業体のデジタル国家会社(Digital Nasional Berhad:DNB)が行い、各事業者はDNBから卸売りを受けることになった。人口カバレッジについては、2022年12月時点で47.1%になっている。2022年11月1日にセルコム・ディジが5Gサービスの提供開始を発表した。
移動電話加入数及び加入率(2018-2022年)

2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | |
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42,413 | 44,601 | 43,724 | 47,202 | 47,952 |
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130.9% | 136.0% | 131.7% | 140.6% | 141.3% |
出所:ITU World Telecommunication/ICT Indicators Database
固定電話市場
1994年5月に市内通信が自由化された。主な事業者は、TM、マキシス(Maxis Communications)、タイム・ドットコム(Time dotCom)、ディジ・テレコムの4社であるが、旧国営事業者のTMが支配的地位にある。移動電話への加入者移行の影響を受け、固定電話の加入者数は減少した。
インターネット電話については、PC間の音声通信提供は「インターネット・テレフォニー」に分類され、免許は不要。公衆交換網を経由した通話については、「VoIPサービス」に分類されるため、クラスASP免許が必要となる。2022年時点でのVoIPの加入推計は122万5,000程度である。
固定電話加入数及び加入率(2018-2022年)

2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | |
---|---|---|---|---|---|
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7,429 | 7,405 | 7,468 | 8,247 | 8,453 |
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22.9% | 22.6% | 22.5% | 24.6% | 24.9% |
出所:ITU World Telecommunication/ICT Indicators Database
放送市場
地上放送
1963年に開局したRTMが全国放送を5チャンネル配信しているほか、商業放送事業者ではTV3が1984年に、ntv7が1998年に、TV9が2003年(いったん放送中止後、2006年に再開)に、8TV(旧Metrovison)が2004年に放送を開始している。
日刊紙の「New Straits Times」等を傘下に持つメディア・プリマ(Media Prima)が、放送事業者の買収を進め、2003年9月にTV3の完全買収を行い、同年11月には現8TVの80%の株式(2007年に完全取得)、2005年6月に現TV9、同年12月にntv7を取得し、すべての全国商業地上放送事業者が傘下に入った。
有料放送
1996年10月よりMeasat Broadcast Network Systems(MBNS)社がASTROのブランド名で有料デジタル衛星放送を行っている。2023年6月時点で、加入数は640.6万程度と発表されている。なお、衛星放送の人気が高く、多チャンネルのケーブルテレビはそれほど成長していない。
重要政策動向
デジタル化政策
新型コロナウイルス感染症の感染拡大を契機としたブロードバンドへの依存の高まりに備え、2020年8月に「国家デジタルネットワーク計画(JENDELA)」が公表された。2022年以降の、900万世帯へのブロードバンド普及、4G人口カバレッジ100%、移動体通信速度100Mbps、人口密集地での5G完全普及が目指されている。
2022年7月、政府は、「マレーシア・デジタル」政策を開始すると発表し、デジタル経済においてマレーシアが主導的な役割を果たすことを目指している。そのための三つの柱が、意欲的な若い起業家、企業、国民のデジタル包摂を進めること、国内テック企業のサポート、高付加価値なデジタル投資を誘引することとしている。最初に、マレーシアをデジタル・ノマドのハブとするために観光や専門家の可動性を進めるDE Rantauと、標準化と規制を調和させて国内外の交易を盛んにするためのデジタル貿易が取り組まれている。
政府特別目的事業体による5G網整備・運用
2021年2月、政府は、投資の二重化を避けながらデジタル化を加速化するために、5G網の構築と運用は、財務省が保有する政府特別目的事業体(Special Purpose Vehicle)であるDNBを通じて行うことを発表した。5Gに利用される周波数はDNBに割り当てられ、DNBが構築したインフラを通じたサービスは各事業者に非オークション方式で卸売りされる。出資を打診された主要事業者による見送り等、多くの課題を抱えている。
基礎データ集
国の基礎データ、経済関連データ
- 政体
- 立憲君主制(議会制民主主義)
- 面積
- 33万㎢
- 人口
- 3,260万人(2022年)
- 首都
- クアラルンプール
- 公用語
- マレー語
経済関連データ
- 通貨単位
- 1マレーシアリンギット(MYR)=31.72 円(2023年9月末)
- 会計年度
- 1月から1年間
- GDP
- 4,070億2,745万USDドル(2022年)
出所:World Bank, World Development Indicators Database
法律
通信 | 1998年通信・マルチメディア法、通信マルチメディア委員会法 |
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放送 | 1998年通信・マルチメディア法、通信マルチメディア委員会法 |
監督機関
通信 | 通信デジタル省、通信マルチメディア委員会 |
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放送 | 通信デジタル省、通信マルチメディア委員会 |
電波 | 通信マルチメディア委員会 |