市場の動向
インターネット・ブロードバンド市場
ロステレコム、ER-Telecom、MTS、PJSCビンペルコム、TransTeleCom(TTK)等がDSL及びLAN/FTTxサービスを提供している。最大事業者はロステレコムであるが、そのシェアは減少傾向にある。ケーブル事業者にはAKADO等がある。
固定ブロードバンド加入数及び加入率(2016~2020年)

2016年 | 2017年 | 2018年 | 2019年 | 2020年 | |
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27,523 | 31,103 | 32,063 | 32,858 | 33,873 |
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18.9% | 21.4% | 22.0% | 22.5% | 23.2% |
出所:ITU World Telecommunication/ICT Indicators Database
移動電話市場
MTS、メガフォン、PJSCビンペルコム、テレ2ロシアの4社でMNO市場シェアの約98%を占める。MVNOは多数参入しているものの市場シェアは低い。
5Gサービスについては、MTSが2020年7月に全国免許(24.25-24.65GHz)を取得した。また、2021年6月には、ロステレコム、メガフォン、PJSCビンペルコムの3社が、5G網の共同構築を目的とした合弁会社「New Digital Solutions」を3社同率の出資で創設することで正式合意したと発表した。
移動電話加入数及び加入率(2016~2020年)

2016年 | 2017年 | 2018年 | 2019年 | 2020年 | |
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229,126 | 227,300 | 229,431 | 239,796 | 238,733 |
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157.7% | 156.2% | 157.4% | 164.4% | 163.6% |
出所:ITU World Telecommunication/ICT Indicators Database
固定電話市場
加入数は2008年をピークに減少している。市内通信はロステレコムとMTSが全国PSTN回線数の90%以上を所有する。長距離・国際通信はロステレコムがほぼ独占していたが、2006年に市場が自由化されたことで、現在はPJSCビンペルコムやTTK等もサービスを提供している。
固定電話加入数及び加入率(2016~2019年)

2016年 | 2017年 | 2018年 | 2019年 | |
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32,277 | 31,952 | 30,108 | 27,674 |
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22.2% | 22.0% | 20.7% | 19.0% |
出所:ITU World Telecommunication/ICT Indicators Database
放送市場
地上放送
国営放送は第1チャンネルとVGTRKが、公共放送はPTRが全国放送を行う。商業放送は、ガスプロム・メディアが運営するNTVやTNT、NMGが所有する第5チャンネルやRen TV等がある。国際放送は、第1チャンネル国際放送及びVGTRKの「Russia RTR」が欧州、中東、北アフリカ、米国等でロシア語放送を行っている。NTVミールもロシア語放送を行っている。
有料放送
衛星放送は、トリコロールTV、オリオン・エクスプレス、NTVプラス及びMTSが実施している。ケーブルテレビは、ロステレコム、MTS、ER-Telecomといった電気通信事業者がネットワークを運営している。
重要政策動向
ICT政策
電気通信網へのアクセス確保、ICT利用の拡大、ICT産業の競争力確保、デジタル経済やサイバー空間における国益保護、情報過多の社会における伝統的価値観の保護等を謳う「2017~2030年のロシア連邦における情報社会発展戦略」が2017年に承認された。同戦略を実現するために策定された「ロシア連邦デジタル経済」プログラムでは、2024年までのデジタル経済発展のため、法的規制、人材・教育、研究能力と技術的蓄積の形成、情報基盤、情報セキュリティという5分野における方針が説明されている。
ユニバーサル・サービス制度
「2003年通信法」において、国内すべての電気通信事業者が四半期ごとに収入の1.2%をユニバーサル・サービス基金に拠出することが定められている。ユニバーサル・サービス提供事業者にはロステレコムが指名され、高速インターネット・アクセス提供、公衆電話設置、公共インターネット・アクセスポイント設置、低所得世帯向けのインターネット接続料金軽減等が義務付けられた。ただし、2020年4月には、移動電話サービス/Wi-Fi提供がユニバーサル・サービスの対象とされ、ロステレコム以外の事業者がこれを行い、基金からの出資を受けることも可能とされた。
インターネット規制
個人情報保護やセキュリティ確保といった多様な観点から連邦内におけるインターネット規制が推進されている。例えば、電気通信事業者等に国民の個人情報を国内で管理することや、利用者のテキスト・メッセージ、通話音声、画像、動画等を半年間保存することを義務付けているほか、政府がブロックした違法サイトへの接続を可能とするVPNサービス等を禁止している。2019年5月には、国外からの脅威が深刻化した場合、政府が一般のインターネット利用を制限し、トラヒックの中央管理やドメインネーム・システムの変更等を実施し得るとする「通信法及び情報・情報技術・情報保護法改正法(通称:主権インターネット法)」が発効した。
「視聴覚サービス」リスト
「2006年情報、情報技術及び情報保護に関するロシア連邦法」の2017年の改正を受け、2020年12月に「視聴覚サービス」リストが導入された。リストは1日あたりのロシア国内ユーザが10万人を超える動画配信サービスを登録するもので、登録されたサービスは国内法を順守し、過激主義コンテンツを禁止する条項等に準拠しなければならない。2021年12月には米国のネットフリックスが外国製サービスとして初めてリストに登録された。
基礎データ集
国の基礎データ
- 政体
- 共和制、連邦制
- 面積
- 1,709万8,246㎢
- 人口
- 1億4,593万人
- 首都
- モスクワ
- 公用語
- ロシア語
経済関連データ
- 通貨単位
- 1ルーブル(RUB)=1.53円(2021年9月末)
- 会計年度
- 1月から1年間
- GDP
- 1兆4,834億9,778万USD(2020年)
出所:World Bank, World Development Indicators Database
法律
通信 | 2003年通信法 等 |
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放送 | 1991年マスメディアに関するロシア連邦法 等 |
監督機関
通信 | デジタル発展・通信・マスコミ省、連邦通信・情報技術・マスコミ分野監督庁 |
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放送 | デジタル発展・通信・マスコミ省、連邦出版・マスコミ局 |