世界情報通信事情 World Information and Communication Circumstances

Republic of Singapore シンガポール(最終更新:令和5年度)

市場の動向

インターネット・ブロードバンド市場

IMDA統計によれば、固定有線ブロードバンドの接続方式別の加入者数は、ケーブル・ブロードバンドの唯一の提供事業者であるスターハブが2019年9月末にケーブルテレビも含めたHFC網によるサービスを終了したことから光ファイバの加入者数が増加しており、2023年6月時点で、156万3,800となっている。

また、2023年6月末時点の固定ブロードバンドの市場シェアはシングテルが46.2%、スターハブが36.9%、M1が15.2%と設備ベース事業者3社で市場の98.3%を占めている。

固定ブロードバンド加入数及び加入率(2018-2022年)

2018年 2019年 2020年 2021年 2022年
固定BB加入数(千) 1,494 1,504 1,510 1,526 2,233
固定BB加入率 25.7% 25.6% 25.5% 25.7% 37.4%

出所:ITU World Telecommunication/ICT Indicators Database

移動電話市場

移動体通信市場は、シングテル、スターハブ、M1の設備事業者3社を中心に構成されているが、2016年12月に4番目の事業者としてTPGテレコム(TPG Telecom)に周波数が割り当てられた(電波/Ⅱ-2の項参照)。TPGテレコムは2022年4月にSIMBAテレコム(SIMBA Telecom)に社名が変更された。2023年6月時点の市場シェアはシングテルが45.7%、M1が23.8%、スターハブが23.1%、SIMBAテレコムが7.4%である。

移動電話加入数及び加入率(2018-2022年)

2018年 2019年 2020年 2021年 2022年
移動電話加入数(千) 8,568 9,034 8,445 8,762 9,351
移動電話加入率 147.4% 154.0% 142.9% 147.5% 156.5%

出所:ITU World Telecommunication/ICT Indicators Database

固定電話市場

2005年度以降、固定電話の加入率は減少傾向にあり、2021年末の加入率は前年度比0.2%増の34.6%である。市場シェアはシングテルが2023年6月時点で約56.9%(108.5万回線)を有するが、2014年12月末には81.2%であり、独占度は縮小しつつある。

固定電話加入数及び加入率(2018-2022年)

2018年 2019年 2020年 2021年 2022年
固定電話加入数(千) 2,001 1,911 1,891 1,901 1,906
固定電話加入率 34.4% 32.6% 32.0% 32.0% 31.9%

出所:ITU World Telecommunication/ICT Indicators Database

放送市場

地上テレビ放送は、メディアコープの独占状態にある。英語系のチャンネル5、中国語系のチャンネル8及びチャンネルU、マレー語系のSuria、タミール語系のVasantham、英語系ニュース専門チャンネルのChannel News Asia(CNA)の計6系統の放送が提供されている。

シンガポールでは、個人による衛星放送の直接受信が禁止されており、また、唯一のケーブルテレビを提供していたスターハブが2019年9月末に、ケーブル・ブロードバンドを含めたケーブルサービスを終了した。これにより、有料テレビ市場はシングテル(SingTel TV)、スターハブ(StarHub TV)及びM1の移動体通信3大事業者によるIPTVサービス中心となるが、NetflixをはじめメディアコープによるMeWatch等のビデオストリーミングプラットフォームによるOTT(Over The Top)サービスの利用者の増加により、有料テレビの世帯普及率は低下すると予想されている。

重要政策動向

リー・シェンロン首相は2014年8月の施政方針演説(National Day Rally)においてスマートネーション構想を発表、国家単位でのスマートシティ構築を目指すと表明した。

これに伴い、同首相は首相府内局としてスマートネーション・デジタル政府局(Smart Nation and Digital Government Office:SNDGO)(旧称スマートネーション・プログラム局)を新設、同構想を政府全体で推進する役割を与えた。同時に、同構想に基づき運用される情報通信設備基盤の整備は、民間部門はIMDA、公的部門はGovTechが所掌することとした。GovTechはSNDGOの実施機関という位置付けであり、SNDGO及びGovTechを合わせてスマートネーション・デジタル政府グループ(Smart Nation and Digital Government Group:SNDGG)としている。

GovTechは2017年8月にスマートネーション構想の促進に向けた国家戦略プロジェクトを発表し、以下の具体的な課題に取り組むことを明らかにした。2022年6月のGovTechの発表によると、AI、センサ、データ・サイエンスに係るアプリケーション・システムや、商用クラウド上での政府機関向けのアプリケーション・システム等のために、2023年度のICT関連調達費用として、約33億SGDを投じることを発表している。

  • 市民及び企業が便利かつ安全な方法で手続可能な国家デジタルID構想
  • 簡易、迅速、シームレス及び安全な決済を実現する電子決済手段
  • AIや自動運転等のデジタル技術を駆使したスマート・アーバン・モビリティ
  • 国民の生活局面で必要となる複数の電子政府サービスを統合した「モーメント・オブ・ライフ」イニシアチブ

基礎データ集

国の基礎データ、経済関連データ

政体
共和制
面積
719.9㎢
人口
592万人(2023年)
首都
シンガポール
公用語
英語、中国語、マレー語、タミール語

経済関連データ

通貨単位
1シンガポール・ドル(SGD)=109.48円(2023年9月末)
会計年度
4月から1年間
GDP
4,667億8,843万USDドル(2022年)

出所:World Bank, World Development Indicators Database

法律

通信 電気通信法 等
放送 放送法

監督機関

通信 情報通信省、情報通信メディア開発庁、政府技術庁
放送 情報通信省、情報通信メディア開発庁
電波 情報通信省、情報通信メディア開発庁