世界情報通信事情 World Information and Communication Circumstances

Socialist Republic of Viet Nam ベトナム(最終更新:令和6年度)

市場の動向

インターネット・ブロードバンド市場

2024年6月現在、固定回線によるブロードバンド利用者は、約2,316万人である。2018年末時点で63の第1級行政区のすべてでサービス提供が行われている。主な事業者は、Viettel、VNPTグループ、FPT Telecomである。

固定ブロードバンド加入数及び加入率(2019~2023年)

2019年 2020年 2021年 2022年 2023年
固定BB加入数(千) 14,802 16,699 19,328 21,300 22,761
固定BB加入率 15.2% 17.0% 19.5% 21.4% 22.7%

出所:ITU World Telecommunication/ICT Indicators Database

移動電話市場

1992年にサービス提供が開始され、主要な事業者は、VNPT-Vinaphone、MobiFone、Viettel Mobile、Vietnamobileの4社である。2019年4月にIndochina Telecom Company(ITelecom)がVinaphoneのネットワークを利用して事業を開始し、MVNO事業者も市場に加わった。

2009年から3Gサービス、2016年から準備期間を長くとった4Gサービスの提供が開始された。2023年11月時点で、4G網の人口カバレッジは99%を超えているとされている。一方で、2G網は、2024年10月に停波が行われ、3Gは2028年停波予定である。

5Gについては、2019年からハノイ、ホーチミン、ダナン等主要都市で実験を開始し、各社が実験によって提供準備を進めた。2023年の周波数オークションが不調に終わったものの、2024年3月にVittelとVNPT-Vinaphoneが、利用期間を15年に設定した利用権を落札し、12か月以内にサービス提供を開始し、3,000基以上の基地局を整備する条件が落札者に課せられた。また、7月実施のオークションで、MobiFoneが利用権を落札した。

移動電話加入数及び加入率(2019~2023年)

2019年 2020年 2021年 2022年 2023年
移動電話加入数(千) 136,230 138,935 135,349 137,412 131,453
移動電話加入率 140.2% 141.7% 136.8% 137.9% 131.0%

出所:ITU World Telecommunication/ICT Indicators Database

固定電話市場

1995年の規制緩和以来、順次新規参入が認められ、事業者数が増加している。固定電話は、VNPT-Vinaphone、Viettel Telecom、SPT、FPT Telecom等の事業者が設備を保有してサービスを提供している。

固定電話加入数及び加入率(2019~2023年)

2019年 2020年 2021年 2022年 2023年
固定電話加入数(千) 3,658 3,206 3,122 2,391 2,316
固定電話加入率 3.8% 3.3% 3.2% 2.4% 2.3%

出所:ITU World Telecommunication/ICT Indicators Database

放送市場

地上波放送

首都に本拠地を置くベトナム国営放送(VTV)とベトナム・マルチメディア(VTC)の全国放送局、各省及び中央直轄市の人民委員会が管理・運営する64の地方局が地上放送を実施しており、2022年末時点で、110チャンネルが存在している。中央省庁等の再編が完了する2025年4月、人民テレビ、国会テレビ、通信テレビ、VOVTV、VTCはVTVに統合される予定である。

2015年に五つの中央直轄市からアナログ停波が開始され、2021年1月、政府がデジタル放送への完全移行を発表した。

有料放送

自国衛星の打上げによって、直接衛星放送受信(DTH)の規制が緩和され、VTCやベトナム衛星テレビ(VSTV)がサービスを提供している。2022年末時点の有料のDTHの免許数は3、契約数は80万となっている。

ケーブルテレビは、ハノイやホーチミンなどの大都市圏で普及しており、2022年末現在、22事業者にケーブルテレビ・サービス・プロバイダの免許を付与し、22事業者にIPTV免許を付与している。2022年末時点の有料のケーブルテレビの契約数は約1,100万である。

重要政策動向

国家デジタル戦略

2020年に首相決定で「国家デジタル・トランスフォーメーション計画(National Digital Transformation Program)」を定め、デジタル政府及びデジタル経済・社会の形成と、世界的競争力のあるデジタル産業の確立を二つの主要政策目標とし、デジタル経済の目標として国内総生産に占める割合等の目標を定めた。インフラについては、2025年に向けて光ファイバ・ネットワーク・インフラを全世帯の80%、コミューン・レベルでは100%カバレッジを達成し、4G及び5Gサービス及びスマートフォン利用のユニバーサル化、全人口の約半数の電子決済利用を実現するとした。

また、2022年3月の首相決定では、デジタル経済・社会の開発に力点が置かれ、GDPに占めるデジタル経済の規模を2025年に20%、2030年に30%とする目標を示した(2023年度には17%程度とされている)。それを可能とするために、2025年までに成人の80%がスマートフォンを持ち、家庭の80%がブロードバンドでカバーされるようになり、勤労年齢の70%以上が基礎的なデジタル技能を持つようにするとした。一方では、サイバー・セキュリティの確保についても取組み、デジタル人材の確保にも努力するとした。また、デジタル経済・社会形成の促進のために、法規制の改正を行い、トライアルのための制度的なデジタル・サンド・ボックスを整備することも示されている。

基礎データ集

国の基礎データ

政体
社会主義共和制
面積
32万9,241㎢
人口
1億35万人
首都
ハノイ
公用語
ベトナム語

経済関連データ

通貨単位
1ドン(VND)=0.006円(2024年9月末)
会計年度
1月から1年間
GDP
4,297億USD(2023年)

出所:World Bank, World Development Indicators Database

法律

通信 電気通信法、無線周波数法 等
放送 プレス法 等

監督機関

通信 情報通信省※
放送 情報通信省※

※2025年4月より「科学技術・デジタル・トランスフォーメーション・通信省」(仮称)となる見込み