昭和60年版 通信白書

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4 第二種電気通信事業の展開

(1)第二種電気通信事業の動向

 第二種電気通信事業は,第一種電気通信事業者から電気通信回線設備の提供を受け,独自のネットワークを形成し,利用者に電話,ファクシミリ,データ伝送,通信処理,データ処理等のサービスを提供するものである。
 事業の開始は,登録又は届出で済むことから,最も参入しやすい分野である上に,外資規制もなく,内外無差別の競争下に置かれている。したがって,規模の大小や日本企業,外資系企業のいかんを問わず,電気通信事業者が最も創意と工夫を生かせる分野であり,多様な通信需要にこたえる多彩なサービスの展開が期待される。
 (8社が登録した特別第二種電気通信事業)
 特別第二種電気通信事業は,不特定かっ多数の企業等を対象とし,設備の規模が政令で定める一定の規模を超えるものである。さらに,専用回線を用いて外国との間の国際通信サービスを提供するものも特別第二種電気通信事業とされる。
 60年8月末現在,8社が第二種電気通信事業者としての登録を済ませている。内訳をみると,これまでにも主として情報処理サービスを行っていたものが2社,通信機器等のメーカ及びその関連会社が4社,第二種電気通信事業を行うために新たに設立されたものが2社となっている。これらの8事業者は,いずれも全国規模でデータ伝送サービスを行うものであるが,事業者によっては,このほかに音声伝送サービス,画像伝送サービス,外国との間のデータ伝送サービスを提供するものもある。
 (148社が届出をした一般第二種電気通信事業)
 一般第二種電気通信事業は,特別第二種電気通信事業以外の第二種電気通信事業である。
 60年8月末現在,148社が一般第二種電気通信事業者としての届出を済ませている(公衆電気通信法下でいわゆる中小企業VANの届出をしており,事業法施行の日に一般第二種電気通信事業者の届出をしたとみなされた85社を含む。)(第1-1-4図参照)。
 これらの事業者は,北海道から沖縄まで全国各地に存在しているが,そのうちの約9割がデータ伝送サービスを提供しており,音声伝送,画像伝送又は複合サービスを提供することとしている事業者もそれぞれ数社ある(第1-1-5表参照)。

(2)多彩な事業展開

 電気通信ネットワークを通じて,情報を自由にかつ効率的に伝送,交換,処理するサービスを提供する第二種電気通信事業は,情報化の進展とともにその市場性が有望視されている。この電気通信サービスの利用分野は,運輸,流通等の分野のほか,最近では,原材料の仕入れ,加工,組立,運搬等の過程に発生する情報交換の効率化を目指した製造業等あらゆる分野に広がっている。運輸分野では,宅配貨物の輸送・配送情報,問い合わせ情報等の伝送,交換を行うものが多くなっている。
 流通分野では,製造業,卸売業及び小売業をネットワーク化し,商品の販売在庫管理や受発注データの交換を行うシステムの導入が進んでいる。また,多品種少量生産の傾向の進展に対応して,消費者の商品選択情報を迅速かつ的確に把握するいわゆる「POSシステム」(販売時点情報管理システム)の導入が進められている。
 このほかエレクトロニック・バンキング化の進展に対応して,POSシステムに代金決済機能を付加したいわゆる「Bank-POS」も現われてきている。
 さらに,これら種々の分野の多様なネットワークを横断的に接続する汎用的ネットワークの構築についても現在検討が進められている。

第1-1-4図 一般第二種電気通信事業の届出状況(累計)

第1-1-5表 一般二種電気通信事業者の本社所在地別分布(60年8月末現在)

 

 

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