市場の動向
インターネット・ブロードバンド市場
2017年以降、ケーブルモデム加入者数の伸び率が著しい一方で、DSLの加入者数が減少傾向にある。光ファイバは、政府主導の国家光ファイバ・バックボーン構築計画(National Fiber Optic Backbone:RDNFO)プロジェクトが2016年7月に完了したところであるが、高額な接続料がネックとなり、利用率は低迷している。
主要プロバイダはテレフォニカ・デル・ペルー(Telefonica del Peru:TdP)とクラロ・ペルーで、この2社で約9割の加入者シェアを占めている 。このほかにエンテル・ペルーやクラロ・ペルー傘下のOLOがLTE/WiMAXモバイル・ブロードバンド・サービスを提供している。
クラロ・ペルーとエンテル・ペルーは2021年3月、運輸通信省(MTC)が3.5GHz帯を使用した固定無線アクセス(FWA)方式の5G提供を承認したことを受けて、5Gサービスの提供を開始した。
固定ブロードバンド加入数及び加入率(2016-2018年)

2016年 | 2017年 | 2018年 | |
---|---|---|---|
![]() |
2,121 | 2,310 | 2,536 |
![]() |
6.9% | 7.3% | 7.9% |
出所:ITU World Telecommunication/ICT Indicators Database
移動電話市場
移動体通信市場は、モビスター・ペルーとクラロ・ペルーの2強体制にあり、これに2013年8月に米NII Holdingsからネクステル・ペルーを買収したエンテル・ペルー(Entel Peru、チリ資本)と、2014年7月に新規参入したベトナム資本Viettelが出資するBitelが対抗する形となっている。
5Gの試験導入が進んでおり、2019年3月にエンテル・ペルーが3.5GHz帯を使用した国内初の5Gトライアルを実施した。2019年5月には、クラロ・ペルーが3.6GHz帯を使用して、2019年9月にはモビスター・ペルー、遅れて10月にBitelが5Gトライアルを行っている。
移動電話加入数及び加入率(2016-2018年)

2016年 | 2017年 | 2018年 | |
---|---|---|---|
![]() |
36,933 | 38,915 | 42,155 |
![]() |
119.4% | 123.8% | 131.8% |
出所:ITU World Telecommunication/ICT Indicators Database
固定電話市場
1998年8月の市内電話・長距離電話市場の自由化後も旧国営通信事業者であるTdPが市場シェアの7割超を占め、独占状態が続いている。
MTCは低迷する加入率を引き上げるため、TdPとの間で合意されたコンセッション契約(5年単位で最長20年まで延長可能)に基づき、貧困対策としての低廉な固定電話サービスの提供義務のほか、農村地域の固定電話整備対策として450MHz帯や900MHz帯等を使用した固定無線アクセス(FWA)方式による音声サービスの導入を進めている。クラロ・ペルー(メキシコのアメリカ・モビルの完全子会社)、エンテル・チリ(Entel Chile)傘下のAmericatel、Gilat To Home、モビスター・ペルー等がFWAサービスを提供している。
固定電話加入数及び加入率(2016-2018年)

2016年 | 2017年 | 2018年 | |
---|---|---|---|
![]() |
3,074 | 3,082 | 2,729 |
![]() |
9.9% | 9.8% | 8.5% |
出所:ITU World Telecommunication/ICT Indicators Database
放送市場
地上放送
地上テレビは、国営放送のTV Peruと、商業放送のLatina Televisión、America TV、Panamericana TV、Andina de Televisión(ATV)がネットワーク局として全国放送を実施している。
有料放送
電気通信民間投資監督庁(OSIPTEL)によると、2019年9月末現在、有料放送加入世帯は201万6,000件である。ケーブルテレビ・サービスは、TdPとクラロ・ペルーが二大勢力で、このほかにBest Calbe Peruや小規模のケーブルテレビ事業者がサービスを提供している。
衛星放送の加入数は約53万5,000で、全有料放送の26.5%を占めている。TdPとクラロ・ペルー、ディレクTVが衛星放送を実施している。
重要政策動向
Wi-Fiプロジェクト
ペルーの閣僚理事会は2021年2月、デジタル・ディバイド解消のため農村部へのインターネット接続を提供する特別措置を実施する緊急政令を承認した。このプロジェクトは三つの地域に分けて実施され、第1段階では、ロレト、ウカイヤリ、マドレデディオス、アマゾナスの遠隔自治体の公共施設を衛星通信で接続し、各公共施設に無料Wi-Fiを整備する。第1段階は2021年中に完了させる計画である。
第2段階では、ワンカベリカ、アヤクチョ、アプリマク、ランバイェケ、クスコ、リマの遠隔自治体が対象となり、無料Wi-Fiが整備される。第3段階では、政府は約1,000か所にデジタル・アクセス・センター(Centros de Acceso Digital)を設立し、ICTリテラシーの向上とIT機器へのアクセスを促進する。最初のセンターは2021年に設置される計画で、フアヌコとパスコに集中する予定。政府はこのプロジェクトに初年度に約5,000万PENを投資する計画である。
5Gオークションの動向
2019年10月、民間投資促進庁(Proinversion)は、1750MHz-1780MHz帯/2150MHz-2180MHz帯及び2300MHz-2330MHz帯の周波数オークションを2020年第2四半期に実施すると発表(しかし、その後、オークションは2021年12月初旬に実施されると発表された)。当該周波数帯は4G及び5G導入に使用され、免許は全国免許で有効期間は20年となる。
2020年2月、MTCは4G及び5G向け周波数オークションの追加条件を発表した。1.7GHz帯で60MHz幅、2.3GHz帯で30MHz幅をオークションにかけるとし、落札者には、2022年までに全国5,641か所で固定あるいはモバイル・インターネット・サービスの提供が求められ、また、599の公的機関との接続も義務付けられる。
基礎データ集
国の基礎データ
- 政体
- 立憲共和制
- 面積
- 128万5,216㎢
- 人口
- 3,297万人
- 首都
- リマ
- 公用語
- スペイン語
経済関連データ
- 通貨単位
- 1ペルー・ヌエボ・ソル(PEN)=26.96円(2021年9月末)
- 会計年度
- 1月から1年間
- GDP
- 2,020億1,436万 USD(2020年)
出所:World Bank, World Development Indicators Database
法律
通信 | 1994年電気通信法の一般規則 |
---|---|
放送 | 2004年ラジオ・テレビ法 |
監督機関
通信 | 運輸通信省、電気通信民間投資監督庁 |
---|---|
放送 | 運輸通信省 |