世界情報通信事情 World Information and Communication Circumstances

New Zealand ニュージーランド(最終更新:令和5年度)

市場の動向

インターネット・ブロードバンド市場

2022年度の固定ブロードバンドの接続方式別シェアは、FTTx加入数が68.8%、DSLが10.6%、ケーブルモデムが1.7%となっている。その他に主として無線接続からなる接続方式が18.8%を占めている。

市場シェアについては、2大事業者のスパークが35.8%、ボーダフォン・ニュージーランドが21.9%で推移している。また、2022年7月にISP事業者ヴォ―カス・ニュージーランド(Vocus New Zealand)と合併し、総合通信事業者としての事業展開を進める2degreesも市場シェアを21.9%にまで高めている。また、Mercury(旧Trustpower)も7.9%と一定のシェアを有している。

固定ブロードバンド加入数及び加入率(2018-2022年)

2018年 2019年 2020年 2021年 2022年
固定BB加入数(千) 1,648 1,698 1,765 1,801 1,863
固定BB加入率 34.1% 34.2% 34.9% 35.1% 35.9%

出所:ITU World Telecommunication/ICT Indicators Database

移動電話市場

スパーク、ボーダフォン・ニュージーランド、2degreesが移動体通信の設備事業者である。市場シェアについては、2023年9月時点でスパークが44.3%、ボーダフォン・ニュージーランドが35.3%、2degreesが20.4%で推移しており、非常に競争的な市場環境である。

他方、上記の3事業者はルーラル地域に移動体カバレッジを拡げることを目的とした合弁会社Rural Connectivity Group(RCG)を2017年1月に設立し、インフラ共用により、非採算地域でのネットワーク展開を推進している。2017年8月にはRCGはCIPと提携し、RB計画第2フェーズの展開にも寄与している。

移動電話加入数及び加入率(2018-2022年)

2018年 2019年 2020年 2021年 2022年
移動電話加入数(千) 6,319 6,011 6,236 5,846 5,947
移動電話加入率 130.6% 121.2% 123.2% 114.0% 114.7%

出所:ITU World Telecommunication/ICT Indicators Database

固定電話市場

固定電話の加入者数減少が顕著である。主な事業者はスパーク、ボーダフォン・ニュージーランドである。ボーダフォン・ニュージーランドには旧テルストラクリア(TelstraClear)所有のHFCケーブルを使用したサービスが存在するが、原則として、固定電話は、LFCからの卸売サービスを使用した小売サービスである。

固定電話加入数及び加入率(2018-2022年)

2018年 2019年 2020年 2021年 2022年
固定電話加入数(千) 1,073 967 844 908 757
固定電話加入率 22.2% 19.5% 16.7% 17.7% 14.6%

出所:ITU World Telecommunication/ICT Indicators Database

放送市場

公共放送のTVNZがTV1、TV2、TVNZ Dukeの3系統(タイムシフト放送を除く)で地上放送を行っている。なお、2011年7月の「公共テレビ憲章」廃止の影響を受け、TVNZ6、TVNZ7の2系統がそれぞれ2011年2月、2012年6月に廃止された。

商業放送ではMediaWorks New Zealandが4系統(Three、Bravo、The Edge TV、The Breeze TV)、有料放送のスカイ・ネットワーク(SKY Network)が運営するPrime、カナダ資本により2012年4月に新規参入したChoice TVが各々1系統で全国放送を実施している。

スカイ・ネットワークが衛星直接受信(DTH)方式での放送を行っており、市場を独占している。また、FreeViewが衛星デジタル放送による同時再送信を無料で行っている。

重要政策動向

公共放送関連政策

テレビジョン・ニュージーランド(Television New Zealand:TVNZ)とラジオ・ニュージーランド(Radio New Zealand:RNZ)がクラウン・エンティティ(Crown Entity)と称される、省庁と国有企業以外の政策実施業務を行う機関、あるいは政府が政策目的のために一定程度の所有権を有する企業と位置付けられている。株式の一般公開は実施されておらず、100%政府保有の株式会社である。

なお、政府は2022年2月にTVNZ及びRNZを統合し、新たな公共放送メディア事業者「アオテアロア・ニュージーランド公共メディア(Aotearoa New Zealand Public Media:ANZPM)」を設立し、2023年3月より事業を開始する計画を示していたが、その後、同計画は中止となることが発表された。

基礎データ集

国の基礎データ、経済関連データ

政体
立憲君主制
面積
27万534㎢
人口
516万人(2022年)
首都
ウェリントン
公用語
英語

経済関連データ

通貨単位
1ニュージーランド・ドル(NZD)=89.19円(2023年9月末)
会計年度
7月から1年間
GDP
2,481億171万USDドル(2022年)

出所:World Bank, World Development Indicators Database

法律

通信 2001年電気通信法、1989年無線通信法
放送 1989年放送法

監督機関

通信 ビジネス・イノベーション・雇用省、商務委員会
放送 ビジネス・イノベーション・雇用省、文化遺産省、NZ On Air、放送基準(倫理)委員会
電波 ビジネス・イノベーション・雇用省