昭和60年版 通信白書

本文へジャンプ メニューへジャンプ
トップページへ戻る
操作方法


目次の階層をすべて開く 目次の階層をすべて閉じる

3 税制措置

 60年度の電気通信関連税制については,電気通信事業法等の施行に伴い,電気通信事業用設備の耐用年数の整備等所要の措置が講じられたほか,ニューメディアの普及促進及び国際放送の充実を図るため,所要の改正が行われた。

(1)電気通信事業法等の施行に伴う措置

 電電公社の経営形態の変更及び電気通信事業法の制定に伴い,第1-2-1表のとおり,電気通信事業用設備の耐用年数が整備された。本耐用年数は、第一種及び第二種のすべての電気通信事業者について適用されるものである。
 また,第一種電気通信事業に対する税制措置として,工事負担金で取得した固定資産等の圧縮記帳制度の対象となる事業の範囲に「第一種電気通信事業」が追加された。
 この制度は,特定の事業を営む法人が,その事業に必要な施設をその施設に係る受益者から交付された金銭等をもって取得した場合に,一定の要件の下で,受益者から交付された金銭等に相当する金額を損金に算入することを認めるものである。これにより,負担金に対する課税が一時に集中せず,その負担を平準化することが可能となる。この制度はこれまでも電気事業,ガス事業,水道事等業がその適用を受けている。
 今回の改正は,第一種電気通信事業についても上記の事業とのバランスを考慮して措置されたものであり,今後,新規参入者が利用者との間に架空ケーブル,引込線路,地下ケーブル等を設置する場合において,その負担を平準化する効果が期待される。
 このほか,第一種電気通信事業に関係する税制の概要は,第1-2-2表のとおりである。
 一方,第二種電気通信事業に対する税制措置として,中小企業新技術体化投資促進税制の適用対象事業に「通信業」が,適用対象設備に「ディジタル交換・集線装置」が追加された。
 上記の制度は,中小企業における,いわゆるメカトロニクス機器等の導入を促進する観点から創設されたものであり,一定の要件の下に,取得価額の30%相当額の特別償却又は7%相当額の税額控除の選択適用を認めるほか,リース資産の場合においても,一定の要件の下に,リース費用総額を基礎に計算した金額(60%相当額)の7%の税額控除を認めるものである。

(2)ニューメディアの普及促進

 ニューメディアの普及促進に関する税制措置として,特定の基金に対する負担金等の損金算入の特例の対象業務の範囲に「電気通信又は情報処理の高度化に資する業務で,当該高度化を先行的に図る必要がある地域において行われるもの」が追加された。
 この制度は,個人又は法人が,長期間にわたって使用され,又は運用される基金に係る負担金等で一定の要件を具備するものを支出した場合に,その支出した金額について,支出時に全額損金算入を認めるものである。
 今回の改正によって,テレトピア指定地域等において地方公共団体等が中心となって情報通信の高度化のための基金を設立する場合,民間の出捐者の法人税負担が軽減されることとなり,テレトピア計画の推進に当たって民間活力の一層の活用が期待される。
 このほかにも,前述の中小企業新技術体化投資促進税制の適用対象設備に「衛星通信装置」が追加された。

(3)国際放送の充実

 国際放送の充実を図るため,前述の工事負担金で取得した固定資産等の圧縮記帳制度の対象となる事業の範囲に「KDDが行う国際放送専用施設の設置運営事業」が追加されるとともに,KDDが日本放送協会(以下「NHK」という。)から交付される資金をもって60年4月1日から65年3月31日までの間に取得する国際放送の用に供する一定の償却資産(送信施設,中継設備及び電源設備並びにこれらに附帯する設備)について,固定資産税の課税標準を2分の1とする特例措置が講じられた。

第1-2-1表 電気通信事業用設備の耐用年数

第1-2-2表 第一種電気通信事業者に対する税制措置の概要

 

 

2 基盤技術研究促進センターの設立 に戻る 4 技術基準等の策定 に進む